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【上越市】たてよこ書店のアスレチック&工房が今秋オープン!小さな本屋の大きな夢は新章突入へ

かどまる珈琲と緩いものを愛すWebライター(上越市)

雁木が並ぶ地域に住むライターのかどまるです。毎日猛暑が続いていますが、いかがお過ごしでしょうか。

ちょっと前までは『午前中の涼しいうちに』と早起きして用事を済ませることもありましたがここ数年、特に今年は明け方から気温が上がって涼しい時間帯が無くなってしまいました。
夏休みを過ごしていた子供たちにとっては、仕方がないこととはいえ熱中症の危険性から身を守るために公園や外で思い切り遊ぶ時間もかなり限られていたのではないかな、と思います。

その一方で冬はというと、雪を捨てる場所が制限されている町家地域では道幅が雪で狭くなったり、屋根からの落雪等の危険から近所で遊べる場所も限られています。

そう、気が付けば季節によっては『遊びに行けば誰かに会えるかも』と公園や遊び場へ行く機会がかどまるの子供時代より減っているような気がします。安全第一が最優先ですが、ちょっと残念な気も。そんなところへ面白そうな情報が流れてきました。

この日は雁木の風鈴の音を聞きながら東本町のたてよこ書店さんへ。高田の町家をリノベーションした小さな本屋さんで古書と新書を扱っています。
オーナーの堀田さんは学生ということもあり営業は月の半分のみ。しかし本屋さんでありながら子供の自習室があったり、イベントを行ったりと人が集まるきっかけ作りに積極的な本屋さんです。

ここで何やら『子供が集まって遊べる場所』を作っていると聞いてやって来たかどまる。
以前「お店の奥にもスペースがあるのでいろいろとやりたいことがあるんです」とお話していた堀田さん。きっと何やら面白いことが動き出したに違いない!
早速お邪魔してみましょう。

書店の奥にも続く雁木と別棟!1棟まるごと遊び場に改装中、公開工事の様子をご覧ください

この日は公開工事の真っ最中。
「どうぞ~」と堀田さんに案内されてぐるっと奥のほうへ回ってみると…

んん?書店の奥にも茶色い建物が。

逆から見たところ。土間の向こう側に書店の入口の引き戸が見えます。

なんと書店の奥は土間と同じ幅の雁木が残る中庭になっており、更にもう1棟の別棟が続いていました。
明かりとりのために中庭がある町家は多いですが、このミニ雁木が素敵ですね。
お天気が悪い日でも濡れずに奥の棟へ行くことができます。

「この建物をまるごと子供用のアスレチックと工房に改装してるんです」と堀田さん。
おお、それは凄い!
中のほうへも入ってみましょう。

雪に負けない頑丈な町家!手前は端材工房、1階と2階は吹き抜けアスレチックに改装中!

まず真っ先に目についたのが建物の横側の明かりとり。
頑丈な柱を残した状態で壁を剥がした、思い切った構造です。

この日は午前中に子供たちが来ていて、塗装作業を手伝った後でした。

よく見ると動物が隠れていますね、可愛い!
普通はこんなことをしたら怒られてしまいますが、きっと楽しかったでしょうね!
とても盛り上がったそうですよ。

建物の手前は台所だった場所。
「このスペースでは端材などを使って、子供たちが自由に使える工房にしたいと思っています」と堀田さん。
自宅では作るのが難しい大作に挑戦したくなってきますね。

建物全体が自由な雰囲気で、創作や遊ぶ意欲が湧いてくる空間になっています。

端材工房の奥は1階と2階を繋いだアスレチックに。
靴のまま階段を上がっていくと…

広々とした2階スペースへ。

ちょうど風が窓から窓へ吹き抜けてちょっと涼しくなっています。
更に一部の床板を外し木を使ったウッドクライミングで直接1階から登って来られるように、新潟工科大学の院生さんたちが奮闘中でした!

電動ドリルを操作しながら「こうかな?届くかな?」と試行錯誤する様子も。

元々が頑丈な造りになっていたようで小さな建物なのに梁が凄い。
高田の雪は水分たっぷりで重たい雪ですから、きっとそれにも耐えられるように頑丈な造りになっていたのでしょうね。
更に補強を加えていきながら、堀田さんの声掛けで集まった学生さんたちの作業は続きます。

ここで設計を担当した早稲田大学の筏さんのお話を伺ってみました。

机上では体験できない、学生たちの貴重な実践場!敢えて余地を残し発展させる空間作り

持ち主の高齢化や空き家問題で、そのまま解体されることも多い町家。
「こんな機会は滅多に無いですよ、頭ではこうしようと考えていても実際手を加えてみて初めてわかることも多いです」と筏さん。

取り付けの様子を見守るオーナーの堀田さん(左)と筏さん(右)
取り付けの様子を見守るオーナーの堀田さん(左)と筏さん(右)

「机の上で図面を引くことはできても電動ドリルや工具を体感できる機会は経験が少ない学生にとっては貴重です」

実際に現場に立って体感すると図面も違って見えてくることもあるでしょうね。
汗びっしょりになりながら、子供たちの目線や体の大きさに合わせて作業をしたという成功体験は学生にとってもこれからの財産になることでしょう。

かどまる
「工事期間はもう終わりを迎えますが、これからはどんな感じに進めていく予定ですか?」

筏さん
「補強するところはしっかり補強したので、後は敢えて大人が作り込みすぎないようにしたいなと。ここへ来た子供たちの発想に合わせて発展していければと思っています」

なるほど、子供たちの「もっとこうしたい」「こうすると楽しいかも!」という遊びの余地を残していくのですね。
秘密基地みたいだった本屋さんの奥に、本当に秘密基地ができた瞬間に立ち会うことができました。羨ましいな、子供たち!

