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悠仁さま16歳のお誕生日 皇位継承者と高校生の狭間に浮かぶ実像とは?

つげのり子放送作家、ノンフィクション作家(テーマ:皇室)
悠仁さま(写真・毎日新聞社/アフロ)

 9月6日、秋篠宮家の長男、悠仁さまが16歳のお誕生日を迎えられた。早いもので2年後には成年となられる。

 現在、悠仁さまは筑波大附属高校1年生で青春真っ只中だが、将来は天皇となられるお立場でもある。そろそろ、将来に向けた準備や、ご本人の中でも自覚が芽生え始めていらっしゃるのか?

 そこで筆者は、秋篠宮さまへの長期間に及ぶ取材を重ね、知られていない秋篠宮さまの素顔や肉声などをまとめた話題の本『秋篠宮』(小学館)の著者であり、秋篠宮さまと長年に亘って交流している、ジャーナリストの江森敬治さんに悠仁さまの実像などを伺った。

◆皇室の一員として大切な学びとは?

 16歳といえば、自我もすっかり確立し、世の中のことも十分に分かってくる年代である。やはり気になるのは、悠仁さまが将来に対して、どのようなお考えを持ち、そこに悩みや葛藤を抱えてしまうことはないのだろうかという点である。

 つまり等身大の高校生の日常と、皇位継承順位第2位というお立場の違いを、矛盾なく受け入れられていらっしゃるのだろうか?

 また、将来に向けた準備として、宮中祭祀や皇室の歴史など、いわゆる帝王学的な教育は施されているのか、まずはその点について江森さんに聞いてみた。

「おそらくご両親は、悠仁さまの将来を見越し、皇族としての教育やいろいろな準備を当然、考えていらっしゃるでしょう。けれど、今は、高校生ですので、まずは学校の勉強をきちんと行ってほしいというのが一番だと思います。学生の間は学業優先ですから、勉強やスポーツに励んだり、いい友達を作ったりすることをご両親は大事に考えていらっしゃるのだと思います」

 さらに江森さんは、歴代天皇について書物を読んで勉強するという方法もあるけれど、大切なことは、ご両親たちのなさりようを見て、将来、皇族としてどのように行動したらよいのかなどを直接、学ばれることだという。

「ご両親である秋篠宮ご夫妻や伯父様伯母様にあたる天皇皇后両陛下、祖父母である上皇ご夫妻という身近にとても良いお手本がございます。そのお姿をご覧になって学ぶことが、皇族として役に立つのではないかと思います」

 今年の夏、悠仁さまは秋篠宮ご夫妻とともに、全国高校総合文化祭東京大会の総合開会式に出席された。コロナ禍のため、悠仁さまが現地に赴き公務にのぞまれるのは、約2年8か月ぶりだった。間近でご両親の立ち居振る舞いをご覧になって、おおいに学びの機会を得られたのではないだろうか。

◆将来天皇になるというご自覚の芽生え

 今、悠仁さまは、子どもから大人へと移行する過渡期にある。そんな悠仁さまは、皇室に生まれた自らの運命を受け入れ、天皇となられるというご自覚は、すでにお持ちなのだろうか?

 江森さんは、こう言う。

「皇室という環境の中で生まれ育ち、自分の立場は他の人とは違うのだということは、当然、お分かりだと思います。女性皇族は結婚すれば皇室を離れますが、悠仁さまは結婚されても皇室に残られる。これから、ずっと皇族でいるわけですから、そうしたお立場へのご自覚が、ご自分の中で、自然と芽生えていらっしゃるのではないでしょうか」

 秋篠宮さまは、国民と苦楽を共にし、常に寄り添うことが皇族の役割であるとされ、それは天皇陛下とも共通する考えだ。

 天皇とはいかなるものかを知るよりも、まずは皇族としての心の有り様を身に付けることを目指し、その上で象徴天皇について自ら模索されていくのが自然な道筋なのだろう。

 江森さんによれば、秋篠宮さまと悠仁さまは日頃からよく会話をする、仲の良い親子でいらっしゃるという。折に触れて、悠仁さまから秋篠宮さまにいろいろ相談されることも多いのではないだろうか。

「悠仁さまからすれば、秋篠宮さまは父親であると同時に、皇族としての先輩のような存在だと思います。日頃から、親しく接する中で、自然に悠仁さまは父親からたくさんのことを吸収して学ばれているのだと思います」

◆世の安寧と平和を願うお気持ち

 悠仁さまは小学6年生の夏休みに、ご自身の希望により、紀子さまとともに広島県を旅行された。平和記念公園や原爆死没者慰霊碑などを訪れ、被爆した女性から体験談を聞き、戦争の悲惨さを胸に刻まれたのである。

 日本が歩んできた負の道のりを自分の目で見て、より理解を深めることは、これからの時代を担う若い世代の皇族に求められることだ。悠仁さまは広島県を訪れたことで、平和への願いをさらに強く持たれたことだろう。

 それは上皇后・美智子さまが「皇室は祈りでありたい」と語られた、世の平和と安寧を願う責務が、皇族にはあるというご自覚の萌芽と考えられないだろうか。

 江森さんはこう話す。

「悠仁さまが自主的にいろいろと学ばれていることは、素晴らしいことだと思います。自分からこうしたいという気持ちを強くお持ちになり、それを親が応援するという望ましい形になっているのでしょう」

 16歳になった悠仁さまは、目下、高校生として学業に力を注いでいらっしゃるが、その心の内に秘めた皇族としての未来の展望は、確かな形を作りつつあるのかもしれない。

「16歳の悠仁さま 実はがっちり体格 秋篠宮さま『腕とか太い。着痩せするタイプかも』」https://news.yahoo.co.jp/byline/tsugenoriko/20220907-00313338

放送作家、ノンフィクション作家(テーマ:皇室)

2001年の愛子内親王ご誕生以来、皇室番組に携わり、テレビ東京・BSテレ東で放送中の「皇室の窓」で構成を担当。皇室研究をライフワークとしている。西武文理大学非常勤講師。日本放送作家協会、日本脚本家連盟、日本メディア学会会員。著書に『天皇家250年の血脈』(KADOKAWA)、『素顔の美智子さま』『素顔の雅子さま』『佳子さまの素顔』(河出書房新社)、『女帝のいた時代』(自由国民社)、構成に『天皇陛下のプロポーズ』(小学館、著者・織田和雄)などがある。

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