再び大量の水蒸気が九州を指向へ、集中豪雨の再発に厳戒態勢を
きょうは九州への水蒸気の供給がストップ
少し専門的ではありますが、水蒸気の流れ(移流)をみてみましょう。
まず左側にある図には、日本地図に着色された降水域の他に矢印があります。
この矢印に沿って切った断面図が右側となり、ちょうど矢印の断面を南の沖縄方面から北側に眺めている形になります。
左側の図では矢印が九州付近を通っていますので、右側の図では九州付近を東西に地上から上空(約4000メートル)まで眺めている感じになります。
ここで右側の図で、赤い所は水蒸気が流れ込んでいる所を表し、赤が濃ければ濃いほど大量の水蒸気が移流していることになり、逆に濃い青色ほど水蒸気の移流は小さくなります。
きょう8日(水)15時の段階ではどうでしょう。
九州の東側、四国の南あたりは赤色になっており、多くの水蒸気が流れ込んでいますが、九州の西側は青一色になっており、きのうまで流れ込んでいた大量の水蒸気は梅雨前線が南下するとともに九州の南の海上を指向する状態になっています。
ですから、きょう日中は九州付近で雨は降らずに梅雨の晴れ間も広がりました。
ところが今後が非常に心配な状況となります。
日付が変わる頃から水蒸気移流が始まる
あす9日(木)に日付が変わる頃から九州の西海上、上空500メートル~1000メートル付近で、暖かく湿った空気の移流がだんだん強まり、これに伴って、九州南部を中心に雨脚の強まる所が出てくるでしょう。
あすは大量の水蒸気が九州へ流れ込む
あす9日(木)15時の予想では、九州の西海上は南西風の強まりとともに、大量の水蒸気移流を示す赤色で染まっており、特に上空約500メートル前後の所にこの赤色(水蒸気移流)の中心があります。
集中豪雨(線状降水帯)をもたらすような活発な雨雲が発生する時は、この最下層と呼ばれる上空500メートル前後の所に大量の水蒸気が移流してくることが分かっており、この予想をみても九州付近が再び極めて危険な状態になることを物語っています。
ただ非常に危険になることは推測出来るのですが、局地的な市町村レベルでは、いつどれ位の雨が降るかまではなかなか予想が出来ません。
きょう夕方に気象庁から新たな大雨情報が発表されましたが、引き続き、気象庁の気象レーダーや危険度分布、あるいは環境省の川の防災情報などを参考に、少しでも危ないと感じたら、躊躇なく、積極的な避難行動をお願いしたいと思います。
このような危険な状態は少なくとも12日(日)頃までは続き、来週も似たような状態が続くおそれがあります。
”熊本豪雨”時の水蒸気移流
参考までに熊本県と鹿児島県に大雨特別警報が出された7月4日(土)午前6時の水蒸気移流の状態です。南西風の強まりとともに大量の水蒸気が運ばれて、九州付近は一面赤色で染まっています。
”九州北部豪雨”時の水蒸気移流
こちらも参考までに、長崎県、佐賀県、福岡県に大雨特別警報の出された7月6日(月)18時の水蒸気移流の状態です。
やはり南西風の強まりとともに上空500メートル前後あたりを中心に、大量の水蒸気移流を示す赤色で染まっています。
あす9日(木)はまさにこのような状態が予想されています。かといって、同じような線状降水帯が発生するとは限りませんが、間違いなく、豪雨をもたらすポテンシャルは同じくらいあると思って、備えて下さい。