夏の海外旅行の航空券は5月までに買った方が得。6月から燃油サーチャージ大幅値上げで欧米は7万円台に
今年3月から日本入国時の水際対策が緩和され、7カ国(エジプト、韓国、スリランカ、トルコ、パキスタン、ベトナム、ロシア全土)からの帰国を除き、ほとんどの国からの帰国においてワクチン3回目接種済みであれば、羽田や成田など日本帰国時に受ける抗原検査で陰性であれば待機期間なしに到着ロビーに出た瞬間から行動制限はない。
日本帰国後はワクチン3回目接種で行動制限なし
2回以下の場合には最低3日間の自宅などでの自主待機で、3日目に指定機関でPCR検査もしくは抗原検査を受けて陰性で、結果を入国者健康確認センターへアプリ経由で送付し、待機終了のお知らせが来れば待機終了となる(3日目以降に検査を受けない場合は7日間の自主待機となる)。
これまで、ハワイやロサンゼルス、ヨーロッパなどへは昨年でも観光での入国が可能であったが、最大のネックとなっていたのが帰国時の自主待機期間で、昨年は最低でも14日間・10日間が自宅などでの自主待機が必要(渡航国によっては検疫所が指定したホテルなどの宿泊施設で3日間・6日間・10日間の待機も)だったが、今年に入り7日間に短縮され、更に3月からはワクチン3回目接種者は待機なしになったことで、必要書類や国によっては事前登録が必要になるが、コロナ前同様に海外旅行へ出かけることは可能になった。
欧米、オセアニア、東南アジアなどで観光目的の入国が可能
現状、日本人が観光目的での入国が可能な主な国としては、アメリカ(ハワイを含む)、カナダ、グアム、ヨーロッパ(イギリス、フランス、ドイツ、イタリア、スペインなど)、オーストラリア、ニュージーランド、タイ、シンガポール、マレーシア、インドネシアなどとなっている。
例えば、ハワイでのリゾート旅行やエンゼルスの大谷翔平選手生観戦でロサンゼルスへ向かうなどアメリカへ渡航する場合は2回以上の接種証明書と出発前日もしくは当日にPCR検査などの陰性証明書が必須となる(その他にコロナ前から必要だったESTAの取得なども必要)。
感染状況によって入国制限の強化・緩和などによるルール変更が頻繁に行われることで最新の情報を確認する必要があるが、今年に入ってからは特にオセアニアや東南アジアへの観光目的での入国を再開した国が増えている。ただ日本から近い人気海外旅行先である、韓国、台湾、中国(香港を含む)などへの観光目的での入国は不可となっている。
感染症危険情報のレベル引き下げでパッケージツアーが再開
4月に入り、政府が発出している「感染症危険情報」が多くの国でレベル3の「渡航は止めてください」からレベル2の「不要不急の渡航はやめてください」に引き下げしたことで、海外へのパッケージツアー商品の販売が再開された。不要不急という言葉の解釈は難しい部分はあるが、法律上はツアーを組むことが可能になった。ハワイを中心にGWからのパッケージツアーの販売が開始された。ただ実際に海外旅行の予約が増えているのは、7月以降の夏休みだと旅行会社関係者は話す。
燃油サーチャージ、6月1日購入分から大幅値上げに
このような状況のなかで、海外旅行者にとって負担増になるのが燃油特別付加運賃(燃油サーチャージ)である、飛行機の燃料となるジェット燃料(ケロシン)の市場価格(燃油価格)に合わせて、航空券とは別に徴収するものであり、通常の航空券だけでなく、ANAやJALなどほとんどの航空会社においてはマイレージを使った特典航空券でも徴収される。
2月下旬に始まったロシアによるウクライナ侵攻によって燃油価格が高騰したが、ANAやJALなど日本の航空会社においては、2月・3月の燃油の市況価格が反映されるのは6月1日購入分以降となる。つまり、5月31日までに購入すれば昨年12月・今年1月の平均値を基準とした燃油サーチャージで済むのだ。JALは4月19日、ANAは4月20日に6月1日以降購入分の燃油サーチャージを発表したが、大幅に上がることは想定していたが、実際に金額を見て驚いた人も多い。
