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ウクライナ軍の"FPV神風ドローン" ロシア軍の走行中の戦車の開いているハッチの中に突入

佐藤仁学術研究員・著述家
(写真:ロイター/アフロ)

2022年2月にロシア軍がウクライナに侵攻。ロシア軍によるウクライナへの攻撃やウクライナ軍によるロシア軍侵攻阻止のために、攻撃用の軍事ドローンが多く活用されている。また民用品ドローンも監視・偵察のために両軍によって多く使用されている。そして両軍でドローンの撃墜が繰り返されている。

2023年3月にはウクライナ軍の54旅団のK2コンバットグループが神風ドローンで、走行しているロシア軍の戦車のハッチの中に突入していった。神風ドローンはFPV(ファースト・パーソン・ビュー)機能を搭載していて走行している戦車のハッチの中に突っ込んでいったところまでの映像を撮影している。

FPVはドローンに搭載されたカメラの視点から見えている風景が操縦者に見える。標的に突っ込んでいき爆発するので最後は神風ドローンも粉々に破壊されるので、映像も爆発の直前で停止している。神風ドローンがハッチの中に突入していってから映像も停止しているので、ロシア軍の戦車がどうなったのかは不明である。またロシア軍が上空から突っ込んでくる神風ドローンに気が付いていたかどうかも不明。

ウクライナ軍では神風ドローンで標的に攻撃する際には、他のドローンでその様子を監視し撮影した動画を公開することがある。だが、今回の走行中のロシア軍の戦車のハッチの中に突入した神風ドローンは他のドローンから撮影した映像はないようだ。

ウクライナ軍ではロシア軍の戦車や軍事施設を標的にして神風ドローンで突っ込んでいき爆発させることは多い。またロシア軍が放置して逃げていったり、止まっている戦車の開いているハッチにドローンで上空から爆弾を投下して破壊することも多い。そのようなドローンで撮影されたロシア軍の戦車が破壊される映像はほぼ毎日、ウクライナ兵のSNSなどに公開されたり、ウクライナや欧米のメディアで報じられたりしている。

ハッチを閉めると戦車からの視界が狭くなるのでハッチを開けて走行していることはよくあるようだが、走行中の戦車のハッチの中をめがけて神風ドローンが突っ込んでいくシーンをFPVでとらえた映像は珍しい。

▼走行中のロシア軍の戦車の開いているハッチの中に突入するウクライナ軍のFPV神風ドローンのFPV映像

戦車のハッチ
戦車のハッチ提供:Ukrainian Governmental Press Service/ロイター/アフロ

戦車のハッチ
戦車のハッチ提供:Ukrainian Governmental Press Service/ロイター/アフロ

▼乗り捨てられたロシア軍の戦車のハッチに上空のドローンから爆弾を投下するウクライナ軍

学術研究員・著述家

グローバルガバナンスにおけるデジタルやメディアの果たす役割に関して研究。科学技術の発展とメディアの多様化によって世界は大きく進化してきました。それらが国際秩序をどう変化させたのか、また人間の行動と文化現象はどのように変容してきたのかを解明していきたいです。国際政治学(科学技術と戦争/平和・国家と人間の安全保障)歴史情報学(ホロコーストの記憶と表象のデジタル化)。修士(国際政治学)修士(社会デザイン学)。近著「情報通信アウトルック:ICTの浸透が変える未来」(NTT出版・共著)「情報通信アウトルック:ビッグデータが社会を変える」(同)「徹底研究!GAFA」(洋泉社・共著)など多数。

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