初級レベルでは疑問に思わない【but that 】。これわかる人は上級レベルです!
ときどき、生徒さんから英文の質問を受けます。
わたし自身あまり気にせずに読んでいた箇所でも、文法的になぜこうなるのか教えてほしいと。
生徒さんといっても、お仕事柄、英文の論文を読んでいらっしゃるし、文法書も数冊を何度も読破されている方です。
ものすご~い知識をお持ちなので、質問内容も鋭いものがあります。
意味がわかればOK!などと言ってる場合ではなく、私自身、冷や汗ものです。
ほとんどの場合、私の宿題とさせていただき、その後、鬼のように調べまくります。
先日、以下の質問がきました。
but that の taht にははどんな意味があるのでしょうかと。
字幕翻訳家の戸田奈津子さんのインタビュー記事から抜粋しています。
まず、意味を確認していきましょう。
戸田さんが言うには、アートシアター系の映画は予算の関係で今後も字幕映画がリリースされると思うが、近い将来、メジャーな映画では字幕映画というのはかなりレアなケースになるだろう。
という意味です。
なぜ that はあるのか?
まずこの文章、that節が繰り返されている文章なのです。ただし、最初のthatが省略されているので、わかりずらいのです。
英文で見ていきしょう。
後半のbut that の間に、Toda said が省略されているのがわかると、より意味がはっきりしますね。
ここで、気になることが一つあります。
前半のthat が省略されたのはわかったけれど、後半のthatが省略されていないのはなぜ?
なぜ、2番目のthat は残すのか?
2番目以降のthatは省略できないという英語のルールがあるのだそうです。
これ、わたしも初めて知りました。
なぜ、省略できないのでしょうか?
それは、もし省略すると意味が微妙に変わるからです。
もし、2番目のthat が省略されていると?
Toda said (that) art-house films will likely continue to be released with subtitles due to budget constraints, but that it may become rare for major movies to be subtitled in the near future.
「戸田さんは、アートシアター系の映画は予算の関係で今後も字幕映画がリリースされると思うと言っているが、近い将来、メジャーな映画では字幕映画というのはかなりレアなケースになるだろう。」という意味になります。
この微妙な違いわかりますか?
「戸田さんは~と言っているけど、近い将来~になるだろう(と私は思う)」となってしまいます。
これですと、後半の文章は、戸田さんの意見ではなく、記事を書いている人の意見や考えになります。
実際は前半も後半もすべて戸田さんの意見です。
ですので、後半の that がないと意味が変わってしまうので省略できないということなんですね。
まとめ
ノンネイティブの日本人にとっては、thatがあってもなくても「戸田さんの意見」としてざっくりと捉えるでしょうけど、ネイティブにはこんなに違って聞こえるということですね。
勉強になりました!