ウクライナ軍「ドローンバスターズは世界を救う」米国政府が提供・ロシア軍の偵察ドローン機能停止
「ゴーストバスターズ」にかけて「ドローンバスターズ」
2022年2月にロシア軍がウクライナに侵攻。ロシア軍によるウクライナへの攻撃やウクライナ軍によるロシア軍侵攻阻止のために、攻撃用の軍事ドローンが多く活用されている。また民生用ドローンも監視・偵察のために両軍によって多く使用されている。
2022年10月に入ってからはロシア軍によるイラン製軍事ドローンでの首都キーウなど主要都市への大規模な攻撃が目立っている。
最近ではロシア軍のイラン製神風ドローン「シャハド136(Shahed136)」による無差別攻撃の報道が目立っているが、ロシア軍は主にロシア製の偵察ドローン「Orlan-10」や「Eleron-3」などで上空からウクライナの監視・偵察を行っている。
ロシア軍の監視・偵察ドローンを迎撃しているシステムの1つがアメリカ政府が提供したFlex Forceの「Dronebuster(ドローンバスター)」だ。ウクライナ軍が公式SNSで「ドローンバスターズは世界を救う」と投稿して紹介していた。大人気のアメリカ映画「ゴーストバスターズ」と「ドローンバスター」をかけて「ドローンバスターズ」と称している。ロシア軍の偵察ドローンをゴーストに見立てて、徹底的にウクライナから敵の偵察ドローンを除去していこうという心意気だ。
▼ウクライナ軍によるドローンバスターズの紹介
ハードキルに対して目立たないが重要なソフトキルでの迎撃
ドローンバスターでは電磁波による妨害で上空のドローンの機能を停止して、地上に落下させてしまうため、攻撃や監視・偵察が行えなくなる。
ドローンは攻撃用も監視用も探知したらすぐに迎撃して破壊してしまうか、機能停止させる必要がある。上空のドローンを迎撃するのは、電波を妨害(ジャミング)してドローンの機能を停止させるいわゆる"ソフトキル(soft kill)"と、対空機関砲のように上空のドローンを爆破させる、いわゆる"ハードキル(hard kill)"がある。ドローンバスターは、いわゆるソフトキルの方である。
特に偵察ドローンは発見したら、すぐに迎撃しなくてはならない。偵察ドローンは攻撃をしてこないから迎撃しなくても良いということは絶対にない。偵察ドローンに自軍の居場所を察知されてしまったら、その場所にめがけて大量のミサイルを撃ち込まれてしまい大きな被害を招きかねないので、偵察ドローンを検知したら、すぐに迎撃して爆破したり機能停止させたりする必要がある。回収されて再利用されないためにもドローンを、いわゆるハードキルで上空で徹底的に破壊しておいた方が効果的である。
そのようなハードキルによるロシア軍のドローンの破攻撃は目立っている。そのため報道されたり、ウクライナ軍のSNSなどにも破壊したロシア軍のドローンの動画や写真が掲載されることが多い。
だが、ドローンバスターのようなソフトキルタイプでの迎撃でも多くのロシア軍の偵察ドローンが機能停止させられている。そしてロシア軍の偵察ドローンを機能停止させることによって、ロシア軍に居場所を察知されてミサイルによる攻撃を回避することにも貢献している。
▼米国政府が提供したドローンバスター
▼ウクライナ軍によるハードキルで破壊されたロシア軍の偵察ドローン「Eleron-3」。このようなハードキルによる破壊はSNSやメディアでも多く掲載されている。