ハロウィン向けアンネ・フランクのコスチューム、オーストラリアのECで炎上商法で販売
英国に拠点を置く小売りEC大手のSmiffysがオーストラリアでハロウィン向けにアンネ・フランクのコスチュームを販売して、ネットでは大炎上していた。第二次世界大戦の時に、ナチスドイツが約600万人のユダヤ人を殺害した、いわゆるホロコースト。アンネ・フランクはユダヤ人だったために、ナチスからの迫害を逃れてオランダのアムステルダムの隠れ家で約2年間、身を潜めて生活していたが、密告されて1945年にベルゲン・ベルゼン強制収容所で病気で死亡した。アンネが隠れ家生活で思いを綴った日記を戦後、ホロコーストから生き延びた父オットー・フランクが「アンネの日記」として出版し、現在でも世界中で多くの人に読まれている。アンネ・フランクはホロコーストを象徴するような人物で、欧米やイスラエルではホロコースト教育が行われることが多く、小学生の必読書にもなっている。
アンネ・フランクのコスチュームは「World War Two Evacuee Girl Costume」(第二次世界大戦時の避難していた少女のコスチューム)と称されて約3000円で販売されていた。このハロウィンコスチュームは「アンネ・フランク コスチューム」と呼ばれている。 ハロウィンの仮装パーティ向けのコスチュームということで「ホロコーストの犠牲者に対して失礼である」とネットでは大炎上していた。だがハロウィン向けのアンネ・フランクのコスチュームが登場するのは、これが初めてではない。ほぼ毎年、販売されており、その都度「ホロコースト犠牲者に対して失礼で不適切だ」と炎上してきた。それでも毎年販売されており、それなりに売上を上げているようだ。Smiffysオーストラリアのスポークスマンは「第二次世界大戦時の避難していた少女のコスチュームは長年に渡って、我々の商品であり、世界中で販売されてきました。商品が無くなりましたら、販売終了です」と語っており、販売中止や削除はしない方針だ。
必ず炎上するホロコースト関連の商品
ホロコーストやナチスドイツに関するファッションや商品は販売されると必ず炎上する。ユダヤ人が収容所で着ていた囚人服に似ていたり、ユダヤ人が差別されるために着用を義務付けられた黄色のダビデの星をつけた服など露骨なファッションもある。そのようなファッションは「ホロコーストの犠牲者に対する敬意がない」「生存者や家族が見たら、どのような思いをするのか考えよう」と毎回炎上する。また囚人服やダビデの星など露骨な反ユダヤ的なファッションについては世界中のユダヤ団体やホロコースト博物館、著名人らも反対や商品の撤収をSNSで呼びかけることから、いっそう話題になる。だが、それでも懲りずにこのようなアンネ・フランクの衣装のようなものが登場する。毎回「ホロコースト関連のファッションを販売する」→「ネットで炎上し、拡散される」→「商品を撤収したり、謝罪する」の繰り返しで、もう欧米では過去に何回もあった。
一方で、ホロコーストをテーマにしたファッションは、必ず炎上するので、それによって拡散し、話題になるので知名度を高めたり、サイト内の他の商品を見てもらおうとマーケティング目的で行うケースもある。今回のオーストラリアでのSmiffyのハロウィンでのアンネ・フランクのコスチューム販売は明らかにこのパターンであり、マーケティングの観点からは成功している。