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ネット掲示板で集団痴漢行為、みんなでやっても罪は罪

神田敏晶ITジャーナリスト・ソーシャルメディアコンサルタント
防犯カメラ設置のJR車両はまだまだ少ない(写真:アフロ)

KNNポール神田です!

JR埼京線の車内で、集団で女性の体を触ったとして、男4人が強制わいせつの疑いで警視庁に逮捕されました。4人は事件当日が初対面で、インターネットの掲示板を見て集まったと見られるということで、警視庁が詳しい経緯を調べています。

逮捕されたのは、東京・豊島区の職業不詳、萩原崇智容疑者(34)など30代から40代の男4人です。

警視庁の調べによりますと、4人はことし7月19日の午後7時すぎ、都内を走行していたJR埼京線の電車の先頭車両で、20代の会社員の女性の体を触ったとして、強制わいせつの疑いが持たれています。警視庁は電車内の防犯カメラの映像などから、4人を逮捕したということです。

出典:ネット掲示板見て集団痴漢か 男4人逮捕 JR埼京線

ネット上での犯罪は、巧妙化する一方で、稚拙な犯罪行為も後を絶たない…。事件発生から4ヶ月を経ての逮捕だ。

このニュースを聞いて、気になったのが電車内にあるという防犯カメラの存在だ。JRで防犯カメラというと、新幹線での焼身自殺事件(2015年)車内防犯カメラを設置するというのはあったが、在来線では、異例の処置のようだ。

「埼京線の先頭車両」という都市伝説

2017年07月30日という、今回の事件と同じ時期に、フジサンケイグループの扶桑社、日刊SPA!に「待ち合わせ掲示板の書き込みを追う」という記事が掲載されている。内容に言及するのは控えるが、何らかの合意形成がなされた上であっても、反社会的行為に及んでいる可能性が高い。同時に「埼京線の先頭車両」というワーディングで、引き寄せられた集団でそれらの行為がなされているというのもネットの闇の部分でもある。そして、それらの存在を証明するのが、埼京線の1号車のみに設置された4つの防犯カメラだ。

埼京線車両全32編成において、痴漢犯罪が頻発している1号車(大宮方)運転台寄りに車内防犯カメラを各4台設置します。 2010 年6月以降順次設置

出典:埼京線における車内防犯カメラの設置について

とあるので、すでに7年も前から防犯カメラは設置されていた。つまり、都市伝説のように言われている車両での行為は、すべてカメラで捉えられているのである。そう、防犯カメラが設置されており、公共の場で記録されている場なのである。ネットにおける限られた人たちの理想郷は無いに等しいのだ。

在来線での防犯カメラ設置車両

「(JR東日本では)警察からの要請にもとづいて埼京線では1号車のみに設置し、要請がある時には画像を提供している。警察の調査機関からの報告では、痴漢などの被害は減少傾向にある(JR東日本広報部談)」。

新幹線以外の在来線では、5車両に防犯カメラが設置されている。

1.JR埼京線1号車(大宮側)

2.成田エクスプレスNEX E259

3.ひたち E657

4.普通列車グリーン車 デッキ

5.山手線E235(2018年春予定)

東日本旅客鉄道株式会社広報部様よりヒアリングさせていただいた。むしろ、これだけしか防犯カメラが車両に無いことに驚きを覚えた。

自動車の「あおり運転」の被害の証明にもなるので、ドライブレコーダーのニーズがあるように、電車の全車両に「防犯カメラ設置中」とシールを貼り(ダミーでもよい)、警鐘すべきだと思う。それだけでも抑止力になるはずだ。痴漢の場合、冤罪被害もあるため逃走などの二次被害も生み出しかねない。防犯カメラは抑止力にとどまらず車内での現場証拠にもなるだろう。もはやパブリックな場では、テロ対策を含めて、どこでもカメラが見ている監視社会だと思ったほうが良い。そのカメラさえもハッキングされない対策も講じなければならないが…。

ネット掲示板やSNSの光と闇

ネット上の匿名掲示板やSNSによって、企業や組織の不正が明らかになることも多い。同時に特殊な趣味性を持つ人同士が集い合うということもありえる。問題なのは、集団で行動することによって、罪の意識も非常に希薄化することだ。これは日本の会社組織でも言えることだ。不正経理に不正検査。すでに日本の会社などの従属意識では、みんなでやれば、不正は不正でなくなってしまっている。たとえ自分が始めたことでなくても、自分がその行為に手を染めた瞬間に、罪を犯している認識がどこにもなくなってしまう。

誰もが自由闊達に自分の身分を明かさずに掲示板やSNSで議論できる場は、日本人においての良いガス抜きになっているはずだ。しかし、個々の人のタガが外れ、タガが外れた人同士が集うことによって、稚拙な事件を招いてしまっている。集団で集まっても、罪は罪でしかないのだ。

ITジャーナリスト・ソーシャルメディアコンサルタント

1961年神戸市生まれ。ワインのマーケティング業を経て、コンピュータ雑誌の出版とDTP普及に携わる。1995年よりビデオストリーミングによる個人放送「KandaNewsNetwork」を運営開始。世界全体を取材対象に駆け回る。ITに関わるSNS、経済、ファイナンスなども取材対象。早稲田大学大学院、関西大学総合情報学部、サイバー大学で非常勤講師を歴任。著書に『Web2.0でビジネスが変わる』『YouTube革命』『Twiter革命』『Web3.0型社会』等。2020年よりクアラルンプールから沖縄県やんばるへ移住。メディア出演、コンサル、取材、執筆、書評の依頼 などは0980-59-5058まで

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