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NY原油30日:ドルの急落傾向が続き、期近主導で続伸

小菅努マーケットエッジ株式会社代表取締役/商品アナリスト

NYMEX原油6月限 前日比1.05ドル高

始値 58.55ドル

高値 59.78ドル

安値 58.38ドル

終値 59.63ドル

為替相場がドル安に振れたことや、前日に発表されたクッシング原油在庫が減少したことが材料視され、期近主導で続伸した。

原油需給には特に目立った材料は見当たらなかったが、前日の堅調地合を引き継ぐ展開になっている。為替市場では、対ユーロでドル安傾向が続いていることが、原油相場に対する強力なサポート要因になっている。短期的な上げ過ぎ感から60ドルの節目を前に利食い売りも膨らんでいるが、前日に米エネルギー情報局(EIA)が発表したクッシング地区の原油在庫が上振れしたことも、引き続き上値圧迫要因になっている。

Bloomberg推計の4月石油輸出国機構(OPEC)産油量は、前月の日量3,129.6万バレルに対して3,129.5万バレルとほぼ横ばいに留まった。サウジアラビアで日量10万バレルの減産が予想されているが、UAEやアルジェリア、ナイジェリアなどの増産で相殺されている。

全般的に需給見通しに大きな修正を迫るような材料は見当たらないが、為替市場でドルが直近安値を更新する展開が続く中、ドル建て原油相場に対しては押し上げ圧力が強まり易い環境にある。金相場は早期利上げ警戒で急落したが、本日のドル相場は対ユーロで2月26日以来の安値を更新しており、こうした急激なドル安環境で原油相場が押し上げられるのは当然。ただ需給面では、サウジアラビアなどOPECからの供給が高止まりする中、シェールオイル生産が多少鈍化しても、需給緩和状態を否定するのは難しい。ドル安からの支援が続いている間は60ドル台回復の可能性が高い状況になるが、ドル安が一服した際に、現在の値位置を維持できるのかは疑問視している。

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マーケットエッジ株式会社代表取締役/商品アナリスト

1976年千葉県生まれ。筑波大学社会学類卒。商品先物会社の営業本部、ニューヨーク事務所駐在、調査部門責任者を経て、2016年にマーケットエッジ株式会社を設立、代表に就任。金融機関、商社、事業法人、メディア向けのレポート配信、講演、執筆などを行う。商品アナリスト。コモディティレポートの配信、寄稿、講演等のお問合せは、下記Official Siteより。

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