2020年 冬の京都おすすめ散策コース
冬の京都といえば観光の大定番が54回目となる「京の冬の旅」です。今年のテーマは「京の御大礼 雅の御所文化」と「明智光秀と戦国の英傑たち」。このうちひとつを取り上げ、今年の干支(ねずみ年)とNHK大河ドラマ「麒麟がくる」ゆかりの寺社も含めた散策コースをご紹介します。
始まりは地下鉄東西線「蹴上駅」からスタート。地上に上がると右側に「インクライン」が見えてきます。この下に造られた「ねじりまんぽ」と呼ばれる煉瓦を斜めに積み上げたトンネルをくぐると、あたりは南禅寺別荘群と呼ばれる閑静なエリア。ほどなく南禅寺の入口付近に金地院が見えてきます。
金地院は、慶長10(1605)年に徳川家康の側近として活躍した以心崇伝(いしんすうでん)によって再興されました。寛永年間に伏見城の一部を徳川家光より拝領して大改築が進められ、寛永5(1628)年には東照宮も建立されています。拝観受付をすませると最初に見える門が「明智門」。かつて明智光秀の寄進によって大徳寺に建立されましたが、明治初めにこちらに移築されました。派手さのない簡素な佇まいは、枯山水の名庭を持つ金地院の入口にふさわしい枯淡な雰囲気もかもしだしています。
徳川家康が祀られた東照宮を参拝したあと庭園に回ると小堀遠州の代表作とされる蓬莱式の枯山水庭園が広がります。蓬莱山を挟む鶴島と亀島の対比が素晴らしいです。方丈には狩野探幽や尚信といった狩野派の襖絵も。さらに時間のある方は別料金ですが、小堀遠州作の八窓席と呼ばれる重要文化財の茶室も見学できます。
その後は南禅寺の境内を抜けて、紅葉の永観堂の前を横切り、哲学の道へ。入口には後白河上皇が紀州熊野から移した熊野若王子神社があります。こちらから哲学の道を5分もあるけば大豊神社への参道へ出ることができます。
今年干支詣りで人気の大豊神社は、少彦名命(すくなひこなのかみ)、応神天皇、菅原道真を祭神とします。神社の背後にある椿ヶ峰の山中にあったといいますが、寛仁年間(1017~21)に現在地へと移ってきたとされます。境内の大国社には狛犬ならぬ「狛ねずみ」が鎮座、大国主命を助けたという伝説にならってねずみが大国社を守っています。今年一年の御利益を求めてぜひ参拝しておきましょう。
さらに哲学の道を進むと霊鑑寺への参道へ、こちらが「京の冬の旅」で公開されている寺院のひとつ。
通常は春の椿が満開の時期と、秋の紅葉の時期に2週間ほどずつしか公開されていません。後水尾天皇の娘である皇女・多利宮(たりのみや)を開基として創建され、歴代皇女が住職を務めた尼門跡寺院で、境内には100種類以上の椿が植えられており、この冬の時期でも椿を愛でることができます。書院の襖絵は狩野探幽や円山応挙が筆をとった名品で、皇室関係の道具なども多数所蔵しています。
今回注目は紅霞亭(こうかてい)と命名された奥書院。普段は非公開ですが、「御大礼奉祝記念」として「京の冬の旅」で36年ぶりに特別公開されました。珍しい青い天井や、狩野永徳筆と伝わる大和絵風の障壁画は必見です。帰りはまっすぐ西へと進むと白川通にでます。天王町の交差点からはたくさん市バスがでていますので便利です。今年のおすすめ散策ルート、3時間ほどのコースですので、ぜひゆっくりお楽しみください。
おまけですが、道中でお昼の時間帯であれば、永観堂の北側にある日の出うどんさんがお薦め。名物のカレーうどんは、カレーのうまみをぎゅっと凝縮しながらもあさっりと食べられる逸品です!