インド北部で50.3℃ ニューデリーでは6月史上最高記録も
インドでは記録的な熱波が続いており、10日には北部ラジャスタン州チュルで50.3℃まで気温が上がりました。水をめぐるトラブルが発生し複数人が死亡、さらに熱中症が原因と見られるサルの死体も発見されています。
10日インド北部ラジャスタン州の町チュルで、50.3℃まで気温が上がりました。インドの国内史上最高気温は2016年に観測された51.0℃なので、この記録に0.7℃と迫る高温です。チュルは今月1日にも、50.8℃まで気温が上昇しています。
一方ニューデリーでは10日、6月の最高気温記録となる48.0℃を観測しました。この時期の最高気温の平均は約40℃ですが、先月26日から毎日のように平均を上回る暑さが続いています。
インド北部では、夏のモンスーンが始まる直前の5月頃が一年のうちで最も暑い時期です。
しかし今年はモンスーンが遅れていること、さらにエルニーニョの影響も加わって、6月中旬になっても記録的な熱波が起きています。
水を巡る争い
こうした暑さが原因で、各地で水をめぐるトラブルが発生しています。
殺人事件
5日タミルナデュ州では、公共水道の水を大量に持ち帰ろうとした親子を注意した33歳の男性が、殴られて死亡しました。同様にジャールカンド州でも、水を多く持ち帰ろうとして叱責された男性が6人を刺殺するという、悲惨な出来事が起きています。
熱中症のサル
一方で、46℃を記録したマディヤプラデーシュ州ではサル15匹の死骸が見つかりました。
サルの集団が水を巡って闘争となり、敗れた方のサルが水を飲むことができず熱中症になって死に至ったのではないかと考えられています。
暑さはいつまで?
この暑さはいつまで続くのでしょうか。
インド気象局によると、11日までは北部を中心に厳しい暑さが続くものの、12日からは和らぐとのことです。
気温が下がる原因の一つが、アラビア海に発生しているサイクロン・バユ(Vayu)の存在です。
アラビア海の海水温は30℃以上と、高温になっています。このためサイクロンは強まりながら北上し、13日にはインド北西部に最接近または上陸するもようです。サイクロンに伴う雨の影響で暑さは和らぐものの、かわって洪水や土砂災害などの被害が心配されます。