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11月23日は「勤労感謝の日」~夫婦お互い感謝する日~

竹内豊行政書士
勤労感謝の日に、お互いの日頃の協力を振り返ってみてはいかがでしょうか。(写真:アフロ)

11月23日は「勤労感謝の日」です。

勤労感謝の日は、「国民の祝日に関する法律」に次のように規定されています。

国民の祝日に関する法律 第2条(内容)

~勤労をたつとび、生産を祝い、国民たがいに感謝しあう

一般的な勤労感謝の日と違う印象を受けた方がいるのではないでしょうか。元々は、新嘗祭として収穫物に感謝する行事(天皇が神がみに新米を供え自身でも召し上がる、宮中の行事)として行われていました。しかし、戦後の占領政策によって天皇行事・国事行事から分離されて現在の勤労感謝の日として定められたのです。

ちなみに、「国民の休日に関する法律」は、国民の祝日の意義を次のように定めています。

国民の祝日に関する法律 第1条(意義)

~自由と平和を求めてやまない日本国民は、美しい風習を育てつつ、よりよき社会、より豊かな生活を築きあげるために、ここに国民こぞって祝い、感謝し、又は記念する日を定め、これを「国民の祝日」と名づける

この法律は、わずか3条で構成されています。国民の祝日の内容が定められていますので一度ご覧になってはいかがでしょうか。ちなみに、元日は「1月1日~年のはじめを祝う。」、こどもの日は、「5月5日~こどもの人格を重んじ、こどもの幸福をはかるとともに、母に感謝する。」と定めています(こどもの日に、母への感謝は含まれていますが、父への感謝は見当たりません・・・)。

さて、一昔前は、勤労感謝の日は、「働くお父さんに感謝する日」として一般的に定着していたと思います。私自身も、今を去ること数十年前に、幼稚園や小学校で先生から「勤労感謝の日は働くお父さんに感謝する日です」と教えられて「おとうさん、いつも働いてくれてありがとう」という一文を添えて父に似顔絵をプレゼントした記憶があります。

このことは、「お父さんは働いで稼いでくれて家族を養ってくれている。だから感謝する」ということを意図しています。つまり、財産的側面も含めて感謝していました。

では、夫婦間における財産的側面を法はどのように規定しているでしょうか。

民法は、結婚(婚姻)の効力の一つとして次のように定めています。

民法752条(同居、協力及び扶助の義務)

~夫婦は同居し、互いに協力し扶助しなければならない

「互いに協力し扶助しなければならない」ということは、相互的な経済的援助を意味しています。つまり、夫婦は同居して共同生活をするために、パートナーが扶養状態に陥った場合には、パートナーの生活を自分の生活と同じように保持する義務があるということを定めているのです。

今では共働きがほとんどです。パートナーの一方のみが働いて収入を得て家計を維持していても、「働けるのは(働いていない)パートナーの協力があってのこと」という考えは広く普及しています。

勤労感謝の日を、夫婦がお互いの日頃の協力を振り返り、経済的側面も含めて家庭を維持していけることに感謝する、「お互いに感謝する日」としてみてはいかがでしょうか。

行政書士

1965年東京生まれ。中央大学法学部卒業後、西武百貨店入社。2001年行政書士登録。専門は遺言作成と相続手続。著書に『[穴埋め式]遺言書かんたん作成術』(日本実業出版社)『行政書士のための遺言・相続実務家養成講座』(税務経理協会)等。家族法は結婚、離婚、親子、相続、遺言など、個人と家族に係わる法律を対象としている。家族法を知れば人生の様々な場面で待ち受けている“落し穴”を回避できる。また、たとえ落ちてしまっても、深みにはまらずに這い上がることができる。この連載では実務経験や身近な話題を通して、“落し穴”に陥ることなく人生を乗り切る家族法の知識を、予防法務の観点に立って紹介する。

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