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阪神・横山投手と横田選手 「一日も早く支配下へ」と誓った契約更改

岡本育子フリーアナウンサー、フリーライター
15日、育成選手として契約を更改した横山雄哉投手(左)と横田慎太郎選手(右)。

 高知・安芸で行われている阪神タイガースの秋季キャンプも、気がつけばもう終わり間近となりました。残るは17日と18日のみ。ここへ来て週末の天気予報もよくなったみたいで、17日の練習試合が楽しみですね。一方、鳴尾浜での秋季練習も同じく残り2日。そのあと12月20日頃まで強化練習は続きますが、スタンド開放は18日までです。その次は年明けになるので、見学希望の皆さんは今のうちにお出かけください。

 さて、きのう15日は横山雄哉投手横田慎太郎選手が練習後の夕方、球団事務所で契約更改交渉を行いました。ことしは鳴尾浜で7日に第1弾として3選手、次は安芸キャンプの宿舎で14日に第2弾として14選手が契約を更改。その中で、8月から野手に転向したばかりの藤谷洸介選手と、きのう15日は8月に左肩を手術している横山投手が、新たに育成選手契約へ移行しています。

 よって来季の育成選手は、横山投手、藤谷選手、再契約の横田選手、2年目の石井将希投手、そしてルーキー・片山雄哉選手の5人でスタートですね。横田選手と石井投手以外の背番号は、後日発表されます。

 では、きのう球団事務所で行われた横山投手と横田選手の契約更改、交渉が終わってからの囲み取材の話をご紹介しましょう。

段階を踏んで、焦らず前へ

【横山投手】

4年目 1300万円→700万円(推定)

5月5日、大和高田クラブ戦(鳴尾浜)での1イニングが、今季最後の登板だった横山投手。
5月5日、大和高田クラブ戦(鳴尾浜)での1イニングが、今季最後の登板だった横山投手。

 横山投手は安芸キャンプスタートだった今季、初登板が2月18日に行われた高知ファイティングドッグス(四国IL)との練習試合。3回に登板して、先頭に四球を与えたあと3連打されました。1イニングで打者7人に23球、1四球3安打の2失点という内容です。

 次は約3ヶ月後の5月5日、社会人・大和高田クラブとの練習試合(鳴尾浜)で、6回に登板。味方の2エラーで1死、一二塁となってタイムリー二塁打を浴びています。結果は1イニングで打者5人に17球、1安打1失点(自責0)でした。

 それ以降は投げておらず、8月に左肩のクリーニング術を受けたので、今季は結局この2試合のみ。1軍も、ファームの公式戦も登板なく終わった4年目のシーズンです。

むしろ、やってやろう!という気持ち

 記者とカメラに囲まれた横山投手は、まず「しっかり下がりました」とひとこと。どれくらい?「まあ半分くらい、ですかね」と答えたあと「来季は育成としての契約で、まずはしっかりケガを治して実戦に復帰して、支配下登録ってのが、まずは目標なので。育成になるんですけど、前を向いてしっかり日々やっていきたいと思います」と続けました。

来季は育成選手でスタートする横山投手。記者の質問にチラッと笑顔を見せたものの、復活へかける思いは真剣そのものです。
来季は育成選手でスタートする横山投手。記者の質問にチラッと笑顔を見せたものの、復活へかける思いは真剣そのものです。

 “育成契約”という話が出た際の心境を尋ねると「手術をした時点で覚悟はしていましたし。まあ覚悟は正直していたので、そんなに。むしろ“やってやろう”という感じの方が強かったですかね」と言います。矢野監督からは?「手術が終わって挨拶した時に『頑張れ』っていう、声をかけてもらっただけでも嬉しかったんで。1軍の戦力になれるよう、しっかり頑張っていきたいと思います」

 左肩の回復具合はどうですか?「手術する前よりはよくなっていますし、徐々にスローイングも開始していく予定なので、焦らずにしっかりとやっていきたい」。復帰のめどとしては開幕?「正直わからないですけど、まず本当に僕の中では“一歩一歩”進んでいくって感じなので。今で言ったらネットスローをやっているって段階。しっかり段階を踏んで、焦らずやっていきたいなと思います」

