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えっ!?「命の危険にさらされた日本人を救えないような憲法なんてもういらない」【産経抄】

神田敏晶ITジャーナリスト・ソーシャルメディアコンサルタント

KNNポール神田です!

産経新聞(2015年)2月7日(土)の【産経抄】を読んで驚愕してしまった。

【産経抄】というのは、たしか、産経新聞の社説である。コラムであるのかもしれない。いずれにせよネットで読むには、その違いがわからない。しかし、もしこれが、社説であれば、「一般には社としての立場・意見の表明。よって執筆者署名はない」ものらしい。

コラムであれば、署名の記事であるべきだと思う。

【産経抄】2月7日 というタイトルなしの社説によると…

http://www.sankei.com/column/news/150207/clm1502070003-n1.html

▼ヨルダンでは、「なぜ2人も殺された日本がともに戦わないのか」という声が高まっているという。日本には憲法の制約があって云々(うんぬん)、と説明してもまず理解されぬだろう。

いやいや、他の国のヨルダンにどう思われても構わない。理解いただく必要のあるものでもない。

▼憎しみの連鎖を断たねばならぬ、というご高説は一見もっともらしい。後藤健二さん自身も数年前、「憎むは人の業にあらず、裁きは神の領域。-そう教えてくれたのはアラブの兄弟たちだった」とつぶやいている。

▼だからといって処刑直前も彼はそんな心境だった、とどうしていえようか。助けにいった湯川遥菜さんが斬首されたときの写真を持たされ、家族に脅迫メールを送られ、心ならずも犯人側のメッセージを何度も読まされた後藤さんの心境は想像を絶する。

これは非常にわかります。想像を絶します。自分の吐いた言葉を撤回したくなったと思います。しかし、それでも後藤さんの信念は変わらなかったのではないでしょうか?

仇(かたき)をとってやらねばならぬ、というのは人間として当たり前の話である。第一、「日本にとっての悪夢の始まりだ」と脅すならず者集団を放っておけば、第二、第三の後藤さんが明日にも出てこよう

いや、それは違う。仇をとるのが人間として当たり前ならば、紀元前のハンムラビ法典時代への逆行だ。仇とか仇討ちとかの浪花節的感情論ではなく、犯罪化・事件化する要因を論理的に考えるべきだ。第二、第三の後藤さんの前に、ふと、日本のまわりを見渡すと、狂った刃が、同胞をしかも、年少者を今日もまた国内であやめているではないか。こちらのほうが狂気だろう。国内でも防ぎようがない。海外の邦人のほうがまだこの状況下だから自粛させやすいし、現にパスポートを返納させる強行措置まで取っている。

▼日本国憲法には、「平和を愛する諸国民の公正と信義」を信頼して、わが国の「安全と生存を保持しようと決意した」とある。「イスラム国」のみならず、平和を愛していない諸国民がいかに多いことか。この一点だけでも現行憲法の世界観が、薄っぺらく、自主独立の精神から遠く離れていることがよくわかる。護憲信者のみなさんは、テロリストに「憲法を読んでね」とでも言うのだろうか。命の危険にさらされた日本人を救えないような憲法なんて、もういらない

とんでもない、まとめかたではないだろうか?

社会の公器としての企業であり、第四権としての「報道」であるものが、テロリストが日本国憲法を守らないから、憲法をいらないと言い放ってしまうのは、まるで小学生並のケンカではないか?

また、ISILも、信じられないが、彼らなりの唯一神への平和的行動なので、ジハードと神風特攻隊で対決しても、終わりなきはじまりになってしまうだけだ。

産経新聞さんの社説で、日本国憲法を「世界観が、薄っぺらく、自主独立の精神から遠く離れていること」と言い放つには、個人記者の一コラムの意見としてそうお考えになる人がたまたまいたのならば、まだ許せるが、産経新聞社全体でそう考えているのならば、相当まずくないだろうか?個人の署名記事でないだけにとても気にかかった。

ちなみにボクは護憲信者でもない。それにしても、この安易で稚拙なロジックは、あまりにもなさすぎると感じた次第である。

ITジャーナリスト・ソーシャルメディアコンサルタント

1961年神戸市生まれ。ワインのマーケティング業を経て、コンピュータ雑誌の出版とDTP普及に携わる。1995年よりビデオストリーミングによる個人放送「KandaNewsNetwork」を運営開始。世界全体を取材対象に駆け回る。ITに関わるSNS、経済、ファイナンスなども取材対象。早稲田大学大学院、関西大学総合情報学部、サイバー大学で非常勤講師を歴任。著書に『Web2.0でビジネスが変わる』『YouTube革命』『Twiter革命』『Web3.0型社会』等。2020年よりクアラルンプールから沖縄県やんばるへ移住。メディア出演、コンサル、取材、執筆、書評の依頼 などは0980-59-5058まで

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