2024年発行の新紙幣に描かれる3人と紙幣の肖像画に選ばれる基準とは?
2024年7月3日、20年ぶりに新紙幣が発行されます。
今回の新紙幣の肖像画には渋沢栄一・津田梅子・北里柴三郎が選ばれました。2023年の4月14日には報道陣に向けて新しいデザインの紙幣が公開されています。
偽造防止の目的から、日本の紙幣は一定期間を経て紙幣と硬貨を新しくするのが通例です。今回発行される新紙幣には最先端のホログラム技術が導入され、紙幣を斜めに傾けると肖像が立体的に動いて見えるようになっています。透かしは肖像をうつし出すだけではなく、紙の厚みを変えて高精度な模様を施しているとのこと。また、文字サイズを大きくし視力が弱くても見やすく、触って紙幣を識別できるように凸凹があります。
デザイン変更に伴い裏面も一万円は東京駅、五千円は藤の花、千円は葛飾北斎の神奈川沖浪裏に変更されます。
新紙幣に選ばれた三人の人物
一万円:福沢諭吉 ⇒ 渋沢栄一
五千円:樋口一葉 ⇒ 津田梅子
千円 :野口英世 ⇒ 北里柴三郎
では、新しい紙幣の顔として選ばれた3人の主な功績を紹介しましょう。
新一万円札:日本資本主義の父・渋沢栄一
大河ドラマ「青天を衝け」では、主人公として渋沢栄一の生涯が放送されました。
幕末に生まれ武士として一橋慶喜に仕え幕末の動乱を駆け抜けました。
慶喜が将軍になると幕臣となり、徳川昭武と共にパリ万博視察のためフランスへ。欧州各国を訪問しているときに新政府が発足し、帰国後は明治政府に招かれて新しい政府作りに従事します。その際、信用が落ちた新政府の管轄下で発行されたお札に代わる新紙幣の発行にも尽力しました。また、銀行やガス会社などの現在も残る大手企業の立ち上げに携わり、事業数は500以上にも及んだことから日本資本主義の父と呼ばれています。
新五千円札:津田塾大学創設者・津田梅子
大河ドラマでも「八重の桜」や「花燃ゆ」で登場している津田梅子。
岩倉使節団の一人で6歳の時に留学生としてアメリカで暮らします。明治33年に津田塾大学の前身・女子英学塾を創設。女性の地位向上が日本の発展になると感じ、女子教育に生涯をささげました。彼女がいなければ、女子教育の改革や女性の社会進出は遅れていたかもしれません。
新千円札:北里研究所の創設者・北里柴三郎
ジフテリア・破傷風・抗血清開発などの細菌学分野で功績を残したのが北里柴三郎。香港でまん延していたペスト調査では自ら現地へ赴き、ペスト菌を発見するなど細菌学の視点から病気予防に尽力しました。
自身の研究だけではなく、多くの人材を育成した事も日本の医学に大きく貢献しています。
お札の肖像画に選ばれる基準
新紙幣発行のたびに過去の偉人たちが選ばれますが、一体どのような基準で選ばれているのでしょうか?
国立印刷局のホームページに書かれている内容では、お札のデザインは財務省・日本銀行・国立印刷局が協議して、最終決定は財務大臣が決定しているようです。
新紙幣発行にはさまざまな工程があり、実際の発行までに5年ほどかかることから、2019年ころから準備が進められてきました。今回の新紙幣については、当時の財務大臣・麻生太郎氏が複数の候補の中から人物を選んでいます。
人選は特に規定はありませんが、以下の基準で決められています。
また、前回の新紙幣発行と同じように肖像画は明治以降の偉人が踏襲されているそうです。
ちなみに渋沢栄一は1963年に発行された千円の時に伊藤博文と最終選考で争っていたようです。この時は偽造防止に髭の有無が考慮されていた事で落選しました。他にも明治天皇、伊藤博文、岩倉具視、野口英世、内村鑑三、夏目漱石、西周、和気清麻呂の8人が候補にあったようです。
61年ぶりの復活当選を果たした渋沢栄一の背景には昨今の偽造防止技術の向上があげられます。こうした技術向上によって、より国民が親しみを持てるような人物が紙幣の肖像画に選べるようになったとの事です。