電通推定の日本の広告費を詳しくさぐる(2022年公開版)
電通は2022年2月に日本の広告費に関する調査報告書「2021年 日本の広告費」を発表した。その内容を基に2021年の広告費の実情を確認する。
まずは2021年の広告費における前年比から、直近の広告費の動向を見ていく。2020年から2021年における広告費の変化を示したものだが、各媒体の広告に関する影響力、クライアントからの評価の変化の度合いがよく分かる結果となっている。
4マス(マスコミ四媒体)とインターネット広告費はプラス、プロモーションメディア広告費は大体マイナスと、二極化した動きが生じている。新型コロナウイルス流行という特殊環境からの復調の過程で、各媒体が受けた影響の違いがよく出た形となっている。もっとも大きな下げ幅を示したのはプロモーション広告費のうち交通の区分でマイナス14.2%、次いでプロモーション広告費のうちイベント・展示・映像ほかでマイナス7.0%。いずれも新型コロナウイルスの流行で利用者が急減した結果、広告出稿が減ったであろうことが想像できる。
他方4マスとインターネット広告費の区分は幅こそ違えどすべてがプラス。特にインターネット広告費は個別区分すべてが2割以上の上げ幅を示している。4マスのうちいくつかは前年の大幅な減少からの反動に過ぎないプラスもあるだろうが、インターネット広告費はその反動を超えた力強い動きと評していいだろう。調査報告書では「マスコミ4媒体広告費を初めて上回った」「映像系を中心に動画広告需要の高まりが顕著で、デジタルプロモーションの活用拡大も市場成長に寄与」「コロナ禍においては、その関連情報などをより幅広い層へ、より多くの方へ、過不足なく情報を伝える社会的需要が高まったことから、デジタルだけでなく、他の媒体活用も進んだ」などと説明している。
続いてこれを前年比ではなく、単純に金額ベースで示したのが次のグラフ。
4マス、中でもテレビメディアが単体で大きな広告費を占めているのが一目瞭然。個別項目では太刀打ちできず、プロモーションメディア広告費を全部合わせてようやく肩を並べられる状態。他方、インターネット広告費全体がテレビメディアどころか、マスコミ四媒体全体すら追い抜いている実情も確認できる。これは直近の2021年で初めて生じたもので、調査報告書でも特記事項として「総広告費におけるインターネット広告費の構成比は39.8%となり、インターネット広告費が初めて推定された1996年実績以来、初めてマスコミ四媒体広告費を上回った」と示されている。
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