NY原油26日:ドル高再開で急落、需給面での買い材料乏しい
NYMEX原油7月限 前日比1.69ドル安
始値 60.05ドル
高値 60.25ドル
安値 57.71ドル
終値 58.03ドル
為替市場でドル高圧力が強まる中、原油相場は期近主導で大幅続落となった。
連休中は、イエメン情勢の緊迫化を背景に、地政学的リスクを織り込む形で強含む場面も見られた。イエメンでサウジアラビアの戦闘機が撃墜される一方、サウジアラビアが核兵器を使ったとの報道が流れるなど、混乱が見受けられた。ただ、マーケットでは原油供給体制における大きなトラブルには発展しないとの見方が支配的であり、原油価格に対する影響は限定された。逆に、ドル高に伴うドル建て商品価格に対する逆風が強く意識され、改めて60ドルの節目を完全に割り込む展開になっている。
需給面では、米石油リグ稼動数の減少傾向が続いていること、米原油在庫が減少に転じた可能性などが、下値サポート要因に。ただ、需給緩和状態そのものには変化がないとの冷静な評価が優勢な中、需給要因で改めて買い進むような動きは見られなかった。来週は石油輸出国機構(OPEC)総会も控えているが、生産政策の変更は行われない見通しであり、需給緩和状態が維持されるとの見方もネガティブに。
為替相場がドル高への回帰を進める中、改めて原油相場が急伸するような地合ではなくなっている。需給に関しても、シェールオイルの減産で国際需給バランスが均衡化するといった根拠の弱い楽観見通しに疑問の声が上がっており、下値不安の大きい相場環境と評価している。このままドル高トレンドを確立できれば、50ドル台割れを試すことも十分に可能な相場環境と評価している。