『#マイナ免許証』2025年3月24日より運用開始、運用は3通り、手数料は妥当か?
KNNポール神田です。
『マイナ免許証』の手数料が発表となった。行政手続きのデジタル化を推進する政府の取り組みの一環ではあるが、この価格差にはいささか物足りなく感じた。
■運用は3通り『現行運転免許証』『マイナ免許』『マイナ免許&現行運転免許』
『保険証』廃止からの『マイナ保険』へのハードランディングではなく、『現行運転免許』を残した、そして併用もできるというソフトランディングの方法を取ったようだ。
そして、運用方法を『1.現行運転免許』『2.マイナ免許』『3.マイナ免許&現行運転免許』という3種類から選択できるようにしているのも特徴的だ。
『1.現行運転免許証』は、今まで通りの運転免許で更新時に運転免許の更新センターに出向いて更新する。何も変わらないという選択肢を残した。
『2.マイナ免許証』といっても、現行の『マイナンバーカード』のICチップに免許証の顔写真や、免許の種類、有効期限などの情報を記録するだけなので、現行の『運転免許証』を所有しなくてもよいということだ。
『3.マイナ免許証&現行運転免許』というのは、マイナンバーカードに紐づけされた『マイナ免許証』と『現行運転免許証』のハイブリッドだ。
そして、それぞれ手数料が変わる。
このように比較してみると、現行の運転免許証が物価高にあわせて値上りしているので、当然『マイナ免許』の取得と更新よりも安くなっている。
新規の『免許取得』は、個人情報の新規登録や初回の免許証発行を伴うが、『免許更新』よりは手続きがシンプルだ。通常、新規発行の場合は更新手続きに比べて短時間で済むため、コストが低く設定されている可能性がある。
『免許更新』には既存のデータの照合や、過去の交通違反歴などを確認する手続きが含まれ、より多くの管理や監視が必要となり、また、講習が伴うケースもあり、それにかかるコストが反映されていると予想できる。特に、デジタルデータの統合や管理が進む中で、そのコストが反映されていると考えられる。
それらをふくめ、すべての手続きの合理化を目指しているので、取得や更新にコストが反映しない意味でも『マイナ免許』の役割は大きいと期待されるが、ユーザーにとっては、実際にいくらのコスト削減になるのだろうか?
■実際に安くなるのは750〜800円だけ?
『マイナ免許』にすることによってのコストは『取得』で800円、『更新』で750円だけである。このくらいの『差』しかないのであれば、本来の『運転免許証』が手元にないという『不安感』を払拭する金額に筆者はならない気がしてならない。
例えば、『レンタカー』を借りるシーンでも、本来の『運転免許証』を提示すればスムーズに借りられるが、『手元で物理的』に証明することができないので、『マイナ免許』が普及するまでは、『マイナンバーカード』をスキャンして、なんらかの処理を待たされる時間が必要だ。
『自動車保険』などの更新でも、『運転免許番号』を知るために『マイナンバーカード』をスマートフォンでかざして、『マイナポータル』で確認するなどの手間と時間コストが発生しそうだ。
さらにカーシェアリングの『エニカ』のようなサービスでは互いの『運転免許証』を撮影して確認するというプロセスがあるために、物理免許がない場合、運用上困るシーンが容易に想定される。
『マイナ免許』を普及させるためには、『マイナ免許経済圏』も同時に一斉拡大させないと、不便しか生まれないのだ。
『免許関連業界』全体が『マイナンバーカード』のみで一気に解決するような方法が必要だ。それまでは、マイナ免許は無償化してもよいのではと思う。普及しなければ、社会も余計な手間をかけたくないからだ。現行の運転免許証とマイナ運転免許のハイブリッドが一番高いというのも、『マイナ免許』の利便性を知ってもらえる機会を逃している。
■公安委員会コードなどを元にした12桁の免許番号も要検討?
運転免許の番号の最初の2桁は、最初に取得した各都道府県の公安委員会のコードとなっている。
1〜2桁目は各都道府県の公安委員会のコード
3~4桁目は免許証取得年の西暦下2桁
5~10桁目は各公安委員会の管理番号
11桁目はチェックデジット
12桁目は盗難や紛失での再交付回数
を表す12桁となっている。
筆者は、この最初の2桁の公安委員会の番号は、マイナンバーカードの番号と紐づけたほうが合理的だと考えている。
何か警察の捜査で免許を取得した公安委員会コードが必要なのかもしれないが、それは後付けで『マイナ免許』側から公安委員会へと紐づけたほうが良い。
マイナンバーの12桁と一緒にとは思わないが、共通して使える発行自治体ナンバーとの紐づけはあったほうが便利ではないだろうか?
セキュリティ的な問題も当然あるが、物理的な『マイナンバーカード』を免許として持ち歩いているとなると、『12桁の個人番号』をビニールで隠していても10年の間に擦り切れてしまってしまうので、誰からも見られてしまう機会のある『個人番号』である。
『12桁のマイナンバー』は自治体の住民票コードを復元不可能な形で変換した11桁の数字と検査用数字1桁を加えて生成された番号である。
なので11桁の数字そのものに意味はない。
であれば、運転免許番号に、運転許可される『任意』の番号をつけ加えることも可能だ。
■一番望みたいのは、氏名のアルファベット化と誕生年の西暦表記
むしろ、『マイナンバーカード』に『マイナ免許』が統合されるが、海外にいくと、『マイナンバーカード』はまったく役に立たないという側面も考慮してほしい。
それは、氏名が漢字で、誕生日は和暦の元号だからだ。
少なくとも、『運転免許』と将来的に『パスポート』を考えるならば、名前と誕生日くらいはアルファベット併記を望みたい。
『マイナンバーカード』の利便性を高め、本人確認や免許、保険証と活用範囲が増えれば増えるほど、券面での氏名のアルファベット併記、誕生、西暦表記は必須な情報だと思える。