今後の運営はどうなるの?子供の遊びに小さなトラブルはつきもの、ご理解のうえ協力してくださる地域の大人も是非ご参加を

公開工事の取材前に作業を手伝ってくれた子供たちの様子(画像提供:堀田さん)
公開工事の取材前に作業を手伝ってくれた子供たちの様子(画像提供:堀田さん)

取材当日は工事が公開されていたこともあり、様子を見に来たご近所の方もちらほらと。
こんな楽しそうなことは大人だって気になります。

そしてたまたまですが、かどまるがここへ来る直前に会った方も既に工事を見学された後だったそうで「堀田さんの様子を見ていると地域の私たちも頑張らなきゃな、と思いますよね」とお話をされていました。
ご近所同士でも期待と活動を応援する声が上がっています。

公開工事の様子。昔ながらの町家風情とご近所さん、携わる皆さんの温もりを感じました。(画像提供:堀田さん)
公開工事の様子。昔ながらの町家風情とご近所さん、携わる皆さんの温もりを感じました。(画像提供:堀田さん)

昨年よりご自身の子供時代の経験や土地勘から「人が集まる場所」を意識して本屋を運営されてきた堀田さん。

小さな子供でも見やすい位置に絵本が置いてあったり、お店の奥が子供たち運営による自習室になっていたり、ィベントにも積極的でした。そして今、新たな遊び場が誕生したことになります。

通りに面する、たてよこ書店の様子。本も棚も新旧が入交り合う素敵な空間です。
通りに面する、たてよこ書店の様子。本も棚も新旧が入交り合う素敵な空間です。

堀田さん
「雁木がある町家の風景自体が珍しいということもありますが、そういう町家の遊び場で集まって楽しく遊んだという記憶はきっと大人になっても残っているでしょうし、いつかUターン等の戻ってくるきっかけになるのでは、と思います」

暑い中作業中の堀田さん
暑い中作業中の堀田さん

普段当たり前に思っていた風景や環境も、外に出て初めて特別だったのだと感じることもあるでしょう。移住者であるかどまるもそう思います。
そして子供時代に体験した楽しい記憶は将来の自分の子供にも味わって欲しいもの。
堀田さんの長期的な目線の夢に頭が下がります。

壁のペイントを手伝う子供たち。(画像提供:堀田さん)
壁のペイントを手伝う子供たち。(画像提供:堀田さん)

今後はキッチンを改装したり、テナント出店やギャラリー、イベント会場などとして使用できる「シェアする商店」をつくるプロジェクトを立ち上げたりと、複合施設としての運営に向けて着々と準備を進めているそうです。
そういう意味でも新章に突入した「たてよこ書店」、ここまで読んで興味を持った大人も多いはず。

かどまる
「工事を終えようとしていますが、実際に利用できるのは9月以降からですか?」

堀田さん
「今日見ていただいたアスレチック部分の正式なオープンは秋から冬を予定しています。」

かどまる
「なるほど、では利用や詳細についてはたてよこ書店のインスタグラムを要チェックですね!」

堀田さん
「はい。ただ、僕がいないと開放できないというのも面白くないので協力してくださる方を募ったり、可能な限り子供たちによる自治で運営できる場所にしていけるように細かな準備を進めていきたいと思っています。」

普通の公共の遊べるスペースでも小さなトラブルはつきもの。
子供たちが楽しく遊べるように、大人の理解と協力は欠かせません。
興味を持った親御さんや大人の方もどうぞたてよこ書店さんのインスタグラムをご確認のうえ、お気軽に声をかけてみてくださいね。

堀田さん、お忙しいところありがとうございました!

いつもの書店は9/2~9/10営業予定!アスレチックは今秋オープン、書店の最新情報共々要チェック!

いかがでしたでしょうか?今回はたてよこ書店さんのアスレチックスペースについてお伝えしました。
実際の細かい運営についてはこれからの発表になりますが、まずは大本であるたてよこ書店さんのインスタグラムで最新情報をご確認ください。9月は9/2(土)~9/10(日)に営業を予定しているそうですので、どうぞ書店のほうへもお越しください。

書店がある東本町界隈は、インスタグラムでも人気のカフェや商店、昔ながらの町家風情を楽しめるエリアとして高田の街歩きでも欠かせない注目スポット。
そこに新たに生まれた子供の遊び場、どうぞ街歩きや書店のついでに立ち寄って実物をご覧いただければと思います。

きっと「子供の頃にこんな遊び場があったらなあ~!」と思うはず。
これから実際に子供たちの発想が加わっていくことでどんどん進化していくことでしょう。
かどまるも地域の大人の1人として、応援し続けようと思います。

本を読んで、勉強して、遊べる町家の小さな本屋さん。
皆さんもどうぞ最新情報をご確認の上お越しください。

たてよこ書店
住所 〒943-0825 上越市東本町2-1-4

*書店営業日とアスレチックについてのお問合せはインスタグラムのDMからお願いします。
駐車場 有(書店2件隣の砂利スペースに約2台可能)
営業日と営業時間 月によって変動あり、インスタグラムでご確認ください

珈琲と緩いものを愛すWebライター(上越市)

角(かど)は丸くやわやわと。上越の雁木がある地区に移住して10年、美味しい&楽しい情報をご紹介します。

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