恩返しのため、自分に負けず戦っていきたい

【横田選手】

5年目 870万円→700万円(推定)

 昨年2月、沖縄・宜野座キャンプ序盤に体調不良で帰阪した横田選手。『脳腫瘍』だったと我々が知ったのは約半年後の9月、横田選手が入院生活を終えて鳴尾浜へ戻ってきた時です。それから少しずつ、少しずつトレーニングや練習を積み重ねて、ことし2月は安芸キャンプに参加し、完走しました。

 キャンプでは屋外でのフリー打撃を再開するなど「できることが増えてきて嬉しい」と、比例して笑顔も増えてきた横田選手。支えるトレーナーや、チームメイト、そしてファンの皆さんも同じですよね。そんなキャンプでの様子は、当時の記事でご覧ください。→<阪神・安芸キャンプ 横田選手の打撃練習でファンを感動させた板山選手の演出とは?>

4月の鳴尾浜、試合中に外野手とのキャッチボールから戻る横田選手。カメラに気づいて笑みが広がります。
4月の鳴尾浜、試合中に外野手とのキャッチボールから戻る横田選手。カメラに気づいて笑みが広がります。

 また4月10日のウエスタン・ソフトバンク戦からは、鳴尾浜と甲子園の全試合でベンチ入りしています。最前列に座って声を出したり、イニング間は外野手とのキャッチボールをしたり、勝った試合のハイタッチも先頭に立ってみんなを迎えたり。もちろん試合前のシートノックにも入って、躍動する背番号124を見せてくれたのが嬉しかったですね。

背番号24を取り返すのが目標

 契約更改交渉を終え、ちょっと緊張した表情で我々の前に立った横田選手は、まず来季の年俸について聞かれ「下がりました」と返事。どれくらいかという問いにも「少し下がりました」の、ひとことだけでした。球団からは「焦らずしっかりやっていくように」と言われたそうです。体調も問題ないですか?「体は全然問題なくやれているので、もっともっと上げていけるようにやっていきたいです」

 2月のキャンプで屋外打撃も再開し、シーズン中はベンチでずっと試合を見ていたりと、大きく前進しましたね。去年とはまったく違う1年だったのでは?「はい。試合にも出ていなかったので、すごく悔しかったんですけど、鳴尾浜で試合がある時はベンチに入らせてもらって、いろいろ試合の中でコーチの方と話もできたので、すごく勉強になる1年でした」

15日、横山投手に続いて契約を更改した横田選手。取材はちょっと緊張気味でした。
15日、横山投手に続いて契約を更改した横田選手。取材はちょっと緊張気味でした。

 今、鳴尾浜でやっている秋季練習でも、温かい声をかけてくださるファンの方々が多いですね。「いろんな方に支えてもらって今、野球ができているので。今後、野球ができるか不安だった入院中も、苦しい治療中も、たくさんの方から手紙とか千羽鶴が届いて…。もう一回ユニホームを着て野球をやっていかなきゃいけないと、本当に思った。ファンの方にも野球で恩返しできるように、自分に負けず戦っていきます」

 来年は試合に出ることが目標になってきますね?「ほんと一日でも早く試合に出ることと、一日でも早く『24番』を取り返すことが、自分の最初の目標なので、それに向かってやっていきたいと思います」。いつか背番号24が甲子園に戻ってきたら…もう泣いちゃいますね。みんなで泣きましょうね。

    <掲載写真は筆者撮影>

フリーアナウンサー、フリーライター

兵庫県加古川市出身。MBSラジオのプロ野球ナイター中継や『太田幸司のスポーツナウ』など、スポーツ番組にレギュラー出演したことが縁で阪神タイガースと関わって約40年。GAORAのウエスタンリーグ中継では実況にも挑戦。それからタイガースのファームを取材するようになり、はや30年が経ちました。2005年からスポニチのウェブサイトで連載していた『岡本育子の小虎日記』を新装開店。「ファームの母」と言われて数十年、母ではもう厚かましい年齢になってしまいましたが…1軍で活躍する選手の“小虎時代”や、これから1軍を目指す若虎、さらには退団後の元小虎たちの近況などもお伝えします。まだまだ母のつもりで!

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