ソーシャルメディアは、銃社会よりも強いのか?
KNNポール神田です!
連日、米国からの訃報が続く…。これらの事件には3つの要因が深く絡んでいる
1.黒人差別問題
2.銃社会問題
3.ソーシャルメディアでの実況
オバマ大統領が追悼声明をおこなった。
第44代米国大統領が、史上初の黒人系となった今でも、差別意識は白人黒人の双方になくなってはいない。そして、そこに「銃を誰もが持てる社会」が介在することによって、米警察官は常に「死」を覚悟する瞬間のストレスと葛藤している。一発触発の緊張感は、正当防衛として、殺られそうなら撃ててしまう。それらが、ソーシャルメディアで実況中継されてしまう時代になったことによって、怒りまでが拡散されてしまった。
300万人がソーシャルで目撃したミネソタでの黒人射殺
特に、2016年7月7日に発生した米ミネソタ州での事件は、印象ぶかい。
ラビッシュ・レイノルズさんは、警察官に撃たれた瞬間から、facebook liveで実況を開始しはじめた。日本ではまだ馴染みの薄いfacebook liveは、facebookに記事をポストする感覚で実況放送ができる機能だ。
レイノルズさんのサイトには、恋人が警官に撃たれ、自らパトカーで搬送される生々しい映像がきわめて冷静に実況放送をおこなっている。レイノルズさんは、中継していることによって冷静さが担保されたのかもしれない。しかし、最後には感極まってしまう…。
【閲覧注意!】レイノルズさんのfacebook
「過激な描写が含まれる動画」とアナウンスされているが、facebook上には事件の証拠として、恋人がなくなる映像が残っている。
すでに動画の視聴数は500万回を超えている。
同時に、レイノルズさんへの寄付のファンドも立ち上がっている
https://www.gofundme.com/2d8ryf34
募金はすでに1万ドルを超えた…。
ソーシャル生放送局でシェアされる当事者情報
スマートフォンは、もはや誰もが持っている時代だ。そして、銃も誰もがライセンスを取得すれば持てるアメリカの銃社会。誰もがとっさに人を殺せるように、誰もがとっさに放送を開始することもできてしまう。今まで撮影した映像は、どこかのメディアに提供しなければ拡散されなかった。しかし、facebook liveなどでは、友人を通じて、その場の空気と共に、誰もの端末に当事者情報がダイレクトにシェアされる。その瞬間に生証人が大量に発生するのだ。今回のようなショッキングな当事者からの情報発信は、スマホのアプリを立ち上げ、ワンクリックのアクションで放送が開始できてしまう簡易さから実現した。
しかし、それと同時に、ダラスの悲劇のように、白人警察への怒りが別方向で派生してしまうという悲劇の連鎖も生んでしまったことも事実だ。銃の銃爪と、生放送の実況ボタン。どちらもワンクリックで、人の感情を止めてしまったり、人の怒りを増幅させてしまったりもする。特にソーシャルメディアでの拡散は想像以上に早い。
事件の背景にある、アメリカの悩める問題と、個人化する実況放送とソーシャルメディアとの関係性。ストレスが高まり、ヒステリックになりがちな環境には、どちらもふさわしくないようだ。