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ウクライナ副首相「AI搭載の監視ドローン2000機を最前線へ。高品質なデータは素晴らしい結果に」

佐藤仁学術研究員・著述家
(写真:ロイター/アフロ)

2023年10月にウクライナの副首相のミハイロ・フェドロフは自身のSNSで、2000機の監視ドローン「Autel EVO MAX 4T」を戦場の最前線に送ることを明らかにした。

副首相は「これらの監視ドローンはAI(人工知能)技術を搭載しています。そのため自動的に標的を検知して追跡することができます。品質の高い精確なデータは攻撃部隊にとって素晴らしい結果をもたらします。ご期待ください」とコメント。

2022年2月にロシア軍がウクライナに侵攻。ロシア軍によるウクライナへの攻撃やウクライナ軍によるロシア軍侵攻阻止のために、攻撃用の軍事ドローンが多く活用されている。また民生用ドローンも監視・偵察のために両軍によって多く使用されている。ウクライナ軍では監視・偵察目的で導入した民生品ドローンに爆弾や手りゅう弾を搭載してロシア軍の上空から落下させてダメージを与えている。小型民生品ドローンに爆弾を搭載して標的に突っ込んでいく、いわゆる神風ドローンによる攻撃もよく行われている。

デジタル推進も担当しているミハイロ・フェドロフ副首相は、ロシア軍がウクライナに侵攻した直後から、ドローンの開発と調達を積極的に進めてきた。今回、最前線に送られる監視ドローン2000機はAI技術を搭載しており、自動的に標的を検知して追跡できる。

今回のドローンは監視用で、自律的にAI技術が判断して攻撃は行わないようだ。だが、標的を検知したら人間の判断を介さないでAIが判断して攻撃を行う、いわゆる「キラーロボット」と称される自律型殺傷兵器(Lethal Autonomous Weapons Systems:LAWS)もいずれ登場してくる可能性は大いにある。そのような人間の判断を介さないで人間を標的にして攻撃を行うことが非倫理的で、非道徳的であることからいくつかの国やNGOがキラーロボットや自律型殺傷兵器(LAWS)の開発と使用の反対を訴えている。

ウクライナ軍だけでなく、ロシア軍もイラン製軍事ドローン「シャハド」でウクライナ軍に突っ込んできたり、ウクライナ軍と同じように民生品ドローンに爆弾を搭載してウクライナ軍に爆弾を投下して攻撃を行っている。監視ドローンも非常に多く使用されている。監視ドローンで標的を検知したらミサイルなどで攻撃を行っている。そのため両軍によって上空のドローンの迎撃と破壊も頻繁に行われている。ウクライナ軍はロシア軍のドローンを毎月数百機ほど破壊している。ウクライナ軍のドローンもロシア軍によってかなり破壊されている。ドローンは監視・偵察用も攻撃用も何台あっても戦場では足りない。

▼副首相がAI技術搭載の監視ドローン2000機を最前線に送ることを発表

▼Autel EVO MAX 4T

学術研究員・著述家

グローバルガバナンスにおけるデジタルやメディアの果たす役割に関して研究。科学技術の発展とメディアの多様化によって世界は大きく進化してきました。それらが国際秩序をどう変化させたのか、また人間の行動と文化現象はどのように変容してきたのかを解明していきたいです。国際政治学(科学技術と戦争/平和・国家と人間の安全保障)歴史情報学(ホロコーストの記憶と表象のデジタル化)。修士(国際政治学)修士(社会デザイン学)。近著「情報通信アウトルック:ICTの浸透が変える未来」(NTT出版・共著)「情報通信アウトルック:ビッグデータが社会を変える」(同)「徹底研究!GAFA」(洋泉社・共著)など多数。

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