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誰も損をしない。苦悩の40代芸人に光を当てる「THE SECOND」というシステム

中西正男芸能記者
(写真:アフロ)

「THE SECOND2024」は「ガクテンソク」が優勝しました。

大阪での実績もあり、知名度もある。舞台での需要も高い。その中で、昨年拠点を東京に移しました。

このまま大阪でしっかりと漫才を積み重ねていく。それが長い目で見ると良いのではないか。多くの人から東京行きに対して難色を示されたとも聞きますが、その声を結果で上書きした形になりました。

昨年の第一回からそうでしたが「THE SECOND」に出場するコンビは若手ではないので、既にもう“売り物”が決まっている。誰から何と言われようが、今の芸で今日まで食べてきた。その自負があります。

出すものは決まっている。覚悟があるから一発一発の打撃が重い。賞レースなので勝ち負けの緊張感はあるが、仮に負けても価値は損なわれない。そこにあるのは「〇」か「×」かではなく、肉が好きか魚が好きかの「好み」だけ。

何もかも初めてで手探りだった昨年の大会に比べると、お祭りモードではなく勝負論も乗っかった大会になったと思います。それでも出た全員が得をする。決勝で「ザ・パンチ」のお二人の点数が243点だったことすら、それが妙味になる。司会の東野幸治さんの圧倒的やさしさも加味され、実に馥郁たる場だと痛感しました。

そして、出場者の圧倒的ボリュームゾーンが40代でした。今一番大変なのが40代の芸人さんだと聞きます。

若手時代に賞レースで結果を出し、メディアへの出演回数が増え、40代で冠番組などの城を持つ。少し前まではそんな線路がありました。

ただ、ここ数年テレビでは「若い人に見てもらわないといけない」という大号令がかけられています。特に若い女性がメインターゲットになる。となると、どうしても、若くて鮮度のある人が番組に呼ばれることになります。

それを芸人さんに当てはめると、光が当たりやすいのは「M-1」などの賞レースで毎年誕生する新チャンピオン。いろいろな番組に送り込まれるそういった人たちを仕切るのは実績がある50代の売れっ子芸人さんたち。それが今の構図です。

となると、一番あおりを食らうというか、イスがなくなっているのが「腕もあるし、キャリアの分だけ知名度もあるが、それが凶と出て鮮度がない」40代の芸人さんです。

なかなか風が起こりにくいところに風を吹かせる。この難しい課題にメスを入れたことが「THE SECOND」の一番の意味だと思いますし、それが今回で確立されたとも思います。

面白い人が良き場で才能を発揮する。そんな、みんなにとってハッピーな状況がより一層、創出されることを願うばかりです。

芸能記者

立命館大学卒業後、デイリースポーツに入社。芸能担当となり、お笑い、宝塚歌劇団などを取材。上方漫才大賞など数々の賞レースで審査員も担当。12年に同社を退社し、KOZOクリエイターズに所属する。読売テレビ・中京テレビ「上沼・高田のクギズケ!」、中京テレビ「キャッチ!」、MBSラジオ「松井愛のすこ~し愛して♡」、ABCラジオ「ウラのウラまで浦川です」などに出演中。「Yahoo!オーサーアワード2019」で特別賞を受賞。また「チャートビート」が発表した「2019年で注目を集めた記事100」で世界8位となる。著書に「なぜ、この芸人は売れ続けるのか?」。

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1999年にデイリースポーツ入社以来、芸能取材一筋。2019年にはYahoo!などの連載で約120組にインタビューし“直接話を聞くこと”にこだわってきた筆者が「この目で見た」「この耳で聞いた」話だけを綴るコラムです。最新ニュースの裏側から、どこを探しても絶対に読むことができない芸人さん直送の“楽屋ニュース”まで。友達に耳打ちするように「ここだけの話やで…」とお伝えします。粉骨砕身、300円以上の値打ちをお届けします。

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