4割視聴、2割も投稿…米携帯動画事情
かつては高価なビデオカメラでなければ撮影が不可能だった動画も、今や機動力と映像処理能力に長けたスマートフォンの普及により、誰もが気軽に撮影できるようになった。しかもYouTubeをはじめとする動画共有サイトの浸透で、世界に自作の動画を披露する機会が与えられている。
次のグラフはアメリカの調査機関Pew Research Centerが2013年10月に発表した同国の動画視聴の動向調査報告書「Online Video 2013」を元にしたもの。成人から成る調査対象母集団全体の9割を占める携帯電話保有者(フィーチャフォンとスマートフォン双方を含む)における、自前の携帯電話を用いた動画に関する行動性向を示したものだが、4割が動画を視聴し、2割が動画投稿まで行っている。
携帯電話保有者の4割が、その携帯で動画を視聴し、保存(と非通信下での再生や他端末への転送、あるいは転載)を行っている。ほとんどはスマートフォンでのことだろうが、携帯電話は半ば「携帯テレビ」的な使われ方をしている。
動画撮影の観点では一般のビデオカメラと比べて、録画と投稿まで1つの端末で可能な手軽さが携帯電話の利点。しかもその端末は撮影を意識しなくとも普段から持ち歩いているので、言葉通り「いつでもどこでもシャッターチャンスに巡り合える」。この長所は動画撮影者には大いにプラスとなる。
現場で直に体験したことをそのまま動画で伝える、まるで報道記者のような所業を普通の人が動画投稿で行う。あるいは説明用の画面写真のように動画を撮影して掲載する。気軽にマルチメディアを用いる観点で、携帯電話(特にスマートフォン)は大きな役割を果たしている。
中でも後者「画像のようにお気軽に動画撮影と投稿を行う」については、その需要に目を付け、ツイッターが今年1月から始めた新サービス「Vine」に注目しておきたい。これはスマートフォン用の無料アプリで、最長6秒間の動画を撮影し、編集し、投稿できるもの。ツイッターやFacebookでも共有できる。
上の動画はCNETによるVine解説。写真感覚で動画を撮影し投稿できるのが分かる。
属性別に行動性向を見ると、世代別ではスマートフォンの所有率が高い若年層の方が、動画行動性向も高い。特に若年層では7割が視聴、6割強が保存、そして4割近くが投稿しており、きわめて積極的。彼ら・彼女らはメモを取るかのごとく動画を撮り、保存し、公開していくのだろう。
学歴別・年収別では双方の連動性も合わせ、高学歴・高年収ほど行動意欲が旺盛。一因として世代別同様にスマートフォンの所有性向があるが、他にも動画の必要性、環境整備の程度なども要因として挙げられる。特に高年収層では3割が動画投稿を行っており、その意欲の高さが把握できる。
今後スマートフォンの普及と共に、動画関連サービスとソーシャルメディアの連動性が注目され、モバイル環境下での動画の視聴・投稿はさらに活性化する。携帯電話保有者による「総映像記者時代」はすでに到来している。
この流れに伴い、今後世の中がどのような動きを示していくのか。文化様式は異なれど、日本でもスマートフォンの普及と共に、じきに似たような動きを示すことになる。その状況を先読みするためにも、投稿される動画の傾向と合わせ、「情報伝達のあり方」について、今後もアメリカの状況変化について注目していきたいところだ。
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