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第1子妊娠の大谷選手&真美子さん...デコピンちゃん兄に 妊婦さんとペットの関係

石井万寿美まねき猫ホスピタル院長 獣医師
イメージ写真(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

大谷選手は真美子さんの妊娠公表時に「Can’t wait for the little rookie to join our family soon!」(まもなくリトルルーキーが家族に加わることが待ちきれません!)とのコメントとともに、愛犬・デコピンちゃんやエコー写真と見られるものなどを収めた写真をInstagramに投稿したとねとらぼが報じています。

大谷選手と真美子さん、そしてデコピンちゃんは、穏やかな生活を送っていらっしゃることでしょう。お二人の新しい門出を心よりお祝い申し上げます。

さて、今回は妊婦さんとペットの関係について詳しく見ていきましょう。妊娠中の女性にとって、ペットとの生活がどのような影響を与えるのか、また安全に共存するためのポイントを解説します。

妊娠してもペットを飼っても大丈夫?

これまで犬や猫などのペットを飼ってきた方は、妊娠してもそのまま飼い続けて良いのか気になるでしょう。犬と猫のどちらに注意が必要なのか、また、ペットを飼い続ける際に注意すべき点について見ていきましょう。

注意した方がいいのは猫...トキソプラズマ症

提供:イメージマート

妊娠中に注意が必要なのは犬より猫です。

猫の糞便から排出される「トキソプラズマ」という原虫によって、オーシストと呼ばれる卵のようなものが妊婦さんに感染すると、先天性トキソプラズマ症を引き起こすことがあります。

先天性トキソプラズマ症

トキソプラズマは猫を終宿主とする人畜共通感染症です。

ヒトからヒトへ感染することはありません。感染経路は以下の2点です。

・加熱処理の不十分な肉(馬刺、牛刺、鳥刺、レバ刺、鹿刺、レアステーキなど)に生存するオーシスト

・土やネコの糞に存在するオーシスト

これらを妊婦さんが経口的に初感染(小腸粘膜から進入)することによって妊婦に寄生虫血症が生じます。その後トキソプラズマは血行的に胎盤に感染・増殖し、胎児の脳などの実質臓器に波及します。

症状

ほとんどの母体は無症状ですが、妊娠中に初感染すると約30%が経胎盤感染を引き起こすことがあります。

胎内死亡や流産、網脈絡膜炎、小眼球症、水頭症、小頭症などが発症する可能性があります。出生時は無症状でも、成人までに網脈絡膜炎や神経症状を呈することがあります。

特に妊娠初期の感染は重篤化することが報告されています。

予防

猫を飼っている場合、妊婦さんと猫のトキソプラズマ抗体検査を行うことを推奨します。妊婦さんは産婦人科で、猫は動物病院で血液検査を受けると、約1週間で結果が分かります。

抗体がある妊婦さんの場合は問題ありませんが、抗体がない場合は妊娠中の初感染を防ぐため、飼い猫を外に出さないようにしましょう。外で猫が生肉やネズミを捕食して感染するのを防ぐためです。

また、猫のトイレ掃除は夫や家族に任せるようにしましょう。

他の猫の糞尿に注意

公園の砂場や庭など、他の猫が糞尿をする可能性がある場所には立ち入らないようにしましょう。庭でガーデニングをする際は、迷い込んできた猫の糞尿に触れないよう、ゴム手袋を着用してください。

妊婦さんと犬の関係

妊娠がわかると、愛犬と暮らす日々に新しい視点が加わります。

妊婦としての健康管理はもちろん、愛犬との生活をどう続けていくか、多くの方が気にされるポイントです。

妊婦さんの健康管理の観点から、犬を飼う上で気を付けたいのは衛生面です。

犬は散歩を通じてさまざまな場所に行き、土や他の動物の排泄物に触れる可能性があります。妊婦さんが感染症にかかるリスクが高くなるため、散歩後の犬の足拭きや定期的なシャンプーを行い、清潔を保つことが大切です。特に、妊娠中は免疫力が低下しやすく、感染症が胎児に影響を及ぼす場合もあるため、寄生虫や細菌感染の予防に努めることが重要です。また、犬の予防接種や定期的な健康チェックを欠かさず行い、内部・外部寄生虫の駆除薬も適切に使用しましょう。

さらに、妊婦さんはお腹が大きくなるにつれてバランスが取りにくくなるため、犬が急に飛びついたりすると転倒するリスクがあります。このため、犬が飛びつかないようなしつけや、特に注意が必要な状況での接触を避けるよう工夫しましょう。

安心して妊婦さんがペットと暮らすために

イメージ写真
イメージ写真写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ

妊娠さんはつわりや体調の変化により、ペットの世話が負担になることがあります。

このような場合、家族や友人にサポートをお願いするか、プロのペットシッターの利用を検討してください。

また、出産後の生活に備えて、ペットが赤ちゃんと安全に共存できるよう準備を進めましょう。

赤ちゃんが生まれることで、飼い主の生活が大きく変わり、ペットに与えられる時間や注意が減ることがあります。このため、妊娠中から少しずつ新しいルーティンに慣れさせることが有効です。

たとえば、赤ちゃんの泣き声や新しい匂いに慣れる練習を行ったり、赤ちゃんが触れるスペースを制限するトレーニングを取り入れたりすることで、ペットがストレスを感じにくくなるでしょう。

ペットがいる生活は、妊娠中のリラックスや幸福感をもたらす大切な要素であり、その存在は家族としてかけがえのないものです。妊娠中の飼い主として、ペットの健康と快適さにも目を配りながら、無理のない範囲で共に楽しい日々を過ごすことが何より重要です。

デコピンちゃんはとても知的な犬なので、家族の変化にも敏感に気付いているのでしょう。さらに、赤ちゃんが生まれた後、デコピンちゃんがどのように家族の一員として赤ちゃんのお世話を手伝うのか、想像するだけで微笑ましいですね。

たとえば、赤ちゃんが泣いたときに飼い主さんを呼びに行ったり、赤ちゃんのそばで見守ったりする姿が思い浮かびます。家族としての絆がさらに深まりそうです。

まねき猫ホスピタル院長 獣医師

大阪市生まれ。まねき猫ホスピタル院長、獣医師・作家。酪農学園大学大学院獣医研究科修了。大阪府守口市で開業。専門は食事療法をしながらがんの治療。その一方、新聞、雑誌で作家として活動。「動物のお医者さんになりたい(コスモヒルズ)」シリーズ「ますみ先生のにゃるほどジャーナル 動物のお医者さんの365日(青土社)」など著書多数。シニア犬と暮らしていた。

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