センター試験受験を嫌がる保護者のために
今年の志願者は56.3万人
今年(平成28年度)のセンター試験の志願者数は56万3768人。
昨年(平成27年度)は55万9132人。
つまり、4636人と微増しています。
少子化とか「Fの悲劇」があるから大学進学はやめようとか、あれこれ言われている割にセンター試験志願者数は増えています。
センター試験出願者が増える理由
これは全国の高校、特に公立高校で一括受験が進んでいるためです。
仮に推薦入試ですでに合格が決まっている生徒でも、センター試験受験を義務付ける、というもの。
この一括受験に対して、当然ですが、「うちは無関係」とする生徒やその保護者からはブーイングの嵐です。
出願料はかかりますから、批判が出るのも無理ありません。
受験とは無関係でもセンター受験で得をする?
私は大学卒業後のキャリアを見据えて考えれば、センター試験受験を経験しておくことは悪い話とは思いません。
特に、公務員・教員や国家試験を要する職業を目指す場合は、得をすることでしょう。
まず、教員採用試験と公務員試験の教養試験は広く浅く出題されることで有名です。
そう、センター試験と同じ。
しかも、出題内容のレベルとしては高校1~2年程度。
教員採用試験については、濱田利英「教員採用試験のための一考察」(『近大姫路大学教育学部紀要第5号』掲載)で次のような指摘があります。
一般教養試験における理科・数学の問題は、高等学校1年までの内容の中から出題される。これは、まず第一に国民の一般教養の範囲として求められているのがそこまでというのが考えられる。第二に、普通科の高等学校では、2年生になって文理分けをするところが多い。従って、2年生からのものを出題すると文系・理系で有利・不利ができ、文理共通の教養としては高等学校1年生までの内容を出題せざるをえないという事も考えられる。
国家試験の資格試験は?
公務員、教員以外ではどうでしょうか。
医師、看護師、理学療法士、薬剤師、社会福祉士などの国家試験は、教養よりも専門性が問われます。
しかし、社会福祉士だと心理学、医師試験だと社会医学・医療関連法規が出題されるなどしています。
公務員・教員採用試験ほどでないにしても、こちらも範囲は広いです。
将来を見据えて、ということであれば、私は受験料を払ってもセンター試験を受験しておく方がいい、と考えます。
もし、センター試験を受験していないが公務員・教員や国家試験を要する職業を目指す、ということであれば、新聞などに公表されている問題を解いてみるのもいいのではないでしょうか。