ウクライナ政府、寄付で調達したウクライナ製の監視ドローン「Raybird-3」2機を空挺部隊・海軍へ
中国DJI製の民生品ドローン「DJI Matrice M30T」9機も調達
2022年2月にロシア軍がウクライナに侵攻。ロシア軍によるウクライナへの攻撃やウクライナ軍によるロシア軍侵攻阻止のために、攻撃用の軍事ドローンが多く活用されている。また民生品ドローンも監視・偵察のために両軍によって多く使用されている。そして両軍でドローンの撃墜が繰り返されている。
ウクライナ政府はウクライナ軍が監視・偵察、攻撃で使用するためのドローンを調達するために、政府が運営しているメディアを通じて世界中に寄付を呼びかけている。「drone(ドローン)」と「donation(寄付)」を掛け合わせて「dronation(ドロネーション)」という造語も作っている。
ウクライナ政府は2022年12月31日に調達したドローンが1577機に到達し、既に928機が戦場に投入されたと報告していた。2022年10月から12月の3か月間で1400機のドローンを購入している。
そして2023年2月には、世界中の市民からの寄付で調達された2機のウクライナのメーカーのSKYETON製の監視・偵察ドローンの「Raybird-3」が戦場の空挺部隊とウクライナ海軍に送られた。大型の監視・偵察ドローンで24時間以上の長時間の飛行が可能。悪天候でも飛行が可能で監視・偵察ができるので冬には適している。同機はかつては軍事用で使用するバージョンは「ACS-3M」と呼ばれていた。今回ウクライナ政府が調達したのは「Raybird-3」である。
また他にも中国メーカーのDJI製のクワッドコプタータイプの民生品ドローン「DJI Matrice M30T」9機も調達された。「DJI Matrice M30T」は民生品ドローンだが、爆弾や手りゅう弾を搭載して標的に落下させたり、突っ込んでいき爆破したりすれば簡単に攻撃ドローンになりうる。爆弾を搭載するだけの改造は決して難しくない。攻撃ドローンにもなる。民用品ドローンと攻撃ドローンの境目がなくなったことはウクライナ戦争における戦術の特徴の1つである。
戦場においてはドローンは探知されたら、すぐに機能停止させられたり、破壊されたりしている。ドローンで敵の居場所や情勢を確認したら、その場所をめがけてミサイルなどで攻撃を仕掛けるので偵察ドローンはすぐに破壊した方が良い。「Raybird-3」のような大型の監視・偵察ドローンは、小型民生品ドローンに比べると、目につきやすいので探知されたらすぐに破壊されてしまいやすい。そのためドローンは何機あっても足りない。ウクライナ政府はさらに多くのドローンがこれからも必要になることから世界中に寄付を呼びかけている。
ウクライナ軍だけでなく、ロシア軍もドローンを監視・偵察、攻撃で多く使用している。ロシア軍はロシア製の監視・偵察ドローンや攻撃ドローンだけでなく、ウクライナ軍と同じように民生品ドローン、さらにイラン政府が提供している攻撃ドローン「シャハド136」などを大量に導入してウクライナ領内で監視、攻撃を行っている。
このようにドローンは「上空からの目」として戦場では欠かせない兵器の1つになっている。上空から敵の様子を探り、敵を発見したら、その場所をめがけてミサイル攻撃を行ったり、ドローンから爆弾を投下したり、神風ドローンが標的に突っ込んでいき爆発させている。これほど多くのドローンが戦場で活用されているのは人類の戦争の歴史上でも初めてである。
▼2機のウクライナ製監視・偵察ドローン「Raybird-3」を空挺部隊と海軍に提供を報告