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トータル41勝!勝率8割超!爆進14連勝! 藤井聡太二冠(18)2020年度記録3部門でトップに

松本博文将棋ライター
(記事中の画像作成:筆者)

 2020年度の将棋界も最終盤。記録レースも佳境を迎えました。

 対局数部門で独走中なのは、62局の永瀬拓矢王座(28)です。

 永瀬王座はB級1組順位戦最終局に勝てばA級昇級が決まります。また竜王戦1組では羽生善治九段を破ってベスト4に進出しました。

 渡辺明王将に挑戦中の王将戦七番勝負では現在3連敗。13日から始まる第4局では巻き返しなるでしょうか。

 当たるべからざる勢いの藤井聡太二冠(18)は2月11日、朝日杯優勝を決めました。

 勝数部門は藤井二冠が41勝でトップです。

(藤井二冠、現在14連勝中)
(藤井二冠、現在14連勝中)

 藤井二冠は38勝で2位の永瀬王座を引き離しつつあります。

 ただし永瀬王座は王将戦七番勝負、王位戦リーグ、棋聖戦本戦トーナメントなども残しています。一方で藤井二冠は今年度中に残された対局数は少なく、逆転の可能性は十分にありそうです。

 藤井二冠は連勝も14に伸び、澤田真吾七段と並んで1位タイとなりました。2月18日におこなわれる竜王戦2組2回戦、広瀬章人八段戦に勝てば、15連勝で単独トップとなります。

 ちなみに藤井二冠は過去10連勝以上を6回記録しています。

 藤井二冠の最多連敗記録は・・・。なんと2連敗。これもまたおそるべき数字です。

 勝率部門では、一人異次元の8割をキープする藤井二冠が独走状態です。

 過去に年間8割以上を3回マークした棋士は、羽生九段と藤井二冠の2人しかいません。もし藤井二冠が4回目の8割以上を記録すれば、それもまた史上初です。

 藤井二冠がここから6連勝すれば、中原誠16世名人が1967年度に記録した不滅の大記録、勝率0.855(47勝8敗)に並びます。しかし王位、棋聖のタイトルを得て、それらのリーグ、トーナメントに出られない現在、年度内にあと6局は、残念ながら厳しそうです。

将棋ライター

フリーの将棋ライター、中継記者。1973年生まれ。東大将棋部出身で、在学中より将棋書籍の編集に従事。東大法学部卒業後、名人戦棋譜速報の立ち上げに尽力。「青葉」の名で中継記者を務め、日本将棋連盟、日本女子プロ将棋協会(LPSA)などのネット中継に携わる。著書に『ルポ 電王戦』(NHK出版新書)、『ドキュメント コンピュータ将棋』(角川新書)、『棋士とAIはどう戦ってきたか』(洋泉社新書)、『天才 藤井聡太』(文藝春秋)、『藤井聡太 天才はいかに生まれたか』(NHK出版新書)、『藤井聡太はAIに勝てるか?』(光文社新書)、『棋承転結』(朝日新聞出版)など。

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