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“繊維化する50代” 最後まで自分らしく働くには、早期退職すべきか? 定年までがんばるべきか? #専門家のまとめ

河合薫健康社会学者(Ph.D)
(写真:イメージマート)

70歳まで働ける今を生きる「50代」は複雑だ。1つの会社で働き続け他の環境を知らない罪悪感、古い人間なのではないかという老害不安、役職定年か、部長になれるか在庫一掃セールかの瀬戸際で、早期退職でちらつくお金圧、今ならなんとかなるかもセカンドキャリア圧など、神経がまるで繊維のようにナイーブになっている。一方企業は、50代をターゲットにした大規模な希望退職が拡大している。50代からどう生きるかが問われる時代のヒントを、いくつかのデータや記事から考えてみよう。

ココがポイント

「早期・希望退職募集」を実施した企業は(中略)黒字が32社(略)黒字が約6割を占めた。
出典:株式会社東京商工リサーチ

早期の希望退職者の募集は初めて。(中略)募集する1000人が退職する場合、25年度の人件費は約90億円減少する見込み。
出典:日本経済新聞社 2024/11/14(木)

日本政策金融公庫国民生活事業では、女性の方、35歳未満または55歳以上の方の創業を「新規開業資金」にて支援しております。
出典:日本政策金融公庫ホームページ 新規開業資金(女性、若者/シニア起業家支援関連)

転職者数の2014年度からの推移を(中略)比較したところ、40代、50代の方が全体よりも伸びが大きくなっています。
出典:日経クロステック(xTECH)

エキスパートの補足・見解

黒字リストラが増えている背景に、今年4月から「65歳までの雇用確保」が企業に義務付けられることが背景にあることを鑑みると、大規模希望退職を実施する企業は今後も増え続けるであろう。

しかし一方で、深刻な労働力不足から中高年社員を貴重な戦力として中途採用する企業も出てきた。また、パナソニックHDが転職や退職で外に出た元社員に家電開発の協力を呼びかけ、彼ら彼女らが培ってきた知見とそんたくのない意見を反映する試みを実施するなど、昭和時代にはタブーとされた様々な働き方も広がりを見せている。

私がインタビュー協力者もコロナ後は転職や起業に踏み切る人が多い。

心の繊維化が進むと現状維持を選択しがちだが、医療技術の発展や食生活などの進化で、70歳、80歳になっても働ける肉体と精神を手にいれることも可能なのだから、気力があるうちに自分らしいキャリア開拓に、1、2の3で飛び込んだ方がいい。自分で限界を作らなければ可能性は無限に広がっていく。

ただし、新天地で活躍するにはこれまでのキャリア生活で血肉となった経験を土台にしつつ「学ぶ姿勢と謙虚さ」が不可欠なので、新人のつもりで一歩踏み出してください。

健康社会学者(Ph.D)

東京大学大学院医学系研究科博士課程修了。 新刊『40歳で何者にもなれなかったぼくらはどう生きるか』話題沸騰中(https://amzn.asia/d/6ypJ2bt)。「人の働き方は環境がつくる」をテーマに学術研究、執筆メディア活動。働く人々のインタビューをフィールドワークとして、その数は900人超。ベストセラー「他人をバカにしたがる男たち」「コロナショックと昭和おじさん社会」「残念な職場」「THE HOPE 50歳はどこへ消えたー半径3メートルの幸福論」等多数。

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