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【速報】大迫傑が“スーパー厚底”で日本新記録 ナイキ着用率がついに9割を超えた!(東京マラソン)

山口一臣THE POWER NEWS代表(ジャーナリスト)
ガッツポーズをしながらフィニッシュへ向かう大迫傑選手。日本新記録の瞬間だ!(写真:松尾/アフロスポーツ)

オリンピック日本代表へ大きな前進だった

 素晴らしいレースを見せてもらった! 新型コロナウイルス騒動で一般参加者ナシという異例の開催となった東京マラソンマラソンで、大迫傑選手(ナイキ)が期待通り、自らの日本記録を更新する2時間5分29秒をたたき出し、日本人1位、総合で4位になった。

 このマラソンは周知のように東京オリンピック男子マラソンの代表選考を兼ねている。大迫選手は昨年9月のマラソングランドチャンピオンシップ(MGC)で服部勇馬選手(トヨタ)に競り負け3位に終わり、“暫定代表”のポジションだった。オリンピックまでマラソンには出ないで「待つ」選択もあったが、あえて代表切符を獲りにいった。

(参考記事)MGC3位 大迫選手を襲った想定外の“悪いサイクル”

 見事な走りだった。「ファイナルチャレンジ」の最終レースとして来週末に行われるびわ湖毎日マラソンで、今日、大迫選手が出した日本新記録が破られなければ、代表が確定する。東京オリンピックに向けた大きな前進でもあった。

上位選手のすべてが“ナイキの厚底”を履いていた。後方に見えているのが大迫選手だ(筆者撮影)
上位選手のすべてが“ナイキの厚底”を履いていた。後方に見えているのが大迫選手だ(筆者撮影)

インタビューで見せた涙に筆者もウルウル

 昨年の東京マラソンでは29km付近でリタイアのアクシデントに見舞われた。MGCの悔しさを乗り越えての記録更新に感極まったのか、いつもクールに見える大迫選手がレース後のインタビューで思わず涙を見せた。見ているこちらの涙腺も緩んでしまった。よくやった! 日本記録保持者として、毎回レースで期待されて、プレッシャーも想像を絶するものだっただろう。とにもかくにも、おめでとう!

(参考記事)大迫傑選手 「東京マラソン2019」リタイアの真相

 そして、テレビを観ていて気づいた人も多いだろうが、その大迫選手が履いていたのが、鳴り物入りでデビューしたナイキの“スーパー厚底”、「ナイキ エア ズーム アルファフライ ネクスト%」だったのだ。

(参考記事)ついにベールを脱いだナイキの“スーパー厚底” 「禁止」どころか規則を完璧クリアで東京五輪も席巻か?

(参考記事)「フルマラソン2時間切り」達成時のシューズ 業界騒然のナイキ「アルファフライ」、ついに市販へ

前足部のソールにエアバッグが組み込まれたアルファフライ ネクスト%がまた新たな“伝説”を生んだ(提供:NIKE))
前足部のソールにエアバッグが組み込まれたアルファフライ ネクスト%がまた新たな“伝説”を生んだ(提供:NIKE))

 筆者は2019年の東京マラソンで、日比谷通りの御成門付近(39km地点の先)で上位ランナー50人の“ナイキの厚底”着用率を目視でチェックしている。結果は50人中35人が「ナイキ ズーム ヴェイパーフライ 4%」を履いていた。着用率70%だった。

感染防止のため「観戦はお控えください」とのお達しが(知人が撮影)
感染防止のため「観戦はお控えください」とのお達しが(知人が撮影)

 その後も“厚底”人気は衰えず、2020年正月の箱根駅伝(東京箱根間往復大学駅伝競走)では、ヴェイパーフライ4%の後継モデル「ナイキ ズーム ヴェイパーフライ ネクスト%」着用率が84.3%を記録、しかも10区のある区間賞のうち9つまでを“ナイキの厚底”がゲットした(うち6つが区間新記録)。なので、今年の東京マラソンはどうなるか、興味津々だったのだ。

(参考記事)東京マラソン2019 上位エリート選手の7割がナイキの“厚底シューズ”を履いていた!

