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祝!「おめでた」ヘンリー英王子と37歳のメーガン妃に第1子 来春に出産予定

木村正人在英国際ジャーナリスト
今年5月、ウィンザー城で結婚式を挙げたヘンリー王子とメーガン妃(筆者撮影)

[ドイツ南部ミュンヘン発]今年5月、ウィンザー城で結婚式を挙げた英王位継承順位6位のヘンリー王子(34)と米人気女優メーガン妃(37)がロイヤルベイビー(同7位)を授かりました。英王室が発表しました。第一子の誕生は来春だそうです。おめでとうございます。

10月12日、エリザベス女王(92)の次男アンドルー王子(58)の次女ユージェニー王女(28)がワイン商ジャック・ブルックスバンク氏(32)とウィンザー城で結婚式を挙げたばかり。「おめでた」はその時、ロイヤルファミリーに知らされたそうです。

英国の欧州連合(EU)離脱交渉が崖っ縁に立たされていることを忘れさせるビッグニュースです。

筆者は朝まだきのウィンザー城ロングウォークに陣取り、9時間後にまぶしい輝きを放つウェディングドレス姿のメーガン妃をカメラに収めただけに感激もひとしおです。

ヘンリー王子はメーガン妃にぞっこんですが、子はかすがいと申します。メーガン妃以上にヘンリー王子はうれしかったと思います。

メーガン妃にメロメロのヘンリー王子(昨年12月の初公務で筆者撮影)
メーガン妃にメロメロのヘンリー王子(昨年12月の初公務で筆者撮影)

皆さんもご存知の通り、メーガン妃は自力で人気女優というキャリアを築き上げた女性です。片や、ヘンリー王子は文字通り「銀の匙(さじ)」をくわえて生まれてきたプリンスで、絵に描いたようなお人好しです。

王室カメラマンや欧州の女性ジャーナリストの多くは結婚前から2人の破局を懸念していました。

世界中の注目を集めた世紀のロイヤルウェディング、ダブル不倫、離婚、交通事故死という悲運をたどった母親ダイアナ元皇太子妃を思うヘンリー王子が浮気をしたりして家庭を壊すことはまず考えられません。

しかし米国人のメーガン妃が「お妃」という仕事に飽きてしまわないかと心の中で心配するキャリアウーマンや王室ジャーナリストは決して少なくありません。

ヘンリー王子は、2男1女をもうけた兄のウィリアム王子とキャサリン妃と同じように幸せな家庭をできるだけ早く持つことを心から望んでいました。父親方の家族からひどい中傷にさらされているメーガン妃もきっと同じ思いを抱いていたに違いありません。

初産のメーガン妃は高齢出産となるため、筆者は早い時期に第1子をもうけるのではないかと思っていました。女性としてのキャリアも大切ですが、家庭の幸せに恵まれなかったヘンリー王子とメーガン妃にとって「愛こそ第一」だったのではないでしょうか。

ヘンリー王子とメーガン妃はオーストラリア、ニュージーランド16日間訪問の公務のため15日、シドニーに到着しました。

メーガン妃はユージェニー王女の結婚式に濃いブルーのコートを着て出席したため、「おめでた」ではないかとの観測が駆け巡っていました。

シドニーに到着した際にもお腹を隠すように2つの大きなフォルダーを抱えていたため、英メディアの「観測」は一気に「確信」にヒートアップしました。

英BBC放送によると、「おめでた」の朗報に、メーガン妃の母親ドリア・ラグランドさんも「ラブリーなニュースに幸せいっぱいです」と大喜びだそうです。

筆者は2人の結婚式での黒人聖歌隊による「スタンド・バイ・ミー」のゴスペル(黒人霊歌)を思い出しました。世界は白人・男性・年配者・右翼と、非白人・女性・若者・リベラルに二分されています。

バラク・オバマ前米大統領や民主党の大統領候補だったヒラリー・クリントン氏に対するドナルド・トランプ米大統領の執拗な攻撃や、黒人の血が流れるメーガン妃への異母姉兄の嫌がらせはその象徴です。

肌の色、言語や文化、伝統の違いを超えて「スタンド・バイ・ミー」とヘンリー王子とメーガン妃は世界中に呼びかけました。2人は「おめでた」によって「愛の力」と「スタンド・バイ・ミー」のメッセージを改めて発信しました。

メーガン妃は父親方の異母姉兄から心無い攻撃を受けています。これに対し英王室は、高齢で公務から退き欠席と発表されていたフィリップ殿下が結婚式に出席し、バージンロードはチャールズ皇太子がメーガン妃の手を引いて歩きました。

「サンキュー、パ(お父さん)」というヘンリー王子の言葉は英王室がメーガン妃を全面的に支援するという強い意思の現れでした。

1992年、チャールズ皇太子とダイアナ元妃の結婚生活の破綻を暴露したミリオンセラー『ダイアナ妃の真実』で世界中にセンセーションを巻き起こした英作家アンドリュー・ モートン氏は『メーガン:ハリウッドのプリンセス』を出版、今年4月の記者会見で次のように話しました。

記者会見するアンドリュー・モートン氏(筆者撮影)
記者会見するアンドリュー・モートン氏(筆者撮影)

「メーガン妃は生まれながらのアクティビスト、ダイアナ元妃はケアラー(世話をする人)という違いはあります。ダイアナ元妃からメーガン妃へとバトンタッチされたヘンリー王子は大きな変化を遂げたように思います」

「ヘンリー王子とメーガン妃は100年後に振り返ってみても偉大なラブストーリーになるはずです。メーガン妃は英王室の大きな財産になります」

「これまで自立したキャリアを歩んできたメーガン妃が出産したら、周りからのサポートが必要になります。その時、どう変わっていくのか楽しみです」

ヘンリー王子とメーガン妃の生き方が新しい英国、引いては世界の方向性を示すだろうというのは持ち上げすぎでしょうか。

(おわり)

在英国際ジャーナリスト

在ロンドン国際ジャーナリスト(元産経新聞ロンドン支局長)。憲法改正(元慶応大学法科大学院非常勤講師)や国際政治、安全保障、欧州経済に詳しい。産経新聞大阪社会部・神戸支局で16年間、事件記者をした後、政治部・外信部のデスクも経験。2002~03年、米コロンビア大学東アジア研究所客員研究員。著書に『EU崩壊』『見えない世界戦争「サイバー戦」最新報告』(いずれも新潮新書)。masakimu50@gmail.com

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