外は北風、寒い冬がやって来ましたね。道を歩きすがら提灯の灯った居酒屋さんを見かけると、その暖かそうな雰囲気についつい引き込まれそうになります。

そんな日本の原風景とも言える景色が、街中に再び戻りつつあるここ最近。何だか面白いコラボイベントが企画されたという噂が耳に入ってきましたよ。では、さっそく覗きに行ってみましょう。

本日の会場はこちら。とにかく目を引く大きな提灯には「黒十スタンド」の文字が。煉瓦造りの建物と酒樽のテーブルの組み合わせが、和モダンな雰囲気を醸し出しています。

今日のイベントの発端は「黒十スタンド」と、そこにお酒を卸している「白鶴」の社員さんとのやり取りにあったそう。ようやくお酒も解禁された今、寂しかった街に再び活気を取り戻すべく何かをやってみようという黒十スタンドさんの提案から、このコラボイベントが企画されたということですよ。

店内に入ると、正方形のカウンター内には白鶴のハッピを着た社員さんが。ずらりと並べられた日本酒を前にしてお客さんと楽しそうに会話をしています。お酒の話を生産者側から、しかも実際にそれを飲みながら詳しく聞けるチャンスって案外ないですよね。

今日のチケットは¥1,500の3枚綴りで、白鶴酒造の新たなるお酒「別鶴(べっかく)」や、新物の「Hakutsuru Blanc」、灘の日本酒などの飲み比べができるというものでしたが、ネットの前予約では更に¥1,200とお得なチケットもありました。これはラッキーですね。

前々から噂を聞いていた「別鶴」、その3種を飲み比べてみたくてそれぞれ注文してみました。お酒メニューの裏を見ると黒十スタンドおすすめのお品書きが並んでいます。「燻りがっこポテサラ」と「おでん大根の唐揚げ」、本日限定の「海老と松の実の焼き味噌」を選んで楽しみに待ちます。

「別鶴」がコップに注がれました。別鶴とは白鶴の若手社員さんが開発した新しい日本酒で、今までの日本酒には選ばれなかったような酵母をあえて使い、その弱点とされた特徴を活かして作るという逆転の発想から生まれた、まさに新感覚の味のお酒なんだそうです。(※)

その3種の内のひとつ「黄昏のテレスコープ」は、バナナや桃の熟したような甘みがある、通常の日本酒に近い感じの味ということ。ひと口ふた口と飲み進むにつれ、徐々に体がポカポカしてきましたよ。

「燻りがっこポテサラ」を頂いて、燻製の風味とまろやかなポテサラ感が残る中でクイっと飲むと、その甘みでポテサラの味わいが更にグッと深みを増してベストマッチです。

「おでん大根の唐揚げ」は黒十スタンドのおすすめメニュー。甘みとコクのある柔らかなおでん大根を揚げた新食感の唐揚げです。サクっとほくほく、これはクセになりそうなお味。これに「木漏れ日のムシメガネ」の少し甘酸っぱいレモングラスのような香りと味が加わると、お料理の味がキュッと締まって味変も充分に楽しめます。

「海老と松の実の焼き味噌」と「陽だまりのシュノーケル」とのコンビネーションには驚きました。

焼き石に載ったお味噌が熱されながら、海老の香ばしさと松の実の風味を徐々に濃厚にさせていくのですが、最初あっさり目だと感じていた「陽だまりのシュノーケル」をこちらと一緒に頂くと、まるで濃厚なテイストにお酒の味が美味しく変化したんです。これは不思議です。

私がひとりで盛り上がっていると、お隣にいた女性が話し掛けてくれました。黒十スタンドには月1のペースで来られているそうで、おつまみが独創的なのが気に入っているということ。なるほど、そのメニューを端々まで見て納得です。柿とくるみのマスカルポーネ白和えなどお洒落なものも。

今回のイベントでは、お酒のできた物語の背景を知ることでじっくりとその味と向き合え、また、お料理などと組み合わさることで生まれる全く新たな味があるということを知りました。

それと同じように、ひとりの力だけで何かを表現するよりも誰かとコラボすることで双方の力がグンと引き出される時もあります。「地元の企業同士でまちが盛り上がるようなことをしたい」という想いを元に始まった今回の「黒十スタンド×白鶴」コラボイベントは、まさにその形。

こんな時代だからこそできるイベントなのかも知れませんね。共通の目標を持って、同じ場所でそれぞれの力を発揮することで生まれ出る新たなもの…そこにはまるで心地よい新風が巻き起こるかのようです。

また次回イベントも構想中というお話ですよ、その際には皆さんぜひご参加くださいね。もちろん日々のお楽しみにもお立ち寄りあれ！

（※）別鶴 ブランドサイト

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