JR中央線に「グリーン車」連結開始 現在は料金なしの「お試し期間」、乗車したら快適だった!
10月13日より、JR東日本中央線ではグリーン車を連結した12両編成のE233系が導入されるようになった。2025年3月のダイヤ改正までに東京口全編成を12両編成にし、現在は少しずつ2階建てグリーン車を連結している状況である。
現在は、1日当たり2編成から3編成が運行している状態であり、希少性が高い。
全編成にグリーン車が連結されるまで、グリーン料金は徴収せず、運賃だけで乗ることができる。いわば「お試し期間」だ。
中央線のグリーン車は、はたしてどんなものか。実際に乗車してみた。
行列ができるほどの人気
中央線では、まだグリーン車が連結されている編成は少ない。ただ、JR東日本アプリなどでどの編成が12両編成かを把握することは可能なので、それを見ながらいつグリーン車が連結されている編成がやってくるかを知ることは可能だ。
また東京駅では、中央線ホームに「本日のグリーン車連結列車」が小さく掲示されているので、それを見て乗ろうとする人も多い。
10月21日に東京駅に行った。
グリーン車が連結されている列車は、だいたい1時間に1本もしくは2本程度運行されている。時間帯によっては、まったく連結されていないときもある。
12時16分東京発の豊田行が少し待てば乗れるので、これに乗ることにした。
出発予定20分くらい前に東京駅2番線ホームに行くと、すでに列ができている。小学生もいるので、おそらく運動会の代休だと考えられる。列は筆者の後ろにもどんどん延びていく。
豊田行の車両が入線する前に、中央線ダイヤ乱れの情報が入り、列車間隔調整のため先行列車の発車が遅れる。当然、グリーン車連結車両の入線も遅れる。やってきた編成の4号車(サロE233-7)に乗り込み、12時23分に東京駅を出発する。なお、座席の方向転換は現在では乗客自らが行うことになっている。
筆者は1階の進行方向右窓側に乗ることにした。2階は相当な混雑が予想され、平屋部は席がそもそも少ないからだ。
中央線のグリーン車は、ドアが両開きであることなどを除けば、ほかのE233系やE235系グリーン車に近いという印象を持つ。
座れば快適だ
中央線にグリーン車を導入する理由として、着席サービスの充実がある。ちょっと高いけど、快適に座れるということをめざしている。実際に座っていると、ロングシートとは異次元の違いを感じさせられる。テーブルもドリンクホルダーもあり、特急グリーン車とまではいかないまでも、中央本線特急と同等の快適さを味わうことができる。
試しに乗ってみようという人で、立客もいる。1階席の窓はホームすれすれだ。
新宿には7分遅れで到着する。ここでそれなりの乗降がある。「お試し」ということで、短距離の利用もある。
中野から各駅に停車。これまで見たことがないアングルでの車窓を楽しむことができる。吉祥寺でそれなりの下車がある。
三鷹で中央特快高尾行の待ち合わせ。
東京から三鷹、というと結構な距離があるように感じられるが、グリーン車に乗っているとあっという間のような印象を受ける。窮屈な、混雑している普通車とは、まったく違う。
多摩地区の駅では、グリーン車利用者に見えやすいような位置で「えきねっと」の広告が掲出されている。広告の出し方も、グリーン車の存在で変わる。
立川を経て、豊田には定時の7分遅れ、13時27分着となった。豊田では上りホーム3番線に到着した。
東京から豊田までの運賃は交通系ICカードで736円。なおSuicaグリーン料金は750円。運賃に比較すると結構お高い、となる。もっとも今は「お試し期間」で料金無料だから、乗り得である。
サービス向上と増収には最適のグリーン車
中央線は、混雑の激しい路線である。利用者が比較的豊かな層が多い沿線であり、サービス水準を上げる必要がある。
ただ単純に増発したり、特別快速を増やしたりするわけにもいかない。混雑している路線ではやはり着席したいものであり、しかしそのためには特別にお金を取ることもやむを得ないところがある。
グリーン車を組み込むには編成を長くする必要があり、そのために駅のホームなど大規模な改良工事を続けた。
来春、正式に中央線グリーン車のサービスが開始となる。上質なサービスを提供し、輸送力を向上させ、そのぶん増収も可能になる。
「お試し期間」で快適さを味わってしまった人は、また乗りたいと思うことだろう。ちょっと高いけど、とは考えてしまうのだが……。