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将棋人口は530万人、囲碁人口は180万人と減少――コロナ禍が大きく影響

古作登大阪商業大学アミューズメント産業研究所主任研究員
2020年藤井聡太・現三冠(向かって左)は最年少で棋聖を獲得した(筆者撮影)

 10月4日に発行された「レジャー白書2021」(日本生産性本部・編集発行)によると2020年の将棋人口は前年の620万人から530万人、囲碁人口も前年の230万から180万人といずれも大きく減少した。

 将棋も囲碁も古くから知的遊戯の代表格として日本では親しまれてきたが、2020年は新型コロナウイルス感染症の影響で緊急事態宣言がたびたび発令され、アマチュアが参加するイベントの多くが中止となり人と人が向き合って対局する機会は激減した。

 同白書によると余暇活動で前年に比べ参加人口が増えたのは動画鑑賞(3510万人→3900万人)やウォーキング(3220万人→3290万人)のように在宅や一人で楽しめるものが上位を占めた。

 将棋や囲碁も対面で行うイベントの代替としてオンラインで各種企画や動画コンテンツが提供され、楽しみ方の選択肢は広がったがその効果は限定的だったといえよう。

「藤井聡太効果」の表面化は2022年以降か

 ここ数年、将棋人気の原動力となっているのが藤井聡太三冠(19)であることは間違いない。

 2020年夏に史上最年少の17歳で棋聖、続いて王位のタイトルを奪取して二冠となりトップ棋士の仲間入りを果たした。今年秋には叡王も獲得し三冠となって現在も竜王戦七番勝負で豊島将之竜王(31)に挑戦中で年内四冠の可能性を残している。

 小学生のころから約50年将棋界に接してきた筆者の実感としては、アマチュア全国大会の予選や各地のイベントの中止が相次ぎ、アマ選手としてのモチベーションは大きく減退した。

 だがプロ棋界では女流の大型棋戦「ヒューリック杯白玲戦」(優勝賞金1500万円)の創設など新たなスポンサーの参入や動画コンテンツの充実など活気があり、指さなくともネット観戦やスター棋士の活躍を楽しむ「観る将」と呼ばれるライトなファン層が増えているのは好材料だ。

 こうした背景もあり、コロナ禍が沈静するであろう2022年以降将棋人口は上向きに転ずるものと想定している。

囲碁は若年層への普及が急務

 囲碁人口はこの10年の最大値、2012年の400万人から半分以下に減少した。これは囲碁ファンの高齢化と若年層への普及活動の不足が要因と思われる。

 この1年だけでも筆者が訪問したことのある関西圏の大きな碁会所がいくつも閉店した。ファンにとっては囲碁を対面で打ちたくても打てない状況が続いており、このままでは数年後に囲碁人口は100万人の大台を割る可能性も危惧される。

 囲碁界としては将棋界のように若い世代を中心としたライトなファン層を拡大することが急務であろう。

大阪商業大学アミューズメント産業研究所主任研究員

1963年生まれ。東京都出身。早稲田大学教育学部教育学科教育心理学専修卒業。1982年大学生の時に日本将棋連盟新進棋士奨励会に1級で入会、同期に羽生善治、森内俊之ら。三段まで進み、退会後毎日コミュニケーションズ(現・マイナビ)に入社、1996年~2002年「週刊将棋」編集長。のち囲碁書籍編集長、ネット事業課長を経て退職。NHK・BS2「囲碁・将棋ウィークリー」司会(1996年~1998年)。2008年から大阪商業大学アミューズメント産業研究所で囲碁・将棋を中心とした頭脳スポーツ、遊戯史研究に従事。大阪商業大学公共学部助教(2018年~)。趣味は将棋、囲碁、テニス、ゴルフ、スキューバダイビング。

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