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「ほとんどの人がまず知らない」専門家がそう警告する「災害時に直面する“第2の危機”」とは?藤沢市

ころんころライター(藤沢市)

今から約30年前の1995年1月17日、兵庫県南部を中心に発生した「阪神・淡路大震災」

淡路島北部を震源とする地震で、マグニチュードは7.3、最大震度7を記録し、死者・行方不明者6,434名、負傷者43,792名にのぼる甚大な被害をもたらしました。

写真提供/神戸市
写真提供/神戸市

また、昨年の1月1日には「令和6年能登半島地震」が石川県の能登半島を襲ったことも、記憶に新しい震災です。

そこで本日は、キャンプコミュニティ「キャンプサイコー協会」を運営し、キャンパーならではの視点から、最近は防災キャンプにも力を入れ始めている柳井 隆宏さん(愛称:キャンプサイコーおじさん)とともに、『大災害に学ぶ防災キャンプ』をお届けします。全3部作の第1回は、「おうちで始める防災キャンプ」です。

柳井さんがすすめる「おうちで防災キャンプ」とは?

大災害時にはライフラインが途絶し、生活が一変することも。避難所生活が必要な場合もありますが、自宅が無事であれば、備えと訓練により、最小限の負担で生活を継続できます。

「おうちで防災キャンプ」は、「備蓄の確認や防災訓練を兼ね、電気・水・ガスのない状況を、ひと晩キャンプ気分で楽しむ疑似災害体験」を意味します。

「おうちで防災キャンプ」に必要なもの

内閣府の資料によると、ライフラインの復旧には電気6日、水道30日、ガス55日が必要とされています。まずは必要最低限の備蓄品(最低3日~10日分)を確認します。

・飲料/飲み水(ペットボトルなど)、生活用水の確保
・食事/冷蔵庫の中身⇒常温保存食材⇒非常食の順で(冷蔵庫は、停電後、約半日で14度近く上がる実験報告も!)
・明かり/ランタン、ヘッドライト
・トイレ/災害用トイレ
・その他、あると便利なもの/ワンタッチテント、寝袋、災害用浄水器、モバイルバッテリー、ウェットシートなど

備蓄について、柳井さんは「災害時は、まず浴槽に水をためて生活用水を確保しましょう。寒い季節には、黒いテープを巻いたペットボトルを日光に当ててお湯を作ることもできますよ。また、冷凍庫にペットボトルの水を常備すれば、保冷剤として使え、溶ければ飲用水にもなります」と付け加えます。

災害時に起こりうる「第2の危機」と「キャンプギア(アウトドア用品)」

ところが、チェックリストに基づいて防災アイテムをそろえたとしても、「多くの人が見落としがちですが、せっかく用意した備蓄や防災セットが、いざという時に『自分のニーズに合わない』『使用できない』『必要なものが不足する』といった“第2の危機”に直面することがある」と警告する柳井さん。

その理由は、購入後の点検不足や訓練の欠如。

これを防ぐために、「普段使い慣れたツールやキャンプギアで備えるのも一策。また、定期的な訓練と家族人数に応じた適切な備蓄量の把握が重要」と柳井さんは説明します。

「例えば、テントはプライベート空間を確保し、余震時のガラス片や粉じんから身を守ってくれます。寝袋は保温効果に加え、安心感を得られるので眠れない時にも役立ちます。また非常食のストックや非常用トイレの凝固剤などは、1泊2日程度の『おうちで防災キャンプ』を行うことで必要量が見えてきます」と話します。

柳井さんと実践!家族みんなで楽しめる簡単な取り組み「おうちで防災キャンプ」

大災害を想定し、ライフラインが途絶えた際の過ごし方や備蓄を確認します。まずは生活用水の確保から。

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続いて、リビングにテントを張り、明かりを用意します

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懐中電灯や室内照明として使える多機能ライトは、1本あると非常に便利
懐中電灯や室内照明として使える多機能ライトは、1本あると非常に便利

「水災害時には水洗トイレの汚水が逆流することがあるため、非常用トイレは必ず準備してください」と柳井さん。実際に非常用トイレを組み立て、使い心地を疑似体験します。

「非常用トイレには、プライバシーを確保できる小型テントなどを備えるといいですね!」と力説
「非常用トイレには、プライバシーを確保できる小型テントなどを備えるといいですね!」と力説

続いて、非常食の在庫や賞味期限も確認します。

この時、古い食材は消費し、新しいものを買い足して補充(ローリングストック)。

非常食だけでなく、食べ慣れたものや好物などもストックしておくと安心感が増します。また、ガスコンロを使って自炊も試します(換気をお忘れなく!)。

今の季節は、暖房のない状況で、寝袋を使って安眠できるかも確認します。

「僕は顔が寒いと寝られない質で…。そういう方は、タオルなどを1枚用意しましょう!」と柳井さん
「僕は顔が寒いと寝られない質で…。そういう方は、タオルなどを1枚用意しましょう!」と柳井さん

たためば30センチ程度の筒状になり、非常にコンパクトな寝袋
たためば30センチ程度の筒状になり、非常にコンパクトな寝袋

このほか、災害用浄水器やモバイルバッテリーの使い方などもチェックします。

使い方をしっかり確認しておきたい災害用浄水器
使い方をしっかり確認しておきたい災害用浄水器

こうした体験を通じ、「個々に適した防災アイテムや必要な備蓄量など、具体的な改善点や気づきを得られる点が大きなポイントです。家族で防災について話し合う時間や心の余裕も生まれますよ」と指摘する柳井さん。

続けて、「災害は予測できないため、空のボトルに最低限の防災グッズを入れて持ち歩くことも命を守るために有効です」と提案します。

柳井さんが持ち歩いている防災ボトル。なかには、笛やライト、サバイバルシートなどが入っている
柳井さんが持ち歩いている防災ボトル。なかには、笛やライト、サバイバルシートなどが入っている

取材中、記事には収まりきらないほど、“備える楽しさ”を教えてくれた柳井さん。みなさんも「これが気になる!」と感じるアイテムが見つかったのではないでしょうか?

第2回では、スポーツ用品やアウトドア用品を専門とする「株式会社アルペン」の協力を得て、柳井さんと共に防災に役立つ最先端アイテムに迫ります。お楽しみに!

※柳井さんの公式 Instagram(外部リンク)は、防災やアウトドアに役立つ情報が満載です。ぜひチェックしてみてくださいね。

基本情報
「キャンプサイコー合同会社」
柳井 隆宏さん(愛称:キャンプサイコーおじさん)

公式 ホームページ(外部リンク)
公式 Instagram(外部リンク)
公式 X/Twitter(外部リンク)
※詳細は「キャンプサイコー合同会社」の公式サイトをご確認ください。

取材・撮影・校正協力 キャンプサイコー合同会社 柳井様

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ライター(藤沢市)

湘南エリアの複数メディアや紙面、昭文社「まっぷるトラベルガイド」などで、記事執筆&撮影を担当。取材スポットは1000ヶ所超え。そんな取材後記や、徒然なるままのゆるゆる日暮らしを、Instagramに綴っています。ほわっとあたたかくなる「神奈川県藤沢市」の情報をお届けできたら幸いです。※毎週日曜の20時10分に、LINEを通じて1週間分の記事を「まとめてお届け (ダイジェスト配信)」しています。友だち追加すると、藤沢市の話題(特に美味しいもの情報)に困りません。

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