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任天堂のゲーム機販売動向の「今」を探る

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
↑ 現在任天堂はゲーム機をどれだけ販売しているのか

現在の「累計」販売台数

先日DeNAと提携しスマホへの事実上の参入を果たした任天堂。ゲーム環境のシフト感は続くが、今なお同社が家庭用ゲーム機市場で圧倒的な実力を有していることに違いは無い。その実情を同社が公開している各ハードの販売台数動向から探る。

次に示すのは現在公開されている最新値となる、2015年3月時点の累計ハード販売実績。据置型は次の通り。販売台数で、現在稼働台数では無いことに注意。

↑ 任天堂ハード・累計販売実績(据え置き型)(万台)(2015年3月末時点)
↑ 任天堂ハード・累計販売実績(据え置き型)(万台)(2015年3月末時点)

稀代の名ゲーム機ファミリーコンピューター(ファミコン)以上に、Wiiが売れているのは、意外といえば意外。日本国内でこそまだファミコンの方が上だが、全世界で計算するとほぼ6割増しでWiiの販売台数が多い。

また、横軸は左から右へ行くほど販売された年代が新しいものとして配置しているが、ファミコンの販売以降、ハードの販売台数が漸減しているのが分かる。ハードの台数がソフトの売れ行きに大きく影響する事実を考えれば、Wiiの直前まで「据置型ハードでは」任天堂が苦戦を強いられていたのが見て取れる。

続いて携帯ゲーム機。

↑ 任天堂ハード・累計販売実績(携帯型)(万台)(2015年3月末時点)
↑ 任天堂ハード・累計販売実績(携帯型)(万台)(2015年3月末時点)

ニンテンドーDSと3DSは何度かマイナーバージョンアップが行われているため、そのうち「Lite」「DSi」「DSiLL」、「3DS LL」「2DS」「New 3DS」「New 3DS LL」は別途数字を掲載している。ゲームボーイやニンテンドーDSの市場がいかに大きいか、そしてニンテンドー3DSへの期待がどれほどのものかがすけて見える。

単年、そして累計の経年変化

以上は「累計」販売台数の状況だが、これを「年次」の販売推移で見たのが次のグラフ。要は毎年どれくらいのハードが販売されたかを見たもの。例えばニンテンドー3DSなら2015年3月末期(2014年4月-2015年3月)は307万台となる。

↑ 任天堂・国内ハード販売動向(年次、万台)(日本国内)
↑ 任天堂・国内ハード販売動向(年次、万台)(日本国内)
↑ 任天堂・国内ハード販売動向(累計、万台)(日本国内)
↑ 任天堂・国内ハード販売動向(累計、万台)(日本国内)

ゲームキューブのような例外もあるが、任天堂のハードは大よそ発売2年目から3年目に年次セールスのピークを迎え、後は漸減する流れを見せている。これは任天堂に限らず他のハードにも当てはまることで、よほどのテコ入れや状況の変化がない限り、発売後しばらくしてから盛り返すことは考えにくい。

また、少なくとも年間1万台以上のセールスを打ち出すまでが「商品生存期間」と見ると、大体6年から7年がハード上の寿命(累計グラフでほぼ横ばいになったあたりが「寿命」と判断できる)であることが予想できる。

ただし昨今は技術開発速度や娯楽上の競合他メディア(現状ならばスマートフォンなどの携帯電話)の進歩発展スピードの加速化に伴い、この「6年から7年」が縮小する傾向がある。直近ハードではニンテンドー3DSやWii Uの「寿命」がどれほどの長さを示すことになるのか、気になるところ。3DSはすでにピークを超えた感があり、Wii Uもゲームキューブと似たような動向を示す傾向を見せている。

やや余興的な話になるが、年次販売動向について少々切り口を変えたのが次のグラフ。時間軸を発売初年度からに揃えたもの。

↑ 任天堂・国内ハード販売動向(年次、万台)(日本国内)(発売開始年度揃え)
↑ 任天堂・国内ハード販売動向(年次、万台)(日本国内)(発売開始年度揃え)

ニンテンドーDSの突っ走りっぷりが目に留まる。3DSはニンテンドーDSやゲームボーイアドバンスとほぼ同じ動きを見せていたが、3年度目でやや失速し、4年度目以降で明らかな失速を見せ、DSには及ばないことがほぼ確定してしまった。DSとゲームボーイアドバンスの間に収まる形で、今後も推移するのだろう。

過去のハードの発売時の環境と異なり、現在では携帯電話、さらにはタブレット型端末の躍進による、市場の「食い合い」が生じている。100%領域が重なっているわけではないが、多分に共通する部分は多く、影響が無いことはありえない。人の時間は一人当たり1日24時間しかない。スマートフォンで遊びながら携帯ゲーム機でも同時に遊ぶマルチタスクな曲芸は、ほとんどの人には不可能である。

今年度の実績によりこれらのグラフによる動向がどのような変化を示すことになるのか、大いに注目したいところだ。

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「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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