なぜ台湾海峡を初通過したのは海自護衛艦「さざなみ」だったのか 理由が明らかに #専門家のまとめ
防衛省は9月28日、海上自衛隊の護衛艦「さざなみ」が同日、南シナ海で米国、豪州、ニュージーランド、フィリピンの4カ国の海軍艦艇とともに各種戦術訓練を実施したと発表した。同志国が連携を深め、強硬な海洋進出を推し進める中国を牽制する狙いがある。この合同訓練に先立ち、「さざなみ」は25日、海自艦艇として初めて台湾海峡を通過した。なぜいずも型護衛艦でもイージス艦でもなく、たかなみ型4番艦「さざなみ」が台湾海峡を初通過したのか。理由が明らかになった。
ココがポイント
エキスパートの補足・見解
政府は台湾海峡通過の事実を公表していない。海自も「部隊運用に関わることで答えられない」とコメントした。中国を過度に刺激したくない狙いがあるとみられる。
なぜ「さざなみ」が選ばれたのか。海自関係者は「訓練の一環で、さざなみが通峡したのだと思う。そもそも共同訓練に参加する護衛艦はある程度あらかじめ指定されている。もちろんイージス艦が指定される場合もあるが、訓練内容や他国海軍の派遣艦艇にもある程度釣り合いをみるので、あめ、なみ、つきクラスが妥当と判断されたのだと思う」と述べた。
あめ、なみ、つきとは、むらさめ型、たかなみ型、あきづき型の略だ。今回の共同訓練に参加した各国の艦艇は、「さざなみ」とほぼ同じ船体サイズとなっている。
そして、海自関係者は「この時期は艦艇も忙しく様々な任務に対応しなければならないので、数少ない即応艦の中から任務を振り分けなくてはならない。護衛艦すずつきの件もあるので、それなりにしっかりした艦艇を、と考えるのも間違ってはいない」と述べた。
南シナ海での合同訓練に向かう「さざなみ」の絶妙のタイミングを選んで、台湾海峡の通航を挙行したとみられる。