米マイクロソフト「HoloLens」で目指すホログラフィック・コンピューティングの未来
KNNポール神田です!
Windows10は無料で提供を発表!
米マイクロソフトは、2015年、後半に発売予定の次期基本ソフト(OS)「Windows 10」をwindows7以降のユーザーに無料で提供すると発表した(発売後1年間のみ)。
これらは、時代の流れから当然の戦略といえるだろう。OfficeもOffice365でクラウド型の製品がすでに登場しており、マイクロソフトといえども、ビジネスモデルの変革に対応せざるをえない状況である。
ホログラフィック・コンピューティングというどこか既視感のある未来
「Microsoft HoloLens」というホログラフィックコンピュータがとても気になる。
動画を見ると、まさに1980年代のSFの世界がやってきたという感じがする。1990年代のVR(仮想現実ヴァーチャルリアリティ)の既視感もあるからさらにだ。Google Glassがコンシューマー市場から撤退したのと反対に、マイクロソフトはこのヘッドセットをひっさげてOffice市場に導入したいと考えているようだ。
しかしだ…。Office市場の風景を見渡した場合、椅子に座り、机に向かうという環境は、この100年の間、そうは変わっていないだろう。コ・ワーキングオフィスでも、それぞれの耳にイヤフォンが刺さっている程度の差である。しかし、マイクロソフトは、そのオフィス環境でハーフミラーとなっているヘッドセット「HoloLens」をかけさせオフィスをウロウロとさせようとしている。
ゴーグルをかけたゾンビが徘徊するオフィス
机の前で、ゴーグルをかけて、ジェスチャーでモゴモゴ動いている人類。ジェスチャーでコマンドを入力しながら、オフィスや家庭、もしかしたら屋外をウロウロと徘徊する。音声で操作する個人秘書「コルタナ」に向かってブツブツ言いながら歩きまわる光景はまるでゴーグルをかけたゾンビと化すことだろう。
そもそも、テーマパークのアトラクションでゴーグルをかけ、あちこちに隠されたイベントを探すならば、まだ理解できるが、実際のオフィスで「Microsoft HoloLens」のホログラムをかけて利用するシーンをイメージできるだろうか?そして、それは家庭でも必要だろうか?Xboxのゲームマシンであれば、日常の中をゲーム化することで可能かもしれない。Googleの提供するリアル社会対応の陣取りゲームのingressであればまだ、実際の場所が必要だが、「Microsoft HoloLens」をかけてうろつき回りたいとは思えない。
むしろ、未来があるとすれば、コンピュータのディスプレイを不要とするような技術への置き換えのひとつのメタファーであるということだ。ホログラフィーによる立体ディスプレィを必要とするのは現在は3Dデータの入力くらいかもしれないが、新たなテクノロジーは常に、うさんくさい奇妙なところから誕生してきている。
最初はいかにキワモノであるかが重要なのだ。ある意味、大いにゾンビ化するオフィスを経験してから、次ならうブレイクスルーになるようなイノベーションが生まれるのかもしれない。
しかし、とりあえずこんな事ができるから作ってみました。どうやって利用するかは、まだよくわかりません的なヴィジョンで製品を出されても使う側が困ることは確かだ。