「オフザボールの動き」を確認!ラグビー日本代表が「ドローン」を導入した意図
2015年の9月から10月にかけてイングランドで開催されるラグビーワールドカップイヤーに入り、2連勝中のラグビー日本代表。5月9日、福岡・レベルファイブスタジアムで3試合目となる韓国代表戦を迎える。
◇4月の合宿初日から「ドローン」を導入
そんな日本代表は4月から宮崎を拠点に合宿を行っている。今シーズンの初日(4月6日)の午後の練習から、「ブンブンブン」と大きな音を出して飛んできたのは、無人ラジコン撮影機の「ドローン」だった。
日本代表を率いて4年目となるエディー・ジョーンズHC(ヘッドコーチ)が、昨年まで主にBKのスキルコーチを担当していたスコット・ワイズマンテル氏(現フランスリーグ・リヨンのコーチ)の薦めで導入したという。
しかも、驚くことにドローンには「4Kカメラ」が搭載されており、さらにカメラは広角レンズで、隅々まで映像は鮮明であるため、選手たちは「さぼれなくなりましたね(苦笑)」と声を揃えていた。
(※ジョーンズHCがSOを起点とした10シェイプを解説している動画。ボールを持っていない選手の動きも大事)
◇ドローンを導入した意図とは?
ジョーンズHCは導入した意図をこう説明する。
「広い視野で選手を見る、ボールから離れた選手の動きをより鮮明に見るためです。現代ラグビーは、60%がラックとか(相手のキックを追う)チェイスなどで14人~15人が立っている状態です。ボールを持ってないときの動きができているか、ドローンでより見えます」
つまり「オフザボールの動き」をチェックするための、導入だったというわけだ。
日本代表はアタックに関して言えば、SH、SO、CTBの周りに他の選手が立ち、重層的に攻める「アタック・シェイプ」という戦術を導入しているが、相手ディフェンスを惑わすためにもボールを持っていない選手の「動き=モーション」が重要な要素になっている。
「1人がボール持っているとき他の全員が動いて全員がオプションになること。ボールキャリア1人が動いているのではなく、みんなが動いて選択肢になることが大事」(ジョーンズHC)
もちろん、ボールを持っていない選手も、ただ走るのではなくコース取りも考えなければならない。iPadで練習を撮影しながら“操縦”している分析担当の中島正太氏は「後ろから撮影することで、選手たちの走っているラインがよく見えます」と、早くもその効果を実感していた。
◇「オフザボールの動き」にも注目!
その他にもディフェンスをしているときも、当然、どこに立つか、そして相手に対してノミネート(誰をマークしているか)することも大事であるし、味方がキックを蹴った後のチェイスなどのコースも確認しているはずだ。
それだけでなく5月2日の韓国代表戦で、目に見えて向上していたと思ったのは、相手のキックからのカウンター攻撃だった。
前半5分、カウンターから攻撃した日本代表はFWやBKといったポジションに関係なく、ボールを持っていない選手が広くアタックラインに立ち「アタック・シェイプ」を形成、ボールを展開し、左サイドでPR三上正貴(東芝)、NO8ホラニ龍コリニアシ(パナソニック)とパスを回し、スーパーラグビーから一時帰国中のWTB山田章仁がゲインし、大きなチャンスを作っていた。
いずれにせよ、ドローンが日本代表の「オフザボールの動き」の向上に一役買っていることは間違いなさそうだ。5月9日の韓国代表戦(14時キックオフ@レベスタ)では、ボールを持っていない選手の動きにも注目してほしい。
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