アンネ・フランクハウス製作「様々な価値観と多様性を受け入れる寛容」を伝えるARアプリ
2021年11月16日にはアンネ・フランクハウスはAR(拡張現実)技術を活用したアプリ「The Bookcase for Tolerance」の提供を開始した。11月16日はユネスコが定めた国際寛容デー (International Day for Tolerance)で、アンネ・フランクと4人の若者が現代社会が直面している差別や偏見、寛容の問題についてそれぞれの視点で語っている。「The Bookcase for Tolerance」の中ではARでアンネ・フランクの当時の写真、貴重な動画がデジタル化されて、ユダヤ人だったアンネが差別迫害され隠れ家に隠れざるをえなかった想いなどを語りかけている。
そして「The Bookcase for Tolerance」が欧州の最も好きなサイトを選ぶ「Favourite Website Awards」(FWA)にノミネートされた。FWAは2000年から20年以上にわたって社会課題を扱ってたり、クオリティの高いコンテンツのサイトなどを「最も好まれたサイト」として賞を授与してきた。
▼The Bookcase for Tolerance「アンネ・フランク」
第2次大戦時にナチスドイツがユダヤ人を迫害、約600万人を殺害したホロコースト。そのホロコーストの象徴的な存在が、アンネ・フランク。アンネはナチスの迫害を逃れて、ドイツからオランダに移住。1942年7月からオランダのアムステルダムの隠れ家に身を潜めて生活をしていたが、1944年8月に密告によって逮捕され、強制収容所に送られた。そして戦争が終結する直前にドイツのベルゲン・ベルゼン収容所で15歳で死亡。隠れ家に隠れていた時の生活や思いを綴った日記が戦後になって発見され、ホロコーストを生き延びることができた父オットー・フランクによって「アンネの日記」として出版。今でも世界中の人々に読み継がれている。
アムステルダムにはアンネ一家らが身を潜めていた家があり、現在でもアンネ・フランクハウスとして世界中から多くの観光客が訪問している。日本でもお馴染みの「アンネの日記」だが、アンネ・フランクは世界中の老若男女にも人気がある。世界中の若者に人気のインスタグラムには世界中のアンネ・フランクのファンがアンネの当時のモノクロ写真や、アムステルダムにある「アンネの家」を訪問した写真をたくさん投稿している。そしてアンネ・フランクの生涯は「アンネの日記」をもとにした映画、ドラマ、演劇、アニメ、マンガなどで世界中で作品の題材として取り上げられ、演じられている。
特にアンネ・フランクハウスはアンネ・フランクを紹介するためのデジタル化したコンテンツ製作には積極的で、アンネ・フランクが生きていた時代の貴重な動画を公開したり、アンネ・フランクが当時スマホを持っていて動画を撮影するというWEBドラマシリーズ「Anne Frank video diary」を製作し、アンネ・フランクの生涯を次世代の若者に伝えようとしている。
そして欧米ではホロコースト教育が行われており、アンネの日記や映画などはホロコースト教育でも多く利用されている。ホロコースト教育ではホロコーストだけでなく、欧米で今も根強い反ユダヤ主義をなくすためにも行われている。そして最近では反ユダヤ主義だけでなく、ムスリムやアジア系への差別撤廃やLGBT問題など幅広な差別や不平等などがホロコースト教育を通じて行われている。今回の一連のAR作品もホロコースト教育には最適な教材である。