梅雨時にかけて、台風ではない雲の渦巻きにも要注意
この時期特有、北からやってくる危険な渦巻き
タイトル画像の雲の様子をみて、これは台風の雲の渦巻きだろうと思う方も多いかもしれません。しかし、違います。
広いサイズの雲の様子で、この渦巻きがどこにあるのか確認してみると、日本の北、朝鮮半島の北側の大陸にあることが分かります。
台風の渦巻きは主に日本の南からやってくるのに対して、この渦巻きは日本の北からやってくるもので、この渦巻きの正体は、寒気に伴って出来る寒冷渦と呼ばれるものです。
台風の雲の渦巻きとよく似ていますが、性質はかなり異なります。
台風はある意味、巨大な暖かな水蒸気の塊、活発な雨雲の集合体で、主に大雨や暴風などをもたらしますが、この寒冷渦は水蒸気の量はさほど多くないものの、上空に寒気を伴っており、下層の暖気と触れ合うと、多くの雷雲を発生させ、激しい雷雨や突風、ひょう、時には台風にも匹敵するような短時間強雨などもたらすことがあります。
台風とはちょっと構造が違うものの、危険な渦巻きということでは同じ部類だということが出来るでしょう。
この寒冷渦ですが、上空の偏西風の蛇行に伴って出来ることが多く、主に4月頃から梅雨時にかけて、日本付近に到来することが多くなります。
サイズの大きいものや小さいもの、北日本に進んでくるもの、西日本周りで来るものなど、その特徴は様々ですが、梅雨前線が南の海上にある時など、大雨は降らないと油断していると、この寒冷渦の影響で、思わぬシビアウェザーに見舞われることが多々あり、注意を要します。
今回の寒冷渦は水曜日に北日本へ
今、大陸にある寒冷渦(雲の渦巻き)は、ゆっくりと東寄りに進み、27日(水)にやや弱まりながらも北日本へ到来する予想です。
このため、北日本は大気の状態が不安定となり、所々で雨が降る他、地上付近に暖湿気の入る東北地方で発雷確率(雷の発生する確率)が高く予想されています。
梅雨前線の雨雲は日本の南に予想されていますが、こんな場合でも寒冷渦のいたずらで、今回は特に東北地方で、局地的な激しい雷雨のおそれがあります。
梅雨前線が南に離れているからと言って油断できません。
2012年のつくば市などの竜巻も寒冷渦の影響
今から8年前の2012年5月6日、茨城県のつくば市などで顕著な竜巻が発生しました。
この時も後の梅雨前線の元となる前線の雨雲は南の海上、遠く離れていましたが、上空に流れ込んだ寒気(寒冷渦)の影響で、大気の状態が不安定となり、竜巻をもたらすような活発な雷雲が発生しました。
寒冷渦はその寒気の強さや到来する位置により、不安定となる場所が異なるため、天気予報で最新の確認が必要です。
参考:気象庁