文大統領はなぜ若い世代に支持されないのか?支持率が20代では最低の三つの理由
世論調査会社「韓国ギャラップ」が昨日(10月1日)発表した文政権の国政に関する世論調査(9月28-30日実施)によると、「評価する」が38%、「評価しない」が54%。「評価する」は前回(9月第3週)よりも2ポイント増え、「評価しない」は逆に3ポイント下がったが、それでも依然として「評価しない」が多い。国民の半数以上が文大統領を支持していないのである。
地域別では全人口(5千134万人)の5分の1を占めるソウルでの支持率は34%と、全国平均よりも4ポイントも低い。また、世代別では20代の支持率は30%を割り、27%しかなかった。
一時は最高で83%もあった支持率の急落に文政権は就任5年目の第2分期支持率では歴代大統領の盧泰愚(1988年2月25日~93年2月24日)=12%、金泳三(1993年2月25日~98年2月24日)=7%。金大中(1998年2月25日~2003年2月24日)=26%、盧武鉉(03年2月25日~08年2月24日)=24%、李明博(08年2月25日~13年2月24日)=25%(朴槿恵前大統領は就任5年目の第1分期中に弾劾され、罷免されたので含まれず)に比べると、最も高いことからあまり悲観していないようだが、若い世代の離反が今年4月のソウル・釜山2大市長選挙での与党候補惨敗の一因となったことは紛れもない事実である。
「評価しない」のトップは「不動産政策」で、3人に1人は不満を表明していた。続いて「経済・民生問題の対応」となっており、「北朝鮮政策」や「コロナ対策」はさほどマイナスポイントにはなっていなかった。
文大統領が若い世代から支持を得られないのは「公正でない」「不平等」の施策に問題があるが、一番の理由は2017年の大統領選挙公約の不履行にあるようだ。
文大統領は大統領選挙当時、「仕事が与えられる大韓民国」と「出産の心配のない大韓民国」を公約に掲げ、若者から圧倒的な支持を得て当選を果たした。しかし、現実は不動産価格の上昇、雇用市場の悪化により就業、出産状況は最悪である。
皮肉なことに今では20代は就業、結婚、出産を放棄した「3放世代」と呼ばれる始末だ。これに「住む家がない」が加われば「4放世代」と言うことになる。
韓国統計庁のデーターによれば、求職活動を放棄した若者は2016年の24万5千人から文政権になった2017年は27万人、2018年は28万3千人、2019年は33万2千人、2020年は41万5千人と膨れ上がる一方だ。今年は8月現在、41万9千人前後で推移しているが、就職難のため親に依存している若者の比率は38.9%に上っているそうだ。
就職ができなければ、結婚もできないため結婚を放棄する20代も増えている。例えば、20代( 25~29歳)の昨年の結婚件数は1000人あたり男性25.2人、女性44.9人に留まっている。文政権になる前の年の2016年は男性36.8人、女性66.5人だった。僅か年で男性は11.6人、女性は21.6人も減ったことになる。
出産率も下がる一方で、2001年に60%あった20代の女性の出産率は昨年は約3分の1の22.1%にまで減少していた。
来年の大統領選挙ではソウルと若者を制した候補が勝つと言われているだけに与野党の次期大統領候補は文政権の失策から学び、20代~30代の若い層の支持を得るため住宅問題、就職問題を最優先公約に掲げているが、いずれも構造的な問題を抱えているだけに誰が大統領になって解決は容易ではない。