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【短評】『劇場版ハイキュー!! ゴミ捨て場の決戦』から連想する2つの作品

前田久アニメライター
劇場版ハイキュー!! ゴミ捨て場の決戦@新宿バルト9(著者撮影)

試合シーンを作品の中心に大きく据え、選手たちの回想や試合を見守る関係者たちのリアクションを点描的に配置した『劇場版ハイキュー!! ゴミ捨て場の決戦』の構成から、『THE FIRST SLAM DUNK』を連想する観客は多いことだろう。どちらも原作が「週刊少年ジャンプ」で連載されたスポーツものの大ヒット作であるし。

もちろん私もそんな観客のひとりなわけだが、もうひとつ、別の作品も思い浮かべた。

『ガールズ&パンツァー』である。

劇場版の終盤、試合のクライマックス展開で、一切のセリフを廃したタイトなアクションのみで観客の眼をスクリーンに引き込んでみせた『ガルパン』は、現在展開中の続編シリーズである「最終章」において、ますますそのアクション描写を研ぎ澄ませている。とりわけ第4話における怒涛のようなアクションの連続は、目の肥えたアニメファンであっても度肝を抜かれるようなものであった。

『劇場版ハイキュー!! ゴミ捨て場の決戦』は、その『ガールズ&パンツァー 最終章』第4話を思わせるところがあった(本記事を公開するのが劇場上映初日の夜ということもあり詳細は伏すが、具体的な演出において……)。

おそらく『ガールズ&パンツァー』のファンで今作に足を運ぶ人はさほど多くないような気がしているのだが、それはいささかもったいないような気がする。そんなことを考えて、思わずこうして筆を執った次第だ。

なお、いささか余談めくが、『劇場版ハイキュー!! ゴミ捨て場の決戦』の満仲勧監督は『ガールズ&パンツァー』の水島努監督の過去作(『おおきく振りかぶって』など)に主要スタッフのひとりとして参加している。そうしたキャリアの繋がりから、ふたりの映像作家としての共鳴のようなものを見て取るのも、また一興かもしれない。

公式サイト:https://haikyu.jp/movie/

アニメライター

1982年生まれ。ライター。通称"前Q"。アニメーション関連のインタビュー、作品紹介、コラム等を各種媒体で手掛ける。主な寄稿先は「月刊ニュータイプ」(KADOKAWA)。作品の公式サイト、パッケージ付属ブックレット、劇場パンフレットなどの仕事も多数。著作に『オトナアニメCOLLECTIONあかほりさとる全書~“外道"が歩んだメディアミックスの25年~』(洋泉社、オトナアニメ編集部との共編著)、原稿構成を担当した本に『声優をプロデュース。』(納谷僚介著、星海社新書)がある。https://twitter.com/maeQ

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