日経平均は5万円まで上昇できるのか
15日の東京株式市場では日経平均株価は7月19日以来およそ3か月ぶりに4万円台を回復した。この背景にあったのは国内要因というよりは海外要因によるものといえた。
米株の上昇の背景には、最近発表された米国の経済指標が米景気の底堅さやインフレの鈍化を示し、米経済がソフトランディング(軟着陸)できるとの見方が強まったことがある。
FRBは9月18日に開いたFOMCで、政策金利を5.25%~5.5%から4.75%~5.0%へと0.5%引き下げた。この大幅な利下げは、労働市場の悪化に先手を打つためとされた。
ところが 4日に発表された9月の米雇用統計は非農業雇用者数が前月比25万4000人増と市場予想の15万人増程度を大きく上回り、過去2か月分の増加幅はそれぞれ上方修正。失業率は4.1%と8月の4.2%から低下し、平均時給の伸びも市場予想を上回った。
FRBの利下げは物価上昇圧力が後退してきたことも要因となったとみられる。10日に発表された9月の米消費者物価指数は前年比2.4%上昇と約3年半ぶりの小幅な伸びにとどまった。
それでも前月2.5%上昇とわずかな鈍化に止まっていた。変動の大きいエネルギーと食料品を除いたコア指数は同3.3%上昇と前月の3.2%上昇からわずかに加速していた。
FRBは11月のFOMCでも0.5%の利下げを行うとの予想が出ていたが、ここにきて利下げ幅は0.25%に止まる、もしくは利下げそのものがスキップされる可能性が出てきた。
FRBの大幅な利下げ期待が後退したが、その背景には米景気の底堅さがある。
FRBは政策金利を一時、5.5%まで引き上げた。その間、2年債利回りが10年債利回りを上回る逆イールドが発生していた。逆イールドは景気後退の兆候とされるが現状、景気後退の兆候はない。逆イールドそのものもすでに解消されている。
11月の米大統領選挙の行方次第では、米国の株価動向にも影響を与えるかもしれないが、株価にとってマイナスの政策を行ってくることは考えづらい。
どこまで米国財政が持つのか。それは米国債への信認の動向次第の側面もあるが、いまのところ信認は当面維持されることが予想される。
ただし、物価の高止まりとFRBの利下げ観測の後退で米長期金利が5%に向けて上昇してくる可能性もないとはいえない。
金利上昇によっても米国経済はそれほどの打撃は受けなかった。これはこれでかなりの潜在力を持っていることの表れかもしれない。
もしダウ平均が5万ドルをうかがうような動きとなった場合には、日経平均も5万円をトライするということも絶対ないとは言えなくなってきた。