あらためて考えたい「ラウンド16進出」の意義 なぜ日本はブーイング覚悟でグループ突破を目指したのか?
ロシアで開催中のFIFAワールドカップも開幕から2週間がすぎ、日本対ポーランドが行われた6月28日にグループステージの48試合がすべて終了。出場32チームは16チームに絞られ、今日30日から「負ければ終わり」のノックアウトステージに突入する。日本がポーランド戦で見せた「何としてでもラウンド16へ」という戦い方については、日本国内でもさまざまな議論があった。ここではラウンド16の顔ぶれを俯瞰しつつ、そこにわれわれの代表がいることの意義について考えてみることにしたい。
まずは16チームの顔ぶれを、最新のFIFAランキング順に並べてみよう(カッコ内はグループステージ3試合の勝敗と勝ち点である)。
【02】ブラジル(△○○=7)
【03】ベルギー(○○○=9)
【04】ポルトガル(△○△=5)
【05】アルゼンチン(△●○=4)
【06】スイス(△○△=5)
【07】フランス(○○△=7)
【10】スペイン(△○△=5)
【12】イングランド(○○●=6)
【12】デンマーク(○△△=5)
【14】ウルグアイ(○○○=9)
【15】メキシコ(○○●=6)
【16】コロンビア(●○○=6)
【20】クロアチア(○○○=9)
【24】スウェーデン(○●○=6)
【61】日本(○△●=4)
【70】ロシア(○○●=6)
こうして並べてみると、ラウンド16進出の条件のようなものが見えてくる。まず、FIFAランキング上位チームが、しっかり勝ち上がっているということ。「今大会はランキングが当てにならない」という言葉をよく耳にしたが、3試合トータルでならすと強いチームが順当に勝っている(もちろん1位のドイツや8位のポーランドのような例外もあるが)。一方で、24位のスウェーデンから61位の日本まで、すっぽりと抜けているのが興味深い。今大会では下から4番目にランキングが低い日本が、いかに大健闘したかが理解できよう。
3試合の勝敗と勝ち点からも、いろいろ興味深い傾向が見える。「グループステージは初戦が重要」というセオリーがあるが、ラウンド16に進出したチームで初戦を落としているのはコロンビアのみ(もちろん相手は日本だ)。また「2勝すればグループ突破はほぼ確実」というセオリーもそのとおりで、16チームの勝ち点の平均は「6.19」となった。日本代表の西野朗監督が「2戦目(セネガル戦)で勝ち点6を」と考えた理由は、まさにここにあった。ちなみに勝ち点4でラウンド16にたどり着いたのは、日本とアルゼンチンのみである。
大陸別で見ると、ヨーロッパ勢が10チームと過半数を占めている(ラウンド16に進出したのが6チームだった、前回のブラジル大会とは対照的である)。以下、南米が4、北中米カリブが1、そしてアジアが1となっている。アフリカは5チームが全滅となり、これは82年スペイン大会以来のこと。それ以外の顔ぶれは「順当」と見ていいだろう。すなわち、地の利のある欧州勢、4チーム中3チームが優勝経験のある南米勢、そして北中米カリブからはラウンド16常連のメキシコ。そんな中に、日本が名を連ねているのである。何と誇らしいことであろうか!
その日本が、史上初のベスト8進出を懸けて対戦するのは、グループステージ全勝のベルギー。これに勝てば、次の相手はブラジル対メキシコの勝者となる。さらにその先は──と見ていくと、日本は随分と厳しい山に組み込まれたことがわかる(参照)。日本サッカー界にとって、ベスト16以降はまさに未体験ゾーン。だからこそ、4年に一度のワールドカップで、その入口となるラウンド16に立つことの意義は計り知れない。果たして、日本代表のロシアでの冒険は、どこまで続くのだろうか。今後も現地での取材を通じて見守っていきたい。
※写真は著者撮影
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