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絶好調の藤井聡太七段、順位戦昇級なるか?〜C級1組順位戦「ラス前」展望〜

遠山雄亮将棋プロ棋士 六段
藤井聡太七段は全勝での昇級を決められるか(写真:森田直樹/アフロ)

 第78期順位戦C級1組は、4日(火)に9回戦の対局が一斉に行われる。

 ここまで藤井聡太七段(17)がただ一人8戦全勝で、この9回戦で勝てばB級2組への昇級が決まる。

藤井七段の昇級は

 勝つと昇級が決まる藤井七段は高野秀行六段(47)と対戦する。

 藤井七段は昨年の9月から王将リーグでの2戦以外負け無しで絶好調だ。

 今年度の勝率も8割に乗せてきた。このまま8割以上をキープすれば3年連続となり、将棋界の歴史上初めてのこととなる。

 対戦する高野六段は矢倉を得意とする本格派居飛車党。

 今年度はここ数年の不調を脱して好調だ。順位戦もここまで6勝2敗と星を伸ばしている。

 矢倉戦法復活の波に乗って勝率を上げている印象がある。

 本局は藤井七段の先手番と決まっている。戦型は藤井七段が得意としている角換わり戦法になりそうだ。

 最近の勝ちっぷり、そして戦型面からも藤井七段が有利と言えそうだが、簡単にはいかないだろう。

 仮に藤井七段が負けたとしても、他の結果によっては昇級が決まる場合もある。

昇級争い

 C級1組の昇級枠は2つ。1枠は藤井七段で決まる可能性が高い。

 もう1枠の争いは熾烈だ。

 現在7勝1敗は下記の3名。(カッコ内は今期順位戦の順位)

  • (14)佐々木勇気七段
  • (32)及川拓馬六段
  • (34)石井健太郎五段

 同星の場合は前期成績による順位上位が上となる。

 そのため、佐々木七段は残り2戦を勝てば他の結果にかかわらず昇級となる。

 佐々木七段は藤井七段のデビューからの連勝記録をストップしたことでも有名で、その実力は高く評価されている。

 ただ、順位戦は好調だが全体では調子が上がっておらず不安もある。

 3名とも残りの2戦は強敵との対戦を控える。

 敗戦は昇級争いからの脱落を意味する。

 サバイバルレースは続く。

順位戦はクライマックスへ

 上を見る戦いもあれば、下を見る戦いもある。降級点をめぐる争いも熾烈だ。

 C級1組は3月3日(火)の最終戦ですべてが決まる。

 2月から3月にかけて順位戦は各クラスで佳境を迎える。

 今週は順位戦のラス前の対局が続く。

  • 4日(火):C級1組
  • 5日(水):B級2組
  • 6日(木):C級2組の半分(半分は先週対局済み)

 どのクラスも佳境に入っており、昇級者が決まるクラスもありそうだ。

 将棋ファンとしては見逃せない一週間となる。ご注目いただきたい。

将棋プロ棋士 六段

1979年東京都生まれ。将棋のプロ棋士。棋士会副会長。2005年、四段(プロ入り)。2018年、六段。2021年竜王戦で2組に昇級するなど、現役のプロ棋士として活躍。普及にも熱心で、ABEMAでのわかりやすい解説も好評だ。2022年9月に初段を目指す級位者向けの上達書「イチから学ぶ将棋のロジック」を上梓。他にも「ゼロからはじめる 大人のための将棋入門」「将棋・ひと目の歩の手筋」「将棋・ひと目の詰み」など著書多数。文春オンラインでも「将棋棋士・遠山雄亮の眼」連載中。2019年3月まで『モバイル編集長』として、将棋連盟のアプリ・AI・Web・ITの運営にも携わっていた。

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