大阪ガスが史上3チーム目の大会連覇!!【第46回社会人野球日本選手権大会デイリー・リポート12】
第46回社会人野球日本選手権大会決勝には、チームの統合・再編で新たなスタートを切った三菱重工East、2019年の日本選手権に初優勝したものの、昨年はコロナ禍で大会が中止になり、2年越しの連覇を目指す大阪ガスが進出した。
三菱重工Eastの先発は4試合目の登板となるエースの大野亨輔、対する大阪ガスは左腕の秋山遼太郎。驚かされたのは、秋山の先発起用だ。確かに、前田孝介監督は「阪本大樹、秋山、河野 佳が三本柱」と言うが、前日の準決勝まで登板がないどころか、ベンチにも入っていないのだ。三菱重工Eastの佐伯 功監督も「まったく頭になかった」という秋山が、どんな投球を見せるかに注目した。
大野が無難に立ち上がると、1回裏の三菱重工Eastは二番の八戸勝登が内野安打で出たが、二盗に失敗して3人で攻撃を終える。すると、2回表の大阪ガスは二死一、二塁で、九番の鳥飼力斗がカウント3ボールからの甘い速球をフルスイング。左中間への二塁打で1点を先制する。さらに、3回表には一死二塁から四番の末包昇大がレフトに弾き返し、二塁走者の児玉亮涼も俊足を飛ばして生還。大阪ガスがアグレッシブな攻撃で、試合の主導権を握る。
だが、3回裏は三菱重工Eastが粘り強さを発揮する。対馬和樹と江越海地の連打などで二死一、三塁とし、秋山にタイミングの合っている八戸がライトオーバー。一塁走者の江越も一気にホームを駆け抜け、2対2と振り出しに戻す。大阪ガスは、4回から秋山に代えて阪本をマウンドに送る。
全力を振り絞る決勝に相応しい試合
次の1点をどちらが取るかと思われた5回表、大阪ガスは先頭の鳥飼が中前安打を放ち、一死後に児玉の左前安打で一、二塁。続く峰下智弘も右中間に弾き返し、鳥飼が勝ち越しのホームを踏む。三菱重工Eastは、江越海からの中継プレーで一塁走者の児玉はタッチアウトにしたが、なお二死二塁から末包が右前に落とし、大阪ガスはリードを2点に広げる。
阪本に対して無安打だった三菱重工Eastの反撃は7回裏だ。一死から久木田雄介、矢野幸耶、途中からマスクを被る安田亮太が3連打で満塁に。それでも、阪本は渾身の力投で江越海を遊飛、久保皓史を二ゴロに仕留める。
6回途中から長島 彰が二番手で登板した三菱重工Eastに対して、大阪ガスは8回から大会を通じて無失点の河野を投入。「緊張はしなかった」という河野は当たっている二番・八戸からの攻撃も力でねじ伏せ、見どころ満載だった3時間8分の試合に勝利でピリオドを打つ。大阪ガスの大会連覇は、1983、84年の住友金属、2007、08年のトヨタ自動車に次いで3チーム目の偉業である。
「編成されたばかりの新チーム。初めての全国大会で決勝まで勝ち進んだ選手の頑張りに感謝しつつ、ただただ悔しい」
佐伯監督はそう語り、前田監督は穏やかな表情でこう話した。
「試合後のミーティングでは、選手やスタッフへの感謝とともに、普段の生活も含めて王者に相応しい行動をしていこうと伝えました。今季から指揮していますが、少し落ち着きました。都市対抗に向けて、またしっかりやっていきます」
必ず勝敗は決するが、両チームとも選手たちは苦しい場面でも粘り強く、諦めず、常に全力でプレーしていた。大阪ガスの連覇はまさに価値あるものだし、三菱重工Eastの戦いぶりも必ず今後につながるはずだ。約2か月後に訪れる都市対抗予選でも、熱い戦いを見せてもらいたい。
【第46回社会人野球日本選手権大会表彰選手】
●最高殊勲選手賞/河野 佳投手(大阪ガス)
●敢闘賞/小栁卓也外野手(三菱重工East)
●首位打者賞/小栁卓也外野手(三菱重工East)
●打撃賞/末包昇大外野手(大阪ガス)
●大会10回出場選手
大竹飛鳥投手(NTT東日本)
鶴岡和紘捕手(東邦ガス)
吉元一彦投手(NTT西日本)
(写真提供/小学館グランドスラム)