『仮面ライダージオウ』の”マンホール女優”釈由美子さんが「下水道大使」に就任! 劇中の活躍を考察!
こんにちは、空想科学研究所の柳田理科雄です。マンガやアニメ、特撮番組などを、空想科学の視点から、楽しく考察しています。さて、今回の研究レポートは……。
女優の釈由美子さんが「マンホール大使」に就任されたという!
これ、横浜の下水道150周年を記念した「横浜下水道150広報大使」というのが正式名称だけど、ここはぜひともマンホール大使と呼ばせていただきたい。就任おめでとうございます!
釈さんがこういう重職に就かれたのは、もちろん『仮面ライダージオウ』において、マンホールのフタをブン投げて大活躍されたからである。
具体的には、第35~36話で、釈さん演じる北島祐子という女性が、やたらとマンホールのフタを持って登場し、それで殴ったり、防御したり、投げつけたり……!
当時はツイッターなどでもおおいに盛り上がり、われわれの心に"マンホール女優"という印象を刻みつけたのだった。
しかしマンホールというのは、釈さんが劇中で見せたほど軽やかに扱えるものなのだろうか?
科学的にもたいへん気になるので、ぜひともここで考えてみたい。
◆どんだけフタを使うのか!?
『仮面ライダージオウ』は、平成~令和にまたがって放送された、最後の「平成仮面ライダー」だ。
タイムジャッカーという勢力が、人間をアナザーライダー(歴代ライダーの歪んだ姿)に変えて暴れさせ、歴史を改変しようとする。
常盤ソウゴは仮面ライダージオウに変身して、アナザーライダーと戦う……という、歴代の平成ライダーとも関係する壮大な物語であった。
こんなお話の第35~36話に登場するのが、殺人罪で服役中の北島祐子である。
独房にタイムジャッカーのオーラが現れ、彼女にアナザーキバの力を与える。
自分は無罪と信じる祐子は、「正しい法を制定する女王」になると決意し、裁判で自分を無罪にできなかった関係者たちを襲い始める。
その武器が、マンホールのフタだった!
マンホールのフタは、標準的なもので直径60cm、重量40kg。
この重量物を、祐子は次のように活用した。
①マンホールのフタを蹴って飛び上がらせ、片手でつかんで投げつける
②オーラがエネルギー弾を放つと、やはり蹴り上げたマンホールのフタで防御
③3年前、片思いの男性に恋人ができると、マンホールのフタを引きずって現れ、彼女を撲殺(この行為が殺人罪に問われ、刑務所に収監された)
④仮面ライダーギンガがジオウにエネルギー弾を放つと、マンホールのフタで守る
⑤片思いの男性の結婚式に、マンホールのフタを持って現れ、大暴れ
――すごい。こんなにいろいろ使えるのか、マンホールのフタというものは!
◆仮面ライダーより強い!
釈さん、いや、北島祐子が使っていたフタは、一般的なものよりも大きかった。
なかでも②で使ったフタは巨大で、祐子の上半身と同じくらい。彼女の身長が164cmなら(釈さんがその身長)、フタの直径は80cmほどありそうだ。
すると、標準的なフタの1.33倍。相似形なら、その重量は1.33の3乗倍で95kg! さすが仮面ライダーキバの力を宿した女性ですなあ。
驚くのは、①で見せたフタの入手法である。フタを蹴って飛び上がらせる!
普通、蹴ったくらいではフタは飛び上がらない。マンホールのフタは、直径よりやや小さい鉄枠に載っているし、錠がかかって専用の工具を使わないと開けられないものも多い。
考えられるとしたら、祐子はすさまじいキック力で鉄枠や錠を破壊して、フタの手前側を押し下げたのだろう。それによって反対側が持ち上がり、フタが飛び上がった……!?
マンホールのフタは、25tの荷重に耐える設計であり、すると祐子のキック力は25t以上ということになる。仮面ライダージオウの通常形態のキック力は19.0tだから、それより強い!
いくら何でもそんなキック力が……と思うけど、あるのです、祐子さんなら。
脱獄した祐子が、自分を無罪にできなかった弁護士に復讐しようとするシーン。駐車場に入ってきた弁護士の車の正面に立ち、ハイヒールでボンネットを蹴って車を止めた!
車のスピードを時速20km、蹴られてから5cm進んで停止したと考えるなら、車重1tの乗用車をこういう形で止めるキック力は、31tだ!
マンホールの鉄枠を破壊するなんて、祐子にはカンタンなのだ。蹴り合ったら、ジオウにも圧勝! 恐るべきおネエさんである。
◆マンホールのフタを投げる!
さらに驚くべきは、マンホールのフタを投げたこと。
これ、味方のオーラに投げたのだが、なぜそんなことをしたかというと、まあ、感情のモツレといいますか。プライドの高い祐子が、オーラに向かって「おまえは私の下僕にすぎん」などと言い放ち、2人は諍いになる。
オーラは祐子の平手打ちを瞬間移動でかわすが、祐子はマンホールのフタを投げ、オーラの頬にかすり傷をつけた。するとオーラはエネルギー弾を発射して……と、どんどんエスカレート。むわ~、オソロシか~。
こういうおネエさまたちのモメごとに首を突っ込むと、ロクなことにならんので、科学に集中しよう。
2人は5mほど離れていて、フタは一直線に飛んだように見えたけど、地球上で投げた物体がまったく落ちないことはないから、ここでは10cm落ちたと仮定しよう。その場合、祐子は時速126kmで投げたことになる!
画面の描写を見ると、祐子は円盤投げのフォームで、フタを70cmほど動かして投げている。
フタの重さが40kgなら、このとき腕が発揮した力は3.6t。
これはオソロシイ。こういうヒトが砲丸(女子砲丸投げの場合、重量4kg)を投げると、時速369kmで飛んでいく。槍(女子槍投げの場合、重量600g)なら、時速695kmで飛んでいく!
さらに両腕合わせると7.2tの力を発揮できるわけで、腕を真上に70cm動かして、体重92kgのジオウを放り上げると、ジオウは高度54mまでぶん投げられてしまう! ひえ~っ、強い!
マンホール大使に就任した釈さんは「マンホールを投げるために筋トレもしていますよ! いつでも投げられます!」とコメントしたという。
さ、さすがマンホール女優! でも、どうかそれはご勘弁ください~。