カウンターでチェックするとなんと……

 ところが、私ゴトで恐縮だが、今年は二次抽選でひさびさに当選していたので、計測は不可能だと諦めていた。ところが、である。ご存知の通り一般参加者の出場が取りやめになった。これは「ヤレ!」という神のお告げとしか思えない。日本陸上競技連盟から「観戦自粛」のお達しが出る中、勇んで沿道へと駆けつけた。

 計測場所は日比谷通り32km地点の少し手前の新橋5丁目付近である。今年は去年と違って指折り数えるのではなく、ちゃんとカウンターを2個用意した。昨年は50人しか数えられなかったが、今年はカウンターがあったので上位100人までチェックできた。もちろん、あくまでも筆者の目視で確認した限りだが、男子上位100人が通過したところで“ナイキの厚底”を履いていたランナーは、なんと93人いた。着用率は昨年の70%から20ポイント以上アップで、ついに9割を超えてしまったのだ!(もしかしたら見落としはあったかもしれないが、多くカウントすることはない)

今年はちゃんとカウンターを用意した(筆者撮影)
今年はちゃんとカウンターを用意した(筆者撮影)

 内訳は、ほとんどがグリーン、ピンク、もしくはEKIDEN PACKのヴェイパーフライ ネクスト%だった。私の見間違いでなければ旧モデルの「4%」が1人いた。アルファフライが何人いるか別途カウントしようとしたが、速すぎて無理だった。事前に読んだ新聞記事には、大迫選手と井上大仁選手(MHPS)が“スーパー厚底”のアルファフライで、設楽悠太選手(Honda)は現行のヴェイパーフライ ネクスト%だと書いてあった。それはテレビでも確認できた。

上位10人全員が“ナイキの厚底”という結果に!

 そして、フィニッシュ地点での目視では、なんと上位10選手全員が“ナイキの厚底”だったことが確認できた。この言葉は何度も書いてきたが、「もはや手がつけられない」状態だ。以下、列挙してみる。◎=アルファフライ ネクスト%、○=ヴェイパーフライ ネクスト%着用を表している。

1位 レゲセ(エチオピア) 2:04:15 ○

2位 アブティ(ベルギー) 2:04:40 ○

3位 レマ(エチオピア) 2:04:51 ◎

4位 大迫傑(ナイキ) 2:05:29 ◎

5位 カロキ(ケニア) 2:06:15 ◎

6位 エルアバシ(バーレーン) 2:06:22 ○

7位 メングストゥ(エチオピア) 2:06:23 ◎

8位 高久龍(ヤクルト) 2:06:45 ○

9位 上門大祐(大塚製薬) 2:06:54 ○

10位 定方俊樹(HMPS) 2:07:05○

 以上、見間違いがあるかもしれない。ただ、少なくとも全員がナイキだったことは間違いないと思う。

 こうなると、東京オリンピックのマラソンは大変なことになるのではないか。世界陸連(ワールドアスレティックス)のお墨付きを得た“スーパー厚底”がどこまで席巻するのか。そして、他のシューズメーカーはどこまで食い下がるのか。

 マラソンファンにとってはますます目が離せそうにない。

THE POWER NEWS代表(ジャーナリスト)

1961年東京生まれ。ランナー&ゴルファー(フルマラソンの自己ベストは3時間41分19秒)。早稲田大学第一文学部卒、週刊ゴルフダイジェスト記者を経て朝日新聞社へ中途入社。週刊朝日記者として9.11テロを、同誌編集長として3.11大震災を取材する。週刊誌歴約30年。この間、テレビやラジオのコメンテーターなども務める。2016年11月末で朝日新聞社を退職し、東京・新橋で株式会社POWER NEWSを起業。政治、経済、事件、ランニングのほか、最近は新技術や技術系ベンチャーの取材にハマっている。ほか、公益社団法人日本ジャーナリスト協会運営委員、宣伝会議「編集ライター養成講座」専任講師など。

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