【要注意】悪意ある買い手はこうしてやってきた!トラブルを解決したはずなのに…(下)追記:係争中事案
アンダーバリューの要求を執拗にしてくる。
(前回のあらすじ)
【要注意】悪意ある買い手はこうしてやってくる!商品の売買のネットトラブルはこうして起きた! (上)
商品の買い付けをしている40代女性のもとに、カナダ在住の男性から商品購入の依頼がありました。彼女は、注文通りに航空便で送りますが、買い手の男から「7着しか届いていない」というクレームが入り、返金を要求されます。
しかし彼女は毅然として断りますが、男はクレジット会社に異議を申し立てる強硬手段に。ついには、彼女のペイパル口座から、お金が引き落とされる事態になります。
執拗にクレームをあげ続ける男との攻防は、どこに向かうのか。
トラブルが発生する兆候はあったと彼女は言います。
「実は、商品を発送する前に、送料のことでもめていたのです」
今回の洋服は1着が約800gと重量があるため、送料が10万円以上になってしまいます。
それを男に伝えると、「カナダは関税が高いので、販売品ではなく、ギフト扱いにして送ってくれ。しかも、航空便で送る際の商品の仕入れ値を安く書いて送るように」と言うのです。
税金を逃れるために安い値段を書く「アンダーバリュー」という脱税行為を指示してきました。
長年、この仕事をしている彼女は「それは違法行為なので、できません」と答えます。
彼女によると、時にこうしたことを言ってくる人はいるそうですが、たいがいは「きっぱりと断る」と諦めるそうですが、彼は一歩も引きません。
「いつもやっていることだから問題ない!」「税関はわからないから!」と、執拗に不正行為を指示します。ついには「アンダーバリューができなければ、全額返金しろ」とまで言ってきます。
困り果てて、彼女が弁護士に相談すると「商品はまだ手元にあるので、代金約52万円を返金し、商品をこちらで処分しても、法律上は問題がない。くれぐれもアンダーバリューの要求は絶対に受けないように」と言われます。
彼女は男に返金して、商品を自分で売却する方向で考えていました。
それを買い手に伝えると、急に態度が軟化して、正規の価格を記載して送ることを了承したのです。
そして、商品を送ったところ、「商品の数が足りない」「偽物がまじっている」というクレームを受けたのです。
彼女は、万が一のトラブルに対処するために「郵送する前の商品の写真」や「購入店舗でのレシート」「発送時の郵便局のレシート」「航空便の控え」を持っていました。
そのなかでも私が注目したのは、「郵便局のレシート」でした。
そこにはカナダに送る際の荷物のグラム数が書かれてます。今回の洋服は1着約800gですから、彼女の1箱目に送った郵便局のレシートには約6000gの記載がされており、5着分(約800g×5)が入っているのは間違いありません。
買い手の男の主張では「1日目に発送した箱には、2着しかなかった」とのことですから、それでは1600gほど(約800g×2)しかないことになります。とても6000gには届かない数字になっているはずで、これは現地の郵便局で調べればわかることです。
彼女はその箱の中身の写真も、男から送ってもらっています。
そこで言いました。
「重さは嘘をつきません。このグラム数が、あなたが何よりしっかりと日本から商品を送った証拠になるはずです」
2日目に発送した箱には4点しかなく、3日目の発送分には1点しかなかったと男は言いますが、これも同じで、日本から送った際に受け取った郵便局のレシートのグラム数とまったく合いません。
日本の郵便局からも「日本からの出荷の段階では問題ない」とも言われていますので、仮に商品が抜き取られていたとしてもそれは、「海外で行われた」ということになります。国内での発送には問題なく、彼女には非はありません。
さらに「#9110(警察相談ダイヤル)に連絡、相談してはどうか」とアドバイスしました。
それは、この行動が詐欺を働いていないことを示すことにもつながるからです。
詐欺を働いた人間が、わざわざ嘘を見抜くプロである警察に赴き、相談することはありえません。この先、被害届を受理してもらえなかったとしても、警察に相談したという事実は、自分が正当に商取引を行ったことへの証にもなるはずだからです。
彼女はペイパルに、今回の商品を依頼された経緯から、アンダーバリューの要求をされたことを書いて、メールで送りました。その際、店舗での購入、発送時の証拠も添付して、相談している先の警察署と担当者名もしっかりと伝えました。
さらに、彼女はペイパルの相談ダイヤルにも電話をかけて事情を話し、こちらには何らの落ち度がないことを伝えました。
正確にそして誠意をもって事実を伝えることは大事です。
すると、数週間ほどで、引き落とされた約40万円は口座に戻ってきました。
このように、売買の経験豊富な彼女であっても、トラブルに巻き込まれてしまうことあるのです。
今はフリーマーケットなどで、商品を売る方も多く、トラブルに見舞われることもあるかもしれませんので、彼女が解決に導けた理由をあげておきたいと思います。
1つ目は、発送前の商品写真をとっておき、商品購入時と発送時のレシートや控えを手元に残しておいたことです。
「もしかすると、相手は悪意ある人物かもしれない」と考えて、トラブルに備えた対応をすることは、とても大事なことです。
2つ目は、自分が使う決済会社の補償についてどうなっているのかを、事前に調べておくことも必要です。
ペイパルには、買い手保護だけでなく、個人事業主などには、売り手保護もあります。
ただし、彼女によると「今回のような『商品が説明と異なる』とのクレームをあげられた場合、ペイパルでは、本来、売り手保護の対象にはならない」とのことです。
では、なぜ返金されたのでしょうか?
それは何より、彼女がペイパルに売買の経緯をしっかりと説明して、男の方にアンダーバリューの要求をするなどの「悪質性」と「詐欺行為の疑惑」があり、彼女に「非がない」ということを伝えたからに他なりません。
得てして、売り手と買い手の間を取り持つ仲介業者は、買い手の保護に重きを置いて裁定を下す傾向があります。だます側はこうしたところを利用して、金品を取ろうとしてきます。
そこで、異議申し立てに対する反論を、決済会社にメールで送るだけなく、彼女のように警察にも相談したうえで、電話でも経緯を伝えるという二重三重の対応が必要なのです。
これで「メデタシ、メデタシ」と思って読み終えようとした方はいないでしょうか?
それは大きな間違いです。悪意ある者は、しつこく迫ってくるものです。
悪意ある者は、再び、やってくる!
40万円ほどが返金されて、安心していると、数日後、再び彼女の口座から12万円ほどが引き落とされました。今度は男が1回目に入金した分に対して、クレジット会社に異議を申し立ててきたのです。この件は未だ、係争中です。
トラブルが終わったと思っても、執拗にクレームをあげてくる。これが悪意ある者のやり口でもあります。
今にして思えば、アンダーバリューの要求を強くされた時、ここが相手との契約を断ち切るポイントだったかもしれません。
小さなトラブルを起こすものは、決まって大きなトラブルを引き起こすものだからです。
【追記】(1月10日)
再び1回目の注文に対して異議を訴えられて、差し引かれた12万円の事案について,、報告がありました。
なんと「返金が認められなかった」ということです。
2回目は認められて、1回目は認められないという、非常に不可思議な裁定に彼女自身も戸惑っています。
これでは、違法行為を要求してきた相手の男が、味をしめてさらに同様な詐欺的行動を行う懸念もあります。また今回のケースは、チャージバック申請を利用した手口の可能性もあり、注視しています。
彼女は「前回と同じ取引内容です」と伝え、現在、ペイパルも相手の金融会社に異議を出してくれているとのことです。
また、状況がわかりしだいレポートしたいと思います。