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「それってキャンプなの?」キャンプから派生したグランピングがキャンパーにハマらないのに人気な理由とは

いわもととしたつキャンプクリエイター/アウトドアライター

第二次キャンプブーム中で新たに生まれた概念「グランピング」。2005年くらいからイギリスから始まったムーブメントで、日本では2015年くらいから定着し始めたと言われれています。
アウトドア空間にありながらも、ホテルの様な充実した設備や手軽さが特徴で、多くの人に自然を楽しむきっかけを提供しています。ただ一方で、伝統的なキャンプを楽しむ人々からは「キャンプとは違うよね」という意見も少なくありません。

私自身もグランピングが出始めた時は「キャンパーにはウケないだろう」と思っていましたが、2023年5月には事業再構築補助金の「成長枠」対象業種に「キャンプ場・グランピング事業」が認定されるなど、今でも業界としては前に進んでいる様子。

今回の記事では、そんなグランピングの魅力について深堀りしていきたいと思います。

グランピングとキャンプ:それぞれの特徴を知る

グランピングの語源は、「グラマラス」と「キャンプ」を掛け合わせた造語です。キャンプの様なガッツリしたアウトドア体験を快適にグレードアップした物と捉えていただいていいでしょう。発祥の地であるイギリスでは「ブティックキャンプ」とも言われており、その名を冠したアウトドアブランドもあるほど。

グランピングのサービスとして定番なのは、冷暖房が整ったテントにベッドが置いてあり、ホテル並みのアメニティが揃っているというスタイル。しかも夕食や朝食も施設側で準備されており、非日常的なアウトドア空間で贅沢な体験を楽しめるというもの。キャンプよりも費用は掛かりますが、手軽にアウトドアの雰囲気を体験できます。

キャンプ経験者が感じるギャップとは?

グランピングはキャンプから派生した楽しみ方ではありますが、普段からキャンプをするようなキャンパーからすると違和感があります。キャンプの醍醐味と言えば、自分で寝床や食事を準備することや、何かトラブルがあっても知恵や工夫で乗り越えるというのがあるからです。

グランピングがキャンプから派生したものであれば、それらの醍醐味を省いてしまってもいいのか?という疑問があるんですね。

グランピングが広げたアウトドアの裾野

一方で、グランピングを利用する方の属性としては「キャンプ未経験者」や「家族連れ」が多い傾向にあるようです。つまり、キャンプから派生したコンテンツであっても、直接キャンパーが利用する事を想定していないんですね。

初心者や家族連れに人気の理由は、「アウトドアに興味はあるけど、実際にやってみるのはハードルが高そう」というニーズを満たしているから。他にも、観光に行った先で非日常体験をしたり、これまでとは違うリゾート感を味わいたいというニーズにも合っているそう。

こうしてアウトドアに親しむ方が次に目指すものとして「キャンプ」というのも十分にあります。ブームは収束してしまいましたが、新規参入者が無いと業界的に落ち込んでしまうので、我々キャンパーにとっても決して他人事では無さそうです。

経験者も注目するグランピングの利便性

キャンパーにとってグランピングのサービス自体は魅力的に映るかもしれませんが、その費用を考えると「普通にキャンプした方が良いじゃん」となる事もしばしば。キャンパーからするとアウトドアは結構身近なので、わざわざ高い金額を出してもグランピングを利用する理由が少ないんですね。

とはいえ、道具や天候の制約を超えてアウトドアを楽しむことが出来るのは非常に魅力的。私はキャンプで雨に降られるのは嫌いじゃないのですが、足元がぬかるんだり、乾燥撤収が出来なくなってしまう事を考えるとウェルカムとまでは言えません。その点、グランピングならギアの心配も無くゆったりと雨を楽しむことが可能です。大抵はウッドデッキなどの整備された地面の上が多いので、比較的快適に過ごすことが出来ます。

他にもキャンプに行く元気や時間が無い時、キャンプ欲を満たすのにはうってつけ。コストはかかってしまいますが、その分のリターンはありそうです。

結論

グランピングとキャンプは、自然を楽しむという目的は共通しながらも、アプローチが異なる点で業界全体を補完し合う存在。グランピングは、初心者や忙しい現代人にとって自然を身近に感じる良いきっかけとなり、さらに経験者にとっても新たな選択肢を提供しています。キャンパーの皆さんも食わず嫌いではなく、一度使ってみるとその魅力を実感できるハズ。特に冬場はギアが多くなりがちでキャンプに出掛けるのが億劫になってしまうので、思い切って利用を検討してみるといいのかもしれませんね。

キャンプクリエイター/アウトドアライター

『子どもを育む場としての「キャンプ」こそ持続可能な社会の第一歩』をテーマに、子どもはもちろん大人の環境意識やサバイバル知識を高めるために日夜活動。実体験を通したキャンプの知識や雑学、マニアならではの考察についてお届けしていきます。

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