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シニア層の日常生活、情報源はテレビと新聞

不破雷蔵グラフ化・さぐる ジャーナブロガー 検証・解説者/FP  
↑ シニアにとっては新聞は今なお重要な情報取得源

テレビ、新聞、その次に家族

日々の生活で逐次求められる判断で適切な選択肢を選ぶため、さらには知的好奇心の充足のため、情報の取得は欠かせない。シニア層はいかなる手段を用いて情報を入手しているのだろうか。内閣府が2015年3月に発表した「平成26年度 高齢者の日常生活に関する意識調査」(2014年12月4日から26日にかけて、層化二段無作為抽出法によって選ばれた国内に住む60歳以上の男女に対して実施。有効回答数は3893件)の結果を元に、その実情を確認していく。

次に示すのは調査対象母集団に対し、日常生活に関する情報をどこから得ているかについて、3つまでの複数回答で尋ねたもの。選んだ選択肢における優先順位は問われていない。

↑ 日常生活情報の源(2014年)(3つまで複数回答)
↑ 日常生活情報の源(2014年)(3つまで複数回答)

高齢者における常用情報取得源のトップはテレビ、次いで新聞。この2メディアの絶対優位性は疑う余地も無い。次いで家族が入っているが、この値が低いのは家族と普段から話していても情報源としての認識が無い場合があるのに加え、一人暮らし世帯も調査対象母集団に含まれ、話す機会が無いケースもあるからに他ならない。

次いで友人や近所の人、チラシやダイレクトメールが続き、そしてようやくインターネットや携帯電話が続く。高齢者には高い人気を誇る、聴取率の調査でも高値を示しているラジオは、上位3位の観点では少数派。

男女別では新聞やインターネット、ラジオがやや男性、家族や友人、チラシなどは女性が大きめの値が出ている。本人自身で完結できるものは男性、第三者の介在が必要なものは女性の方が高めと考えると、高齢層におけるコミュニケーションへの姿勢の違いが見えてくる。

属性別で差異はあるのか無いのか

今件について属性別に仕切り分けをした場合、違いは生じるのだろうか。

↑ 日常生活情報の源(2014年)(3つまで複数回答)(年齢別)
↑ 日常生活情報の源(2014年)(3つまで複数回答)(年齢別)

テレビやラジオは年齢に関係なく高い値を維持するが、新聞は高齢でやや値が落ちる。視力の衰えなどが影響していると考えれば道理は通る。代わりに家族や友人など、直接の対人交流による情報取得が増加していく。家族が介護・世話をしており、その際の会話なのかもしれない。またインターネットは世代間の差が著しい。

↑ 日常生活情報の源(2014年)(3つまで複数回答)(同居形態別)
↑ 日常生活情報の源(2014年)(3つまで複数回答)(同居形態別)

同居形態別では、単身世帯においては家族を挙げる人は少ない。やり取りの機会が少ないので、値が低くなるのは当然。その分、直接の対人関係では友人や近所の人との値が多少高めとなっている。その家族の値だが、本人と子の世帯よりも、孫までいる世帯の方が値は高い。離れた世代との会話の中で得られる情報にも、有意義さを見出しているのだろう。

一人暮らしではラジオを挙げる人が多いのも特徴的。いわゆる「ながら視聴」をしながら一日を過ごす様子が思い浮かばれる。

↑ 日常生活情報の源(2014年)(3つまで複数回答)(就業形態別)
↑ 日常生活情報の源(2014年)(3つまで複数回答)(就業形態別)

最後は就業形態別。テレビは差異が無いが、新聞では在宅就労者が低め、代わりに家族が高い結果が出ている。また、インターネットや携帯電話は正規社員や役員がよく使っている。ラジオや友人・近所の人は農林漁業者が大きめの値が出ており、ライフスタイルの有り様を想起させられる。

正規・非正規の社員は職場を情報源とする場合がそれなりの値で出ている一方、役員はほとんど当てにしていないのも印象的。「日常生活情報」に限れば、役員は職場でやりとりする機会はほとんどないのだろう。

今調査別項目では「普段の楽しみ」としてテレビや新聞を挙げる高齢者が多いとの結果を確認している。

↑ 普段の楽しみ(2014年)(複数回答)
↑ 普段の楽しみ(2014年)(複数回答)

今件では普段の情報源として両者が圧倒的な支持を集めていることがつかみ取れる。しかもテレビに限れば、どの年齢階層でも変わるところが無い。高齢層がテレビ好きで大きな影響を受ける実態の、裏付けとなる結果に違いない。

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グラフ化・さぐる ジャーナブロガー 検証・解説者/FP  

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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