燃油サーチャージはいくらになる?欧米へは往復7万円台、ハワイも往復4万円台後半に
現状、日本人が海外旅行に出かけられる渡航先の燃油サーチャージを見てみよう。
JALではタイ、マレーシア、シンガポールなどの東南アジアにおいて現在は片道あたり9800円が6月1日以降購入で1万9600円、ハワイへは現在は片道あたり1万2700円が6月1日以降購入で2万3600円、北米・ヨーロッパ・オセアニアについては現在は片道2万200円が6月1日以降購入で3万6800円になる。
ANAではタイ、マレーシア、シンガポールなどの東南アジアにおいて現在は片道あたり9700円が6月1日以降購入で2万400円、ハワイへは現在は片道あたり1万2500円が6月1日以降購入で2万3800円、北米・ヨーロッパ・オセアニアについては現在は片道1万9900円が6月1日以降購入で3万7400円になる。
つまり、東南アジアへはJALでは往復3万9200円(ANAは往復4万800円)、ハワイへは往復4万7200円(ANAでは往復4万7600円)、北米・ヨーロッパ・オセアニアへは往復7万3600円(ANAでは往復7万4800円)となる。JAL・ANA共に6月1日~7月31日購入分が対象となり、8月以降は別途設定されるが、現在の燃油価格を考えると下がる可能性は低い。
この金額が航空券代に加えて徴収されることになり、更に空港税などの諸経費も必要になることから、5月末に購入することで最大で3万円近く割安になる。
現在の国際線航空券のルールとしては、燃油サーチャージは搭乗日ではなく、購入日がベースとなることから、夏休みの航空券も5月末までに購入する方がお得になるのだ。色々な航空会社で航空券を比較する場合には実際の支払額で比較することが望ましい。パッケージツアーについては、旅行会社によって対応が異なるので予約前に燃油サーチャージの金額などを確認しておく必要がある。
コロナリスクも考え、変更やキャンセルのルールも確認しておく必要あり
ただ新型コロナウイルスの感染状況によって、海外旅行を取りやめるリスクもあることから、航空券の変更やキャンセルのルールをしっかり確認することも必要である。航空券によっては購入後、一切の払戻しが不可のケースもあるからだ。
LCCは、原則燃油サーチャージ分を運賃に含めているので割安感もある
LCC(格安航空会社)の国際線も路線は少ないが運航している。コロナ禍の2020年に運航を開始したJALグループが設立した国際線中長距離LCCであるZIPAIRは、成田からバンコク、シンガポール、ソウル、ホノルル、ロサンゼルスへ運航している。ソウル以外の4都市へは日本からの観光客の利用も可能となっている。燃油サーチャージは運賃に組み込まれており、割安な価格で買える可能性がある。
ZIPAIRはハワイやロサンゼルスへも往復10万円以下で買える。ただし変更・払戻は一切不可
ZIPAIRでは、ロサンゼルスへは片道の最安値で3万5970円(預け手荷物や座席指定料、機内食などは含まず)であり、往復利用の最安値で7万3219円となっている。預け手荷物や機内食などのオプションを付けても往復10万円以下で済むことになり、燃油サーチャージも運賃に組み込まれていることで割安感は大きい。
筆者も4月に利用したが注意点としては、航空券購入後は一切のキャンセル・変更ができないので、もしスケジュールが変わったり、旅行を取りやめる場合にはお金が戻らないということを理解した上で利用するのが望ましい。ハワイへも往復利用の最安値で6万6609円(預け手荷物や座席指定料、機内食などは含まず)となる。ただ、成田~ホノルル線は毎日運航ではないので注意が必要である。機内食も全て有料販売となっている。
新型コロナウイルスの感染状況次第でもあるが、夏休みに2年半ぶりの海外旅行を考えている人は5月中に計画を立てて航空券を購入することも考えてみてはいかがだろうか。帰国時には、現地出発72時間前を切った段階でのPCR検査が現地で必要